ー世界はきっと、美しいー
エチオピア -Ethiopia-

エチオピアという国に敗北した日|アフリカ大陸縦断旅行、断念の危機が訪れる

【アフリカ大陸縦断記】2020/01/02

ゴンダール(エチオピア)-Gonder-

この町から、シミエン国立公園に行ってトレッキングをするのを、とても楽しみにしていた。

登頂を目指せば1週間くらいかかるとの事だけれど、2泊3日のトレッキングでも、十分に素晴らしい景色を楽しむ事ができると聞いていた。

色々な国でトレッキングを楽しむために、わざわざ日本からトレッキングポールも持ってきているのだ。

荷物は最小限に抑えたい貧弱な私は、化粧道具さえ持ってきていないというのに。

だけど、シミエン国立公園には行かない事にする。

外に出れば、数分ごとに色々な男どもが話しかけて来て。

たまにセクハラもされるし。

昨日は私の貧相なおっぱいを触られるし。

エチオピアンの豊満なお胸の方が、絶対魅力的だろうに。

宿に戻っても、スタッフが執拗に話しかけてくるからくつろげないし。

部屋の中が、私にとっての唯一のセーフポイント。

こんな町は、早々に去りたい。

明日は、楽しみにしている絶景の宝庫「ダナキル砂漠」の拠点の町へ向けて移動しよう。

素晴らしい絶景に、この荒んだ心を癒してもらおう。

▼前回のお話し▼
世界一うざい国エチオピア|2日目にして、嫌いになる

ゴンダールの城|女兵士の嘲笑

朝食は、昨日と同じカフェ。

特に凄く気に入ったわけではないのだけど、「特別に不快な出来事」は起こらないカフェだから。

「特別に不快な出来事は起こらない場所」というのが、この町では聖域なのだ。

今日は「スペシャルエッグ」というものを頼んでみた。

観光の1つくらいしておこうかと、世界遺産である「ゴンダールの城」に行ってみる。

ここが入り口かな?

…と思ったら、違ったみたい。

ここから、更に進んだところにゲートがある。

ゲートでは、女兵士から荷物チェックを受ける。

女兵士が近づいて来て、サンダルを履いた私の足を豪快に踏みつけてくる。

(わざとではないと思うけど)

思わず「痛っ!!」と日本語で叫んでのけぞった私を見て、女兵士は謝るどころか「くすくす」と可笑しそうに笑う。

後ろにいた2人の男兵士も、ゲラゲラと笑ってくる。

「チャイナチャイナ」と嘲笑してくる。

悔しい。

泣きたくなるのを堪えて、敷地に入る。

敷地内は、思ったより広い。

お城に近づいて中に入ってみると、更に後ろのお城に出る。

だけど、全然楽しめない。

心を落ち着かせるために、木陰に座ってぼーっとする。

ゲートの兵士たちは不愉快だったけれど、うざいローカルたちはいないから、静かに過ごすことができる。

外に出れば男どもがうざいし、宿に戻ってもスタッフがしつこいから、しばらくここに居ようか。

1時間ほど経って、帰ろうとする。

そして、肝心なメインのお城を見ていないことに気づく。

これが、メインのお城だ。

めちゃくちゃ逆光だけど。

来る時間、間違えたな。

ゴンダールのバス乗り場|人生最大の屈辱

次は、ダナキル砂漠の拠点の町「メケレ」行きの中継地である「シレ」という町行きのバスを予約したい。

地図アプリに「バスターミナル」のマークがある場所に、行ってみる。

この町は、トゥクトゥクで溢れている。

エジプトやスーダンの黄色と黒のデザインとは違うみたいだ。

バス乗り場に着く。

色々な男どもが、「どこに行きたいんだ!?」と詰め寄ってくる。

遠くから、わざわざ走ってこちらに向かってくる人もいる。

バスもボロボロの、いかにも「当日いろんな意味で揉めますよ~♪」という雰囲気がプンプンするバスだ。

私が行きたい「シレ」ではなくて、首都の「アディスアベバ」行きではあるのだけど、ここではない場所から少し高級なバスが出ているという情報もある。

そこに、行ってみようか。

情報があった、何とかペンションの前に着くも、それらしき場所が見当たらない。

ペンションに入って、スタッフに聞いてみる。

「どこに行くの?」と聞かれたから「シレです」と答えたら、先ほど行ったバス乗り場を案内される。

シレ行きのバスがここから出ていないのか、それともバス乗り場自体がここにないのか。

とにかく、私はあのバス乗り場でチケットを買うしかないようだ。

再び、バス乗り場を訪れる。

さっとカメラを出して、さっとしまう。

よし、何故かさっきよりは、声を掛けてくる人は減った様だ。

男どもに声をかけられる前に、急いでチケットカウンターらしきところに行く。

先客がいたので、待ってみる。

すると、カウンターのすぐ脇で座り込んでたむろしている、4~5人の下品な女たちが、「チャイナチャイナ」とからかってくる。

うるさいなー。

私はチャイナではないし、あなたたちに用はないのだよ。

ムシをしていると、カウンターの中の女性が彼女たちを指さして「あっちに行け」という仕草をする。

言葉は一切発せずに。

え??

「私は、シレ行きのバスを予約したいのですが…」と伝えてみるも、「そっちで聞け」という態度を取られるばかりで、取り合ってもらえない。

そうなの??

この、下品に座り込んでたむろしている女たちが、正規のチケットを売っているって??

とてもそうは見えないのだけど、念のため聞いてみる。

「ここは、チケットオフィスなのですか?」

すると、さきほど無視をしてしまった腹いせだろうか。

「チャイナ~♪笑」

「ノーイングリッシュ♪」

「ギャハハハ~♪♪」

むかっ。

カウンターに戻って、「彼女たちは、英語が話せないみたいです」と伝える。

すると、「チッ」と凄く嫌そうな顔で舌打ちをして、やはり彼女たちの方を指さす。

「チケットは、どこで買えますか?」と聞くも、凄い形相で睨みつけられて、それ以上は、何を言っても答えてくれなくなった。

え??なんで??

確かに、たむろ女たちのからかいは無視したけどさ、このカウンターの女性には、失礼な態度を取ったつもりはないのに…。

もう一度、たむろ女たちに聞いてみる。

「チケットは、どこで買えますか?」

「ノーイングリッシュ♪ノーイングリッシュ♪」

「チャイナ~♪」

「ギャハハハ~♪♪」

もうダメだ。

私は、踵を返してその場を離れる。

男どもが、「どこに行きたいんだ~??」と聞いてくる。

たぶん、この男どもに頼めば、高額なマージンが加算された上で、運転手から直接チケットを買う事ができるんだと思う。

たぶんだけど。

だけど、先ほど彼女たちに完全に打ちのめされてしまった私には、この男たちと対等に交渉する気力がない。

今にも、悔し涙が溢れ出しそうなのだ。

だけど、この敷地を出るまでは、決して泣いてはいけない。

敷地を出る。

悔しい。悔しい。悔しい。

男どもが鬱陶しいのはさ、仕方がない面もあると思うんだ。

女ひとり旅をしている以上は。

だけど、「同じ女性に侮辱される」というのは、とんでもなく屈辱的な事なんだね。

こんなに屈辱的で、こんなに惨めな気分になったのは、たぶん2年ぶりくらいだ。

町の男どもはうざくて、たまにセクハラもされて。

宿のスタッフも鬱陶しくて。

その上、女性にも侮辱されてしまった。

ゴンダールの城の女兵士もそうだったけどさ。

この町で私は、バスチケットすら買えないんだ。

その事も、とても悔しい。

バスチケットすら買えない旅人って…能力低すぎだろ。

バスに乗れないなら、どうすればいいんだ。

もう、飛行機に乗るしかないのかな。

幸い、この町には飛行場がある。

飛行機に乗って、次のケニアにでも飛んでしまおうか。

悔しいな。

「アフリカ大陸を、陸路で縦断するぞ!」

だなんて意気込んでおいて、1ヵ月もしないうちに断念するなんて。

だけど、バスチケットを買えない今となっては、もう飛行機しか手段はないわけで。

もう一度、覚悟を決めて男どもと交渉すれば行けるんだろうけど。

もう無理。
今の私には、それができない。

他の人はさ、「うざいうざい」と言いながらも、この国で旅ができているわけで。

ぼったくられながらも、果敢に交渉に挑んでいるわけで。

文句を言いつつも、目的の観光地は全て訪れているわけで。

なんで私だけ、それが出来ないんだろうか。

彼等にあって、私にないものって、一体何なんだろう。

私には、無理だったんだ。

女一人でアフリカ旅行。

私にはそれができると過信していたのは、どうやら己惚れだった様だ。

今すぐに声を上げて泣き出したい気持ちをグッと堪えて、涙の一滴も垂らすまいと、歯を食いしばって歩く。

だって女々しく泣いてしまったりしたら、男どもが私に声をかける、絶好の口実を作ってしまう事になるじゃないか。

怒りと、悔しさと、惨めさからくる深い悲しみによって歪んだ私の顔が、相当に不細工だったのか。

ホテルに着くまでの約20分間の間に声をかけて来た男は、わずか5~6人だった。

もう、常にこの表情で街を歩いてやろうか。

部屋に着くまでは、泣いてはいけない。

あのスタッフの男に見つかったら、大変だ。

部屋に着いた瞬間、涙がボロボロと溢れ出る。

この涙が枯れたら、飛行機を探そう。

ゴンダールから、ローカルバスを使わずに脱出する方法を探す

飛行機を探す。

ゴンダールより先のアフリカ諸国へ飛ぶ飛行機はないみたい。

とりあえず、国内線で別の町に行こう。

だけど、直近でも2日後の飛行機しかない。

私は、明日にでもこの町を出たいのに。

何の新しい情報もないだろうに、ガイドブックを眺める。

すると、ツーリストインフォメーションの近くから、首都のアディスアベバ行きのバスが出ていると書いてあるではないか。

先ほど訪ねたペンションの近くではあるけれど、通ってない場所だ。

そうだ、これに賭けよう。

涙を拭って、外に出る。

ツーリストインフォメーションの近くに来るものの、バス乗り場らしき場所は見当たらない。

ツーリストインフォメーションに入って、スタッフの女性に聞いてみた。

すると、バスのチケットカウンターの場所を、丁寧に教えてくれた。

あぁ、その優しさが、心に染みるよ。

この町で優しくされたのは、昨日の通信会社エチオテレコムの女性2人と合わせて3人目。

貴重な「親切のエネルギー」を、身体いっぱいに取り込む様な気持ちでスタッフの女性と接する。

説明が終った女性は、外まで出てきてくれて、再度「ここを真っすぐ言って、右だからね!」と教えてくれた。

最後に、握手も求めてくれた。

凄く嬉しいよ。

ありがとう。

教えてもらったバス会社は、すぐに見つける事ができた。

ローカルなバスではなくて、少し高級なバスを扱う会社。

関わって嫌な思いをする頻度は、きっとローカルバスに乗るよりは低いだろう。

チケットブースに近づくと、「ヘイッ!チャイナ!こっちへ来い!」と、私の腕をグイッと掴んでブースの中に強引にぶち込まれる。

エスコートしたいのか、背中に手を回されたりもする。

我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢。

ここでバスチケットが買えなければ、私は次へ進めないのだから。

ブースの外から、窓口越しに対応可能なのだけどね。

何で中にぶち込まれたのか。

いや、そんな余計な事は考えるな。

できるだけ冷静に対応して、明日のアディスアベバ行きのバスチケットを500ブル(約1650円)で購入。

出発は朝の3時で、このオフィスに来れば乗れるという。

ローカルバスだと、別途荷物代を取られたりするみたいなので聞いてみると、荷物代はフリーだと。

よかった、荷物代を巡っての攻防なんかも、体験しなくて済むんだ。

夜は痴漢が出るので、今夜は昨日買ったビスケットで空腹をしのごう。

ゴンダールの宿「ミケル」の鬱陶しいスタッフ(再)

夜7時ごろ、部屋のドアをノックされる。

出たくないな~と思って一度ムシをしてみるものの、もう一度ノックされてしまったので、諦めて扉を開ける。

案の定、あのしつこい宿のスタッフだった。

初日に飲んだコーラの瓶を、回収しに来たのだという。

ちょっと待っててと、一度扉を閉めて探すも、見当たらない。

瓶を失くすことなんて、あるだろうか??

…と思ったら、「そうだ、あのコーラは部屋を移動する前の4人部屋で飲んだんじゃないか」と思い出す。

スタッフの男に、その旨を伝える。

だけどさ、瓶の回収の必要なんてあるかな??

わざわざ部屋に訪ねてきてまで、回収するものなのか??

なんか、私と話したいだけなんじゃないかと疑う。

案の定、訪ねて来た目的は果たせたというのに、関係のない話をダラダラと続ける。

男「これから、外を散歩しに行こう!」

私「いや、結構です。」

男「何で?」

私「色んな男たちが、私に触るから。」

(色んな男とは言い過ぎで、実際に触れてきたのは4人なのだけど。)

男「えー?何で!???」

(何でかは、こっちが聞きたいわーーーーー!!!!!!!)

私「いや、何でかは知りませんよ。」

男「大丈夫だよ、行こう行こう!」

私「嫌です。申し訳ないけど、私は外が嫌いです。」

男「そっかー。だけど、怒らないでよ。外で嫌なことがあっても、宿では家族の様に過ごしていいからさ!」

(私が宿でも安らげない原因は、あなたなんですけど!???)

男「洗濯物、屋上に干さなかったの?」

私「干そうと思ったけど、高すぎて手が届きませんでした。」

男「えー?椅子がいっぱいあったでしょ?それを使えばいいのに!」

私「椅子を使っても、届かなかったんです!」

男「僕が手伝ってあげるよ!なぜなら、室内干しは良くないからさ!」

(私は、顔が少し見えるくらいの隙間しか扉を開けていないのに)

(それでも室内に干してある洗濯物に目が行くなんて、かなり目ざといんですけど??)

私「いいです、いいです!すぐ片づけますから!」

男「手伝うから!ほら、かしてごらん!」

(本当に要らないからー。私、あと数時間後にはこの宿でるんだから!…という情報は、まだ渡したくない。)

私「本当に、いらないですから!」

すると、他の人がスタッフの男に話しかけに来た。

少し、話し込み始める気配。

ナイスタイミングだ!

「じゃぁ、また!」と、彼の返事を待たずして扉を閉める。

ふう…。

21頃、部屋代を払いに事務所へ行く。

この時間なら、「これからどこそこに行こう!」とか言われても、「もう寝る時間なので」と逃げる事ができる。

あとは、「なんで出て行くの??トレッキングも行っていないのに!!!」なんて言葉を、うまくかわせるかどうか。

…と思ったら、事務所にあの男はいなかった。

他のスタッフが対応してくれて、無事に完了。

明日アディスアベバに行ったら、すぐに次の町へ行く準備をしよう。

もう、この国は何も見ないで、通過するだけだ。

一刻も早く、ケニアに行こう。

どうやら私は、このエチオピアという国に、敗北してしまったみたいだ。

▼次回のお話し▼
ゴンダールからアディスアベバへVIPバスでゆく|エチオピア嫌いが治りそう

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