1日目に大雪高原沼巡りコースでトレッキングを楽しみ、2日目は緑岳で登山。
大雪山系に位置する標高2,020mの山。
緑岳は、幕末に蝦夷地を探検した松浦武四郎の名にちなみ、松浦岳という別称もある。
でも、彼は緑岳には登っていないんだって。
なんでだー!笑
紅葉はもう終わっているとの事だけれど、せっかく玄関口の大雪高原山荘まで来ているので、もちろん登る。
本日は、ソロ登山。
▼前回のおはなし▼
大雪高原山荘|1年で123日しか営業していない秘湯の宿!大雪高原沼巡り&緑岳
大雪高原温泉~緑岳|ピストン登山
5:30
森林パトロール高原事務所の横手に、登山口がある。
入山届には、まだ2名分程しか名前がない。
朝早いとはいえ、人気のない山なんだなー。
麓は、まだまだ紅葉が残っている。
横道でモクモクと白い煙が…。
気になったので立ち寄ってみる。
温泉の噴火口だ!
初めて見た!温泉の噴出口!
地球の息吹を感じます。場所は、大雪高原山荘さんの裏。
大変良質な温泉で、一年に123日しか営業しない、悪路の先にある秘湯。
(今年の営業はあと1週間!) pic.twitter.com/WYA2c1QrdC— Cise@北海道に移住(仮) (@Utar_Cise) October 4, 2022
こんなのもあった。
泥の中から湧き出る温泉♨️ pic.twitter.com/NIC41mj2lX
— Cise@北海道に移住(仮) (@Utar_Cise) October 6, 2022
山頂まで4.3km!
最初は紅葉の中を進むかの様な雰囲気を醸し出していたものの、すぐに秋の終わりの装いの登山道になる。
最初はゆるっと登っているものの、途中から急な斜面になる。
…と、地図を見て予測してしまったので、ハードな行程に入る前に朝食休憩。
前日に大雪高原山荘でもらったお弁当。
大雪高原山荘では、朝早く出発する場合は朝食をお弁当に変更してもらえるのだ。
おかずを何個か食べて、あとは山頂でのお楽しみに取っておく。
そして再出発!
6:20
登山開始から50分後、急斜面の中腹に「見晴台」。
わー、凄い!!!!
眼下に広がる紅葉の絨毯!!!!
なんて雄大なんだろう…。
というか、お弁当食べるなら完全にここだった。
なんで、何もない森林の中で食べたんだ。
急な斜面を40分ほど登りきると、ゆるっとした道に出る。
ここからは、登山というよりもトレッキング!
遊歩道なんて付いちゃって。
トレッキングというよりハイキング??
6:50
第一花畑に到着。
ここに来て、ようやく1人目の登山者と出会う。
でも彼はここで写真を撮った後に引き返して行ったから、登頂は目指さない人の様だ。
こんな雄大な大自然を、ひとり占め!!!!
景色は全然違うんだけど、こうやって穏やかで壮大な大地の中にひとりでいると、ヒマラヤトレッキングを思い出す。
大自然の中にただ一人、ポツンと存在する小さな人間。
その無力感が、なぜだか心地よい。
あー、私ってトレッキングが好きなんだなー。
なんで登頂を目指す登山に挑戦するんだろう。
こんな穏やかな道のりを、息なんか切らさずに、ただただ何処までも歩いていたい。
7:05
第一花畑から間もなく、第二花畑。
黄金色の台地の向こう側に薄く伸びる雲海と、少しだけ垣間見える山並みの、なんと美しいことか。
大雪山系・緑岳の中腹にて。
素晴らしい、爽やかなトレッキング道。2日後の本日、同じく大雪山系の旭岳と黒岳の5合目で初冠雪⛄️
つい先日まで紅葉狩り🍁で賑わっていた大雪山も、もうはや冬支度。 pic.twitter.com/OAfGtbO5ZQ
— Cise@北海道に移住(仮) (@Utar_Cise) October 5, 2022
いつの間にか、遊歩道がなくなっていた。
まだまだ道は穏やかだけれど、そろそろトレッキング道は終わりなのか…。
後ろを振り返ると、徐々に登山へと切り替わっていっているのが分かる。
わー、もう完全に終わりね!
つかの間の、穏やかで幸せな時間でした。
ここからは、ストイックな登山者に戻る。
えー!?
これ登るの!??
横、崖なんですけどっ!?
ガクブルです。。
危険な崖を何とかクリアした後は、眺望のない樹林帯に入る。
樹林帯を抜けると、パッと視界が開ける。
あれが緑岳!?
それとも、奥に少し見えているのが緑岳かな!??
8:00
最後の山場、急斜面&ガレ場の始まり。
ここからは、登頂まで緩むことのない急な斜面を登っていく事になる。
後ろを振り返ると、いま通ってきた樹林帯が。
こんな途方もない、果ての無さそうな山の中を歩いてきたんだな。。
どなたのうんち!?
こんなガレ場でクマさんに遭っても、逃げられないよ!?
こんなガレ場でなくても逃げられないけど。
これは大変だ。
「登山道」とハッキリ分かるような明確な道でもないので、岩に時折付いている黄色い印を見失わない様に歩かなければ。
…と思ったものの、何かがおかしい。
ガレ場を必死で登る事、約40分。
斜面はどんどん急になり、道はどんどんと険しくなっていく。
岩はどれも脆くて、触るとボロボロと変な粕が手に付くし、足を置くとグラグラと揺れる。
なるべく固定されている安定した岩を探すものの、どれも不安定で終始ヒヤヒヤが止まらない。
両手両足で、岩に這いつくばって慎重に歩みを進めるのだけれど、いつ滑落しても不思議ではない程の不安定さ。
これは、いくら何でも変だ。
いくら私が登山初心者だからといって、いくらここが超有名スポットではないからといって、こんな危険な道が普通に「登山道」として開放されているはずがない。
入り組んだ森林帯の中の登山道ではなく、視界が開けて山頂も常に見えている状態だったので、地図を全く見ていなかった。
ここでようやく確認してみると、やはり正規のルートからどんどん外れて行っていた。
やっぱり!
歩きやすいか歩きにくいかの違いだけで、どう歩こうと山頂には着くのだけれど、私は安全な道を歩きたい。
深みにハマる前に気づいてよかった!
上を目指して歩いていたものを、正規の登山道を目指して無理やり横に進む。
それも脆く崩れやすい岩にヒヤヒヤしながらとなるのだけれど、ルートが違うと分かった私は必至だ。
ほら!正規のルートは、比べるとこんなに簡単!
全然違うじゃーん!!!
土が見えているし、岩もしっかり地面に固定されているじゃない!泣
私がいたのは、あっち。
ふぅ…酷い目に遭ったぜ。。(←自分のせい)
一息つくと、リスに遭遇。
眼下の景色が凄い。
あちらが、私が来た方向。
どこから来たのかが分からない程、壮大な大自然。
これのどこに、人間の文明があるというのだろう。
そして、あちらは大雪山の他の山への縦走路かな??
わー。ロマンだなー。
いつかテントを背負って、どこまでも広がる大雪山を歩き倒したい。
9:15
ガレ場を登ること約1時間15分、出発からは約3時間45分。
ようやく山頂に到着!!!
ガイドブックに書かれているコースタイムは3時間なので、私の実力的にはまずまずだ。
ここから先に進めば、様々な場所へ縦走する事ができる。
まっすぐ進めば「赤岳」。
マイカー規制の際は、大雪高原行きと赤岳行きは同じ臨時駐車場に停めて、そこから各々の地点へシャトルバスで向かうので、近い存在。
真っすぐ東へ少し進んでから北に行くと、春に行った旭岳がある。
【大雪山系】6月の姿見の池遊歩道は残雪だらけ|旭岳登頂後の物見遊山
そして恐らく、こちらの縦走路を進むとトムラウシへ続いていて、更に十勝連邦までもいく事ができる。
あれは避難小屋かな??
私が来た方向。
薄く雲海が広がっていて、人間の気配をまるで感じない雄大さ。
「私はあの中の何処からきて、そして何処へ向かっていくんだろう」
と思ったヒマラヤでの日々を思い出す。
なんてスケールの大きい、雄大な大地なんだろうと思う。
360度、見渡す限りの大自然。
その中の一つの頂に私は立っていて、そしてここには誰もいない。
こんな大自然を独り占めできるとは、なんて贅沢な時間なんだろう。
ここまでで、第一花畑で会った人以降、まだ1人にしか会っていないのだ。
大雪山系の緑岳に登頂!
360度、見渡す限りの雄大な絶景をひとりじめ♡ pic.twitter.com/SmkC23euKK
— Cise@北海道に移住(仮) (@Utar_Cise) October 3, 2022
雄大な大自然の中で、お弁当休憩。
ひとりでいる時にお弁当を開くと、ドキドキする。
匂いで熊をおびき寄せる事にならないかしら…。
9:50
山頂で贅沢な時間を楽しんだあとは、下山。
下山のガレ場は、これはこれで怖い。
帰りは道を間違える事もなく、順調に樹林帯へたどり着く。
そして先ほどの崖の上。
下りの崖も怖い~。
11:30
下り始めてから1時間40分後。
ようやく下界に戻ってきた。
下山後は、宿泊していた大雪高原山荘の温泉で汗とその他諸々を洗い流し、すっきりとした気分で帰宅。
帰宅途中、峠で車がたくさん停まっていて何だろうと思ったら、彼だった。
本州ナンバー。
北海道では珍しくない光景だけれど、本州からの旅行者には珍しいんだね。
緑岳は大雪山の穴場!雄大な大地を独り占めで噛みしめる
この日私がすれ違ったのは、登りで2組、下りで3組ほど。
ほとんどの時間を独りで過ごした。
緑岳には、「日本百名山」「北海道百名山」などの○○名山のタイトルがない。
知名度の高い大雪山の山々の陰に、ひっそりと存在しているみたい。
縦走で立ち寄る事はあっても、緑岳だけを単独でピストン(同じルートで単純往復)する人は少ないんだろうな。
だけど圧倒的なスケールの大自然で、眺望も素晴らしい緑岳。
人気で賑やかな山とは違って、ひとりで大雪山の台地を嚙みしめるのには最高の山なんじゃないかと思う。