ー世界はきっと、美しいー
エチオピア -Ethiopia-

【ダナキルツアー2日目】美しい塩湖「アサレ湖」|エチオピアに来て、初めて笑えた日

【アフリカ大陸縦断記】2020/01/07

メケレ(エチオピア)-Mekele-

今日は、エチオピアのクリスマス。

独自の時間軸を持つ彼らのクリスマスやニューイヤーは、私たちのそれとは違うのだ。

ちなみに、時間も私たちとは6時間違うから、バスの予約時などは、それがエチオピア時間なのかヨーロッパ時間なのかを確認しなければならない。

▼前回のお話し▼
【ダナキルツアー1日目】エルタ・アレ火山、現在の活動状況はいかに…

「エルタ・アレ火山」の朝

早朝5:30。

スタッフが、皆を起こす。

エルタ・アレ火山の火口まで行って、朝日を見るんだって。

「曇っているし、たぶん見えないでしょ」と、5人くらいは登らずにキャンプ地で待機。

私も、そう思う。

どうせ見れないだろうし、あの息苦しい有毒ガスの世界に行くのは嫌だ。

…と思うのだけど、残って何も経験しないよりは、少しでも何か見た方がいいかなと、みんなに同行。

登るのは、ガイドを除いて11人。

再び、有毒ガスの世界に戻って来た。

やはり、息苦しい。

もう嫌だ、帰りたい。

相変わらずの煙の中、やはりマグマは見れなかった。

だけど相変わらず、煙の中で鼓動する地球の激しい息吹だけが、静かな夜明け前の中で鳴り響いている。

いつの間にか、辺りが明るくなっていた。

ご来光が、いつどのタイミングで、どちらの方向から訪れたのかもわからないままに。

キャンプ地に戻ると、マットレスなどの荷物がラクダに積まれていた。

そして、車が停めてある最初のキャンプ地まで、歩いて戻る。

お腹すいたな~。

朝ご飯、楽しみだな~。

キャンプ地に戻ると、ここで待機していたスタッフたちにより、既に朝食の準備が進められていた。

フルーツと、クレープ生地と、卵料理。

クレープ生地によく似たインジェラ…ではなく、これは完全なるクレープ生地だ。

エチオピアの代表的な国民食である、クレープ生地によく似た灰色のインジェラが、旅行者には評判が悪いと知っているんだろうね。

なんだか、それはそれで申し訳ない気がする。

昨夜の夕食に引き続き、今日もスタッフが作ってくれたご飯はとても美味しかった。

珍しく、またもやお替りをしてしまったよ。

私の車の同乗者である韓国人女性3人組は、朝食もそこそこに、身支度に勤しんでいる。

というか…朝食食べたのかな?

私なんかは、ゴワゴワの髪をくるっと乱暴にまとめて、保湿クリームと日焼け止めクリームを塗っただけだというのに。

女子力の高い彼女たちを横目に、だけど私はこれでいいのだと、心の中で開き直る。

無知は、人を傷つける

都会的なエチオピア人男性は、ジーパンにTシャツという先進的な出で立ちなのだけど。

ここにいるエチオピア人男性は、布をスカートの様に巻いている。

ショートだったり、ロングだったり。

巻き方も、人それぞれだけれど。

その姿は、とても凛々しくてカッコいい。

私がその恰好を真似ても、ただの巻きスカートになるだけで。

彼らが纏うからこそ、カッコいいのだ。

小学校か中学校の地理の授業のとき、世界の人々の服装の項で、「どこかの国では、男性がスカートを履くのだ」と習ったとき、クラス全員で笑ったのを思い出す。

「スカートは女性が履くもの」という概念しか持たない日本人の子供にとっては、男性がスカートを履くというのは、ひどく滑稽なものだったのだ。

だから、もしもあの時、目の前にスカートを纏った彼らが実際に現れたなら。

私たちは、本人を前にしてでも、指を指して笑ったかもしれない。

そうそれは、この国で私が受けているアジア人差別と、まるで同じなのだ。

だから、一概に彼らを悪者にはできないのかなと、少し思う。

彼等はただただ、無知なのだ。

世界の多様な文化や人種を受け入れるだけの、知識も経験も不足しているだけなのだ。

無知は、人を傷つける。

私たちは、例え何歳になろうとも、常に謙虚に学び続ける姿勢でいなければならない。

それは自分の為ではなくて、他の誰かを傷つけないために。

エルタ・アレ火山からアサレ湖へ

次の目的地の「アサレ湖」までも、かなり離れているようで。

途中で、何度も休憩を挟みながら進む。

ランチは、今日もローカルな食堂でパスタ。

この食堂に、エチオピアのメイン観光地のポスターが貼られていた。

昨日行った「エルタ・アレ火山」の写真もある。

本当なら、こんな絶景が見られたはずなんだけどな。

韓国人女性の1人が、紅茶をご馳走してくれた。

車は再び、壮大な峠の中を走る。

午後4時ごろ、今日のキャンプ地に到着。

ここまで、休憩以外なにもなかった。

移動距離が、半端じゃないツアーだ。

キャンプ地で一度荷物を下ろすという事で、私たちは待機。

ドライバーにトイレに行きたいと言ったら、「ここにトイレはないよ。この先の塩湖でできるよ。(もちろん野外)」と言われる。

え…。

塩湖って、見渡す限りの平地なんじゃない?

そんなところでお尻丸出しなんて、できないよ私。

すると、子供が現地語で話しかけて来た。

なんだなんだ?

大人が、通訳をしてくれる。

「トイレに行きたいの?」

うん、行きたい!行きたい!

え?でも、ここにはないって、ドライバーに言われたんだけどな。

子供が、私をトイレまで連れていってくれた。

なんで私がトイレに行きたいって、わかったんだろうか。

ここがトイレだって。

えーーー!笑

丸見えじゃないか。

周りに人もちらほらいるし、無理だよ。笑

という事で、少し奥の岩陰を見つけて、そこで済ませる。

準備ができたようで、車に乗って塩湖を目指す。

その途中で、ドライバーが「ここがトイレだよ」と車を停めてくれた。

なるほど。

ここなら、ギリギリ大丈夫だね。

エチオピアの塩湖|アサレ湖

「アサレ湖」に着いた。

ここは、広大な「塩湖」だ。

ドライバーが、「あそこの岩に登ってごらん。いい写真が撮れるよ。」と教えてくれた。

あそこの山を、右側から登るらしい。

ここから登るのか。

この岩山も、塩でできているらしい。

慎重に、だけどスイスイと登る。

今ここは、誰もいない私だけの世界だ。

なるほど、確かに美しい。

今日はあちらから来て。

明日は、あちらへ行くのだ。

岩から、下を覗き込む。

そこは、荒波こそないものの、崖の上から海を見下ろしているかのような光景。

塩の湖が、まるで海の様に見えるよ。

ウミガメなどが、いそうだよね。

ここには、塩の温泉もある。

水深は深いものの、塩分が高いために浮かぶ事ができる。

男性達は、楽しそうに入っているよ。

私は、入ったら絶対に痒くなるから、遠慮しておこう。

ゴツゴツとしたエリアもある。

しばし、一人で塩湖を散策。

ここは、美しい場所だ。

エチオピアに入国以来、心を閉ざしている私は、全く笑っていない。

常に真顔で、人との関りを避けている。

人と関わらざるを得ない時は、感情のこもらない淡々とした口調で対応をしている。

たまに見せる笑顔は、精一杯の愛想笑い。

まるで、過去のいつぞやの自分に戻ったみたいだ。

せっかくヒマラヤの大地が、私を変えてくれたというのに。

旅は、私を成長させてくれるけれど。

旅は、私を退化もさせるんだな。

だけど、今日ここへ来て、エチオピア入国以来はじめて笑えた気がする。(心の中で)

顔は真顔だけれど、心の中で笑えている。

よかった。

私はまた、復活できる。

少し車を走らせて、キャンプ地の方に戻る。

途中で停めてもらった場所が、夕日スポットの様だ。

そこには、なんと水が張ってあった。

これが噂の、「鏡張りの塩湖」か。

水は、「トレッキングシューズを履いていればギリギリ大丈夫かな」と思う程度の深さ。

鏡張りの湖の向こう側に沈もうとしている太陽が、とても綺麗だ。

太陽を横目に、奥に進んでみる。

そちらの方角も、まるで「雪の湖に浮かぶ山」の様に美しい。

風が吹いてさざ波が立つ姿も、美しいのだけれど。

やはり、無風の中の塩湖が、一番美しい。

これこそ、まさに「鏡張り」だ。

太陽と、雲と、山並みが、鏡に反射している。

あぁ、なんて美しいんだろうか。

これを見られただけで、このツアーに参加した意味はあるのだろうな。

みんな、トリック写真や記念写真を楽しそうに撮っている。

私は、ひとり静かに、この空間を楽しむ。

うん、今わたし笑ってる。

心から、笑っている。

太陽が、雲の中に沈んでいった。

水のない場所まで戻ると、みんながワインを飲んでいた。

ひとり旅の時はお酒を飲まないと決めている頑固な私は、遠慮させて頂く。

「なんで?今日はエチオピアのホリデーなのに!」って言われちゃうと、心苦しいんだけどね。

人々の盛り上がりから少し離れて、一人で大地を楽しむノリの悪い女がここに一人。

すみませんねー。

なんで、夕日が沈んだ場所とは違う方向の雲が、真っ赤に染まっているんだろうね。

キャンプ地に戻る。

今日は、この簡易ベッドの上で、野宿なのだ。

昨日はゴツゴツの火山の山肌に直接マットレスを敷いて寝たのだ。

ベッドがあるだけ、今日の方が随分と環境がよい。

夕食は、相変わらず美味しかった。

もうさ、「ETTスタッフによるレストラン」でも、営業しちゃえばいいのに。

夜は、風が吹き乱れていた。

マットレスの上に敷いた寝袋が、重しを乗せなければ飛ばされてしまう程に。

風の音が気になって眠り難い。

だけど、きっと夏は暑くて眠れないんだろうな。

そう思えば、今は大分マシな環境なのだ。

▼前回のお話し▼
【ダナキルツアー3日目】まるで火星!な「ダロル火山」と、塩運びのキャラバン

POSTED COMMENT

  1. alkil より:

    はじめまして。
    明日からエチオピアに行きエルタアレに行こうと思っているのですが、やはり溶岩は当分見えなさそうですね。。
    ですが、折角の機会なので行くだけでも行ってみようかなと思っています。
    私も一人旅行なので、エチオピアが行く前なのに少し怖くなって来ました。。
    ETTで予約するか迷っていましたが、ここの記事をみて更に迷ってしまいますね

    • tabi-kurage より:

      alkilさま

      コメントを頂きまして、ありがとうございます。
      インターネット環境のない場所に行っていたために、返信が遅くなりまして申し訳ございません。

      明日から…ということなので、もうツアーにも参加された後でしょうか。
      ETTのツアーは皆さん満足されている様なので、私の運がとてつもなく悪かったのかと思います。
      ただ、もしまだツアー参加前でしたら、メケレにある「ドイツ人の会社」も検討されたらよいかと思います。
      社名は不明ですが、「ドイツ人のとこ」で申し込んだブログ記事などもありますので。ご存知かもしれませんが。

      alkilさまも1人旅との事なので、ご無事に楽しく過ごせますように…!

  2. alkil より:

    ツアーには参加してきました。
    直接アディスのETTへ行き、メールでのやりとりよりも大分安く(半額くらい)してくれたので決めました。旅程は塩湖、ダロル、エルタアレ、温泉の順で個人的には嬉しい順番でした。しかし書かれている通りエルタアレではマグマは殆ど見えませんでしたが、事前情報があったお陰でがっかりする事はありませんでした!ありがとうございます
    私は現在海外に住んでいる為、ある程度異国文化に理解する事が出来る様になり許せる様になって来ました。余計な事と思いますが、様々な人を理解できるとtabi-kurageさんの旅ももっと笑顔が増えるかもしれませんよ。この後も楽しく良い旅であります様に‼︎

    • tabi-kurage より:

      alkilさま

      再度のコメントを頂きましてありがとうございます。

      ツアー、行かれてたんですね。
      嬉しい順番だったようで…よかったですね!
      ご旅行楽しまれた様で、何よりでございます。

      海外ご在住なんですね。
      異文化を理解する事は、とても大切な事だと思います。
      私も、そういう自分でありたいと、日々思っております。
      ただ、エチオピア入国後すぐに「差別」と「セクハラ」を何度も受け、とても「文化の違い」として受け入れる事ができず、その後も心からは楽しむ事ができませんでした。
      まだまだ未熟ですね。。。

      今は別の国にきており、楽しんでおります。

      alkilさまも、この後のご旅行も楽しんでくださいね!

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