グルガオン -Gurgaon-
インド留学1週目、英語を学習する以前の問題がたくさんある事に気づく。
2週目は、自分の姿勢を見直すことで少しだけ成長を実感。
チャレンジ1|人の輪に加わる
<先週までの私>
ランチタイムも外で一人で過ごし、シェアハウスでも自室に籠っているばかりだった。
だって人々で賑わっているんだもの…私は一人で静かに過ごしたい。
だけどそれではいけないと、私のチューター先生「ケニー」と日本人スタッフの方に言われていた。
ケニーは私が通りかかる度に「チセ!」と声を掛けてくれるのだけど、私は簡単な挨拶だけで通り過ぎてしまう。
ケニーは私が遅くに帰ってくると、「帰宅が遅すぎるよ!」とまるで高校生の子を持つ母の様に私を咎める。
ケニーは私に、夜はダイニングに出ておいでと言った。
「人が多すぎるし、日本語の輪に加わっても意味ないよ」と言うと、「21時以降なら問題ないよ」という。
どうやらケニーがダイニングに滞在するのは21時以降らしい。
<2週目~の私>
ランチはテイクアウトをして、必ず学校で食べることにした。
座り切れないほどたくさんの人がいるから、限りあるスペースを新人の私が使うのは忍びないと思っていたのだけど、ここでは「遠慮」の気持ちは捨てて過ごすことにした。
同じお金を払っているのだから、遠慮していたらもったいないよと日本人スタッフの方にも言われていた。
夜21時以降は、勉強を切り上げてダイニングで過ごすことにした。
ランチタイムの学校も夜のダイニングも、確かに日本語が飛び交っているのだけど、私はなるべく先生たちともコミュニケーションを取るように心掛けた。(私なりに…)
チャレンジ2|ケニーと仲良くなる
<先週までの私>
英語力向上の近道は、先生と「友達」になる事だと言われた。
だけど、そんなのは私には無理だ。
初対面の人に簡単に心を開けず、どうしても壁を作ってしまう。
当たり障りのない対応しか取れない。
ケニーは私に散々言ってくれた。
「You are my friend !」
「You can talk to me !」
それなのに私は、なかなか歩み寄れなかった。
ある人に、今週からは「共有スペースで過ごす」という取り組みを始めてみると言ってみた。
今は人が少ない(英語コースの生徒は僅か4人)、だけど繁忙期はもっとたくさんの人がいた事、
そしてケニーは人気が高いから、日々ケニーの争奪戦が繰り広げられていた事を教えてくれた。
人が少ない今は凄くチャンスで、ケニーが暇そうにYouTubeなんて見ているのは凄くもったいない事だと教えてくれた。
そうなのか…そんな壮絶な戦いに参加するマインドは私にはない。
そう思えば、ケニーを独占し放題な今はとてつもないチャンスタイムだ。
そして「ケニーは私のチューター」という事も、偶然な幸運だ。
授業は4人の先生から受けるけれど、便宜的に担当の先生が割り当てられている。
授業以外の時間に質問したり頼ったりするのは、基本的にはチューターの先生になる。
<2週目~の私>
という事で、ケニーとの間にある壁を取り払う事にした。
学校ではケニーから話しかけられる前に自分から話しかける機会を増やした。
ケニーに英語日記の添削をお願いする様にした。
夜は必ずケニーと過ごすことにした。
ケニーが料理をしている間も、彼の隣でそれを見ている。
一度、料理を一緒に作ったりもした。
他に誰かがいても、私はケニーの隣に座って彼にベッタリ。
日本人と日本語のコミュニケーションももちろん取るけれど、基本的にはケニーとのコミュニケーションが優先。
そのおかげで、部屋で勉強する時間は大きく損なわれる事になった。
だけど、机に向っての勉強ならいつでもできる。
生のコミュニケーションの機会は、「今」しかないのだ。
チャレンジ3|とにかく発言する
<先週までの私>
全員が集合する授業で、私は完全にお客さんだった。
「チセはどう思う?」「チセ、何か質問ある?」と振られるまで話せなかった。
日本語のディスカッションの時間だって大の苦手なのに、さらに拙い英語力でそれをやろうというのだから難易度が高すぎる。
<2週目~の私>
だけど、とりあえず発言をする事にした。
拙くたって、単語の選択も文法の構成もハチャメチャだって構わない。
ディスカッションの時間は、思いついた事があれば口にする様に心掛けた。
ゲームの時間は、(ケニーが「優勝したら何かあげるよ」なんて言うもんだから)頑張って一番長い人と同率1位になった。
プレゼンテーションの時間は、とにかく全員に質問をする事にした。
(1人が終るごとに質問タイムがある)
そして私のプレゼンテーションは、(理由はわからないけれど)褒めてもらえた。
2週目を終えて|英語学習の敵
自分の英語学習の一番の敵は「自分自身」だと気づいた。
まずは自分の殻を破らなければいけない。
英語力がどうこう以前に、私は自分を変えなければいけない。
下手糞でも、まずは言葉に出さなければ始まらない。
誰も私を笑わないし、話を聞いてくれる。(先生も生徒も)
下手糞な英語を話すことに抵抗がなくなった。
拙くても、コミュニケーションが楽しくなった。
そして自分に何が足りないのかが、見えてくるようになった。
授業以外の出来事
授業の他にも、密かに人生初めての体験をしたり。
海外旅行保険を使ってみる
朝、ヘアーアイロンを足に落としてやけどをしてしまった。
出発前だったので少ししか冷やす時間を取れず、学校に着いた時には大きい水膨れになっていた。
せっかく加入しているので、海外旅行保険を使ってみる事にした。
日本人スタッフの方がインドの「ジャパニーズヘルプデスク」に電話をしてくれて、その電話で近隣の病院(Fortis)の予約を取ってくれた。
Fortisに行くと日本人用のカウンターがあり、そこで日本語の堪能なインド人が対応をしてくれる。
- 書類を書き、パスポートと保険証のコピーを取る。
- 皮膚科の先生の所に一緒に行き、通訳をしてくれる。
- 私がソファーで待っている間に、代理で薬を買ってきてくれる。
流れに身を任せて、全てがスムーズに執り行われた。
キャッシュレスだから、お金も払わない。
帰国後に必要な手続きもない。
いや~簡単簡単。
しかし、電話番号を持っているか知り合いにサポートしてもらう必要がある。
最初のアポイントメントをスタッフに頼ってしまったので、今後の一人旅の参考や訓練にはならなさそうだ…。
チャパティーを作ってみる
インドでは、日本でお馴染みの「ナン」は少し高級品。
庶民は普段「チャパティ」を食べる。
そして「生粋のインド人」は、毎日毎日飽きずにチャパティを自作して食べている。
ケニーはインド人ではない(自称…笑)ので、いつも美味しそうな異国の料理を作っている。
ケニーはヒンドゥー教徒ではないので、ビーフでも何でも食べる。
生粋のインド人マニッシュが、チャパティをタネにした状態で持ってきてくれたので、私はそれを丸めて伸ばして、火で炙る。
タネから作ったわけではないのだけど…それでもチャパティーが完成するまでの工程の一部に参加できたのが嬉しい。
ここグルガオンは全く「インド感」がなく、ケニーも全くインド人っぽくないので、「私は今インドにいる」という事を半分忘れて過ごしている。
だから、こんな形でインドに触れる事ができるのは、思いがけずに楽しい事だ。
日本人の輪にはあまり加わらない他のフロアのインド人たちも降りてきて、私とマニッシュを見守ってくれた。
(この時、日本人は私しかいなかった)
さて、来週はもう既に後半戦。
私は、どこまで成長できるだろう。