-Gonder to Addis Ababa-
朝2時半過ぎに宿を出る。
宿の前の通りは、街灯の少ない通りかと思っていたのだけど、街灯のない通りだという事に気づく。
こんな道を日が暮れてから歩いていたらね、そりゃあ痴漢も出没しますよね。
真っ暗な中、こんな大嫌いな町でも星空は綺麗なんだな~と、妙に感心しながら歩く。
▼前回のお話し▼
エチオピアという国に敗北した日|アフリカ大陸縦断旅行、断念の危機が訪れる
ゴンダールからアディスアベバへ|VIPバス
ロータリーに着いた。
この辺りだと思っていたのだけど…細かい場所を忘れてしまった。
真っ暗で、昼間とは景色もまるで違うし。
彷徨っていたら、ある男性に声をかけられる。
この町で声をかけてくる男は100%ムシを決め込んでいたのだけど、何となく彼からは悪人の匂いがしない。
バスチケットを見せて、バス乗り場を探していると伝える。
すると、バス乗り場まで案内してくれることになった。
え…!優しい!
ゴンダール住民なのに!(←偏見)
バス乗り場は、ロータリーから更に少し進んだところにあった。
広場に1軒屋台があるだけの、こざっぱりとした場所。
暗闇の中で、バスを待っているのであろう人々が数人立っている。
バックパックを背負いながら立っているのは、少し辛い。
少し奥に、公園の入り口の階段らしきものが見えるから、あそこに座ろうか。
階段に向かって歩いていると、若い男女の集団の一人が「どこへ行くの!?」と声を掛けて来た。
「暗いところに行ってはいけないよ!ここから離れないで!」
そうなんだ…。
私的には、ここもあちらも同じ暗さなのだけど。
あっちは危険なんだね、教えてくれてありがとう。
バスの到着予定時間3時の10分ほど前に、綺麗な大型バスが3台ほど広場に入ってくる。
VIPバスって、こんなに綺麗なんだ!
しかも、定刻より前に到着するなんて驚き。
アフリカではいつも、1時間以上待つ事なんて当たり前だったから。
ある男性が、声をかけてきた。
「どこのバス会社?」
チケットを見せると、「まだ来ていないね、ザマン(ZEMEN)という会社のバスだよ!」と教えてくれる。
なるほど、ここには色々な会社のVIPバスが来るのか。
また追加で2台ほどやってくる。
男性に「何台くらい来るのか」と聞いてみたら、「15~20台くらいかな」と教えてくれる。
そんなに来るのか!
「色々な行先のバスがあるんだよ」と。
そうなのか。
この町からローカルバスに乗らずに脱出する方法が、このVIPバスでアディスアベバに行く事だけだと思っていたのだけど。
他の場所にも、行けたんだね。
定刻より10分遅れくらいで、バスが到着。
先ほどの男女グループも同じバスの様で、私をエスコートしてくれる。
男女グループとは言っても、男性1人と女性4人。
男性は乗らない様で、女性陣のお見送りだった様だ。
彼が、「困ったことがあったら、何でも彼女たちに聞いてね」と言い残して去っていった。
その彼女たちは、私がバックパックを預けるところから、席に座るまでをエスコートしてくれた。
なんて優しいんだ。
バス乗り場まで案内してくれた人、乗るべきバスを教えてくれた人、そして彼女たち。
今日はまだ、優しい人にしか会っていない。
本当に、昨日までいたのと同じ町なのだろうか。
あぁ、たぶんヒドイ人なんて本当は一握りで、だけどそんな人にしか出会えなかっただけなんだろうな。
バスの中は、日本の長距離バスと比べても全く見劣りしないほどの綺麗さだった。
USBケーブル用のコンセントまで付いている。
そして、荷物も積み終わり、集合時間の30分後の3時30分に出発。
なんて順調なんだろうか。
出発するとすぐに車内は暗くなり、乗客が眠れる環境になる。
外が明るくなった頃には、ミネラルウォーターとお菓子が配られた。
途中で何度か休憩をはさみながら、順調にバスは進んでいく。
何もない路上に停まってみたり。
ゲストハウスのレストランで食事休憩があったり。
またまた、伝統的な家屋のみがある路上で停まってみたり。
隣の席のおじいちゃんが、よくわからない実をくれた。
これは、美味しい!
私も買えばよかったかな。
食べ終わったら、またお替りをくれた。
ひと眠りして目が覚めた頃に、またくれた。
なんていい人なんだ。
VIPバスにしてよかったよ。
ここまで、嫌な思いを1度もしていないんだから。
これがローカルバスだったら、たぶんまた違う旅路になったんだろうと思う。
VIPバスだから、やっぱり乗務員も客層もいいんだろうね。
乗務員も、度々車内を点検して、ゴミ回収などをしているのだ。
うん、やはり一部の人間だけを見て、その国を判断してはいけなかった。
ここに居る人たちは、あいつらとは全く違う。
バスは、出発してから12時間後の、15時30分頃に首都アディスアベバに到着。
明るいうちに着くなんてありがたい!
ローカルバスの場合は、所要時間2日という事だ。
VIPバスだと、1日で来れる。
何が違うんだろう。
スピードなのか、道なのか。
エチオピアでは、今後もできる限りVIPバスに乗ろう。
ローカルな体験は、この国ではお休みだ。
エチオピアの首都、アディスアベバ
バスを降りて荷物を受け取るときに、何故か10ブル(約33円)を要求された。
先ほどまで皆の世話をしていた乗務員ではない。
誰だよお前。
「荷物代は運賃に含まれていると、バス会社の人が言っていた」と突っぱね、彼を無視してその場を離れる。
特に、しつこく追ってきたりはしなかった。
こういうのを防ぐ為に、昨日確認しておいてよかった。
目的の宿までは、徒歩だと1時間ほど。
ここがスーダンならば、迷わずタクシーに乗るのだけど。
エチオピアのタクシー運転手となんて話したくない私は、自力で宿を目指す。
坂道があったりと、かなりしんどい道のり。
エチオピアの首都アディスアベバは、都会的な町だ。
1時間の道のりで、ゴンダールの様に不快な思いをする事はなかった。
声をかけてくる人はいるけれど、しつこく付き纏ってきたりはしない。
やはり首都だから、住民の教育レベルが高いという事だろうか。
それとも、あのゴンダールという町だけが、特殊だったのだろうか。
エチオピアなんて大嫌い!今すぐ出国したい!
…と泣きべそをかいていた昨日が嘘の様だ。
1都市だけを見てその国を判断するのは、よくないね。
1時間ほど歩いて、宿に着いた。
宿は、ウトマホテル(Wutuma Hotel)。
朝食込みだと、1泊500ブル(約1650円)。
朝食なしだと、1泊450ブル(約1485円)。
このホテルの1階に入っているレストランは、結構美味しいみたい。
朝食はビュッフェとの事なので、朝食込みで泊まる事にした。
宿代、かなり予算オーバーではあるけれど。
だけど、エチオピアでは、あまりケチらないで快適さを重視する事にした。
部屋は清潔で、ホットシャワーもWi-Fiもある。
朝から朝食を探す手間もない。
なんなら、夜もここで食べたらいい。
よかった、ここで弱ったメンタルのリハビリができそうだ。
暗くなる前に、食事を済ませてしまおう。
宿の外は、雑多な路地。
治安はあまりよろしくない様で、スリの被害なども報告されているらしい。
宿の近くのハンバーガー屋さん「WOW」で夕食を取ることにした。
本当は、中華や韓国料理、日本料理なんかもあるんだけど。(さすが首都!)
ちょっと予算が想像できないのでやめた。
ビーフバーガーとマンゴージュースで150ブル(約495円)。
ハンバーガーは、まぁ普通なのだけど、ポテトが美味しい!
帰りにトイレットペーパーを買ったら、1ロールで30ブル(約99円)もした。
宿に帰ってから、3日ぶりのホットシャワーを浴びて、幸せな気分で今日を終える。
▼次回のお話し▼
アディスアベバのETTでダナキルツアーの予約&やっぱり少し変だよ、この国は