リー→ジョードプル
-Delhi to Jodhpur-
北インドのデリーから夜行バスで約13時間。
西インドのラージャスターン州にあるジョードプルという町に到着した。
ラージャスターン州は、砂漠の国だ。
もくじ
夜行バスでたどり着いた砂漠の国
バスは順調にジョードプルの中心地へ向かう…と思っていたら、なんとどんどん遠ざかっていく。
え!まさかジョードプルは終点じゃなかったの!?
私、降り損ねた??
乗務員に聞いてみたら、ぐるっと回って終点は中心地だから問題ないと言われる。
安心して窓の外を眺める。
バスが止まったタイミングで、外にいる男が「ここが終点だ!降りてこい!」と激しく手招きをする。
え~でも地図でみたらめちゃくちゃ遠い。
それに、まだ乗っている人も沢山いる。
無視をしてみたら、間もなくバスは出発した。
どうやらリクシャーの客引きだったようだ。
そんな事を、2~3回繰り返す。
なんだか嫌な予感しかしないよ、ジョードプル。
そして、中心地へ向かっているかな~と思う頃、まだまだ遠いのに終点に着く。
昨日出会ったスペイン人のおじちゃんが確認してくれて、どうやらここが本当の終点だとわかる。
「よく眠れた?」と聞かれる。
うん、寒かったけど。よく眠れた。
「よかったね、1人部屋だもんね。僕は他の人と一緒だったから全然眠れなかったよ。(苦笑)」
あぁ、やっぱりね…。
スリーパーバスを予約するときは、気を付けなくちゃ。
密室に知らない誰かと2人きりは厳しすぎるよね。
リクシャーで宿を目指す
今回、私は初めて事前に宿を予約してみた。
本当は予約はせずに現地で決めたいんだけど、クリスマス&年末シーズンだからと思って念のため。
わらわらと群がるリクシャーワーラーに、この宿を知っているかと尋ねる。
いや、知らないよね…ピンポイントで安宿の名前言ってもわからないよね。
だけど宿は路地の中にあるから、他に目印になるポイントなんてない。
そこで、「知っている!」というリクシャーワーラーが現れる。
なんと「250ルピー(453円)」だと言う。
高すぎる…ブッダ・ガヤーでさえもっと安かったよ。
多分距離はこっちの方が短いのに。
だけど、この人に頼るしかないのか。
頑張っても200ルピー(360円)までしか下がらなかった。
結局わからなかったみたいで、地元の人に聞きながら行ったり来たりを繰り返し30分ほど経って止められる。
「ここから100メートルだから、ここで降りろ」と。
どうやら、この先は狭すぎて行けないみたいだ。
「100メートルは遠すぎる、目の前まで行かないならディスカウントして」と言うも、応じてくれなかった。
仕方なく予定通りの200ルピー(360円)を払うと、250ルピー(453円)だとか言い出す。
……。
無視無視。
いや~、嫌な予感がするよジョードプル。
ジョードプルの、簡素な小屋部屋
狭い路地を抜けた先に、宿はあった。
あぁ、ヒマラヤのロッジを彷彿させる様な簡素な小屋部屋だ。
小屋の中に、ベッドが一台あるだけの部屋。
こういうのは、久々過ぎて免疫が薄れている。
だけど屋上にあるこの部屋。
部屋を出ればすぐに、ジョードプルの街並みが綺麗に見渡せる。
遠くに見えるあれは、何だろうね。
あれは、ジャスワント・タダ(Jaswant Thada)
この町一番の見どころメヘラーンガル砦(Meherangarh Fort)
チェックインの為にパスポートを預けたら、コピー機に引っかかってページがビリリと破けてしまった。
9割5分くらいのところまで裂けていて、残りの5分でかろうじて繋がっている。
「本当にごめんなさい….」と申し訳なさそうに謝られたのだけど…。
日本人らしく、「いいよいいよ、気にしないで」と言ってあげる事はできない。
だってこれは私が我慢をすればよい話ではなくて、この先の渡航に支障をきたす恐れがある問題だ。
よりによって顔写真のページ…。
誰もが絶対に見るページ…。
どうしてくれるんだよー。
砂漠の国「ジョードプル」の人々と街歩き
まずは早速、あさってのジャイサルメール行きのバスを予約しようと情報を調べるも、チケットブースがどこにあるかがよくわからない。
どうやら、今日乗って来た様な快適スリーパーバスがあるみたいなんだけど。
仕方がないので、ガイドブックの情報を頼りに、徒歩1時間ほどは掛かりそうな距離にあるバススタンドを目指してみる事にした。
プラプラと街歩きでもしながら向かえばいいか。
ブルーシティーの青い街並み
ここジョードプルは「ブルーシティ」と呼ばれている。
そんなこと言われたら、町全体が青一色なのかなとか思ってしまうよね。
全然そんな事ない。8割くらい話盛ってるね。
砂漠のまちだもん。
基本は茶色い風景に、たま~に青い建物がぽつりぽつりとある。
この青い売り物に青い窓が可愛い。
途中でチャイ屋さんに声を掛けられて立ち寄る。
チャイ屋さんにナンパされたらね…相手がウザい人じゃなければ、100%ほいほい付いて行く尻軽な私。
なんでこんなに暑いのに、アツアツのチャイを美味しく飲めるんだろうね。
そう、昨夜は寒さに凍えていたけれど、昼間は暑い砂漠の国。
ジョードプルの人々…
歩いていると、色々な人に「ハロー」と声を掛けられる。
私は「ハロー」と返事をする。
始まりの町「ネパールのカトマンズ」では、これで多くの客引きを引き寄せる羽目になった。
だから、以降は相手が日本人(かもしれない人)まで一貫して無視をする事になった。
だけどこの町は、「ハロー」と返事をしてもよい町の様だ。
ただただ、「外国人に挨拶してみたいだけ」の好奇心なのがよくわかる。
すれ違う人や、バイクの上からも挨拶をされる。
私も挨拶を返したり、それが面倒な時は(←おい)にっこり笑って軽く手を振ってみたりする。
それでも、ここぞとばかりに付きまとってくる人はいない。
私を金づるとしか思っていない「ブッダ・ガヤー」の人々とは全然違う。
正直、もうちょっと放っておいて欲しいのが本音だったりするけど。
だけど悪意を全く感じないこの町、わたし好きかも。
バススタンドを目指して歩く
バススタンドへ向かう大きい道路沿いに、マクドナルドがあった。
グルガオン滞在中、近くにこんなものがあれば頻繁に通ったんだろうな。
旅行者スイッチが完全にOFFだったあの時、ファーストフードには何度もお世話になった。
それが旅行者に戻った今となっては全く魅力を感じないから不思議。
自分を何者と思うかによって趣向や価値観が変わってしまう。
これって、もの凄く危険なんじゃないかな。
だってそれって、日本に帰国したらまた元の自分に戻るって事だ。
せっかく海外で成長した気になったって、それが「海外限定の私」ならば全く意味がない。
今あれこれ考えたって、帰国してみないことにはわからないのだけど。
ジャイサルメール行きのローカルバス
Raika Bagh駅の近くに、バススタンドがあった。
見たところ、ローカルバスしか停車していない。
今日ここまで乗って来た様なタイプのバスは、ここからは発車していなさそうだ。
ヒンディー語オンリーで全くわからないので、とりあえず適当な窓口に並んでみる。
すると、一番奥の①番窓口だと言われる。
わたし「明後日のジャイサルメール行きのバスチケットが欲しいです」
係員 「何時頃のバスがいいの?」
わたし「午前中の遅めの時間。」
係員 「9時?10時?11時?」
わたし「10時でお願いします。あさって、12/26です。あ、大きい荷物を持って行きますが、問題ないですか?」
係員 「下か、上に乗せるから問題ないよ」
バスのチケットは、無事に買えた。
所要時間5時間30分で、なんと先ほどのリクシャーよりも安い196ルピー(352円)だった。
あぁ、そしてここでも私はちょっぴり留学の成果を感じた。
「明後日のジャイサルメール行きのバスチケットが欲しいです」
前は、こんなしっかりした「文章」なんて作れなかったもん。
初めて買った「カトマンズ→ジリ」のバスなんて、こんな感じだった。
「ジリ!明日!」
単語だけ…。
しかも何時か聞かれて、「何時か」と聞かれている事すらわからなくて、紙に書いてもらった。
書かれている時間を指さして、「これ!これ!」と言って買ったのだ。
それでも買えちゃうんだけど。
それでも旅はできちゃうんだけど。
あぁ、もっと遡ってマレーシアのクアラルンプール空港では、市内行きの電車のチケットを買う事すら戸惑っていたっけ。
そして「チケットを手に入れる」という必要最低限のミッションにプラスして、事前に確認しておきたい事などを聞いたりできる様になった。
それに「Day after tomorrow(あさって)」という魔法の言葉を習得したからね!
(そんなのも言えなかった1ヵ月前の私って一体…汗)
ようやく少しだけ単語を覚えだした「赤ちゃん」が、とりあえずの意思表示ができる「幼稚園児」になったみたいだ。
ローカルレストラン|プリヤ -Priya-
お昼ご飯は、マサラドーサ。
「マサラ」と名の付くものは辛そうだから避けていたのだけど、「少ししか辛くない」とウェイターに言われてこれにした。
チャイが美味しくて、2杯も頼んでしまった。
時計塔がシンボル|サダル・バザール(Sardar Bazaar)
シンボルの時計塔がある広場、サダル・バザールに戻って来た。
この広場には、たくさんの路面店が軒を連ねている。
そして背後に堂々とそびえているのが、メヘラーンガル砦(Meherangarh Fort)。
ここへは、明日行く予定。
時計塔に登ってみた。30ルピー(54円)。
日焼け止めクリームが切れていた事を思い出す。
ショップに寄って「日焼け止めクリームが欲しい」と言うと、見たことがないブランドの物を手渡される。
「私は肌が弱いのですが、これは顔に塗っても問題ないですか」と尋ねる。
「SPFも低いし、自然素材だから大丈夫だよ」と言われる。
物を買うときに、心配事まで確認できるようになったよ。
あぁ、やはり少しだけ感じるよ留学の成果。
インドの国民的スポーツ|クリケット
宿に戻る途中、クリケットをやっている広場の前を通りかかる。
「クリケット」が何なのかの説明はできないんだけど…インドの国民的スポーツだ。
私は尋ねた事ないけど、もしもインド人男性に「趣味」を尋ねたら十中八九「クリケットだ!」と答えるらしい。
なんだか可愛いよね。笑
クリケット観戦をしていたら、少年たちに声を掛けられる。
少年達「日本のどこから来たの?埼玉?春日部?」
わたし「違うよ…笑 何で春日部知ってるの?笑 しんちゃん??」
少年達「そう!!!!しんちゃん!!!!」
何だか嬉しそうだな。インドでしんちゃん人気なのかな?笑
ジョードプルの夜に留学の成果を想う
宿でシャワーを浴びる。
まさかのトイレで浴びるバケツシャワーだった。
山小屋風の部屋といい…気候が寒くない点を除けばここはヒマラヤの様だ。
予約サイトにはそんなの書いてなかったんだけどなー。
やっぱり、事前に予約するのはリスクが高い。
これで一泊およそ400ルピー(720円)くらいなのは高いなー。
あぁ、だけどもうこの「まさかのトイレで浴びるバケツシャワーだった」と言うのはいい加減やめようかな。
砂漠で水は貴重だものね。
お湯が使えるだけマシ。
これがスタンダードなのかもしれない。
帰国してから日本でふんだんに浴びるホットシャワーを楽しみに、生きていればいいじゃないね。
シャワーを浴び終わって、夕食はどうするかと聞かれた。
これからまた外出するのも面倒だし、このテラスで食べるのもいいかもしれない。
わたし「まだお腹空いてないよ。何時まで?」
ご主人「22時までだけど、作るのに1時間かかるから事前にオーダーして欲しい」
わたし「そっかー。チャイはある?」
ご主人「あるよ」
わたし「ビリヤニと、チャイ。21時にお願い。」
ご主人「ビリヤニの種類は?」
わたし「種類?」
ご主人「ベジかチキン」
わたし「チキンがいい」
ご主人「どれくらいの辛さがいい?」
わたし「全く辛くない方がいい」
ついでに明日の朝食も8時にオーダーをした。
ランドリーサービスも依頼した。
明日の夕方には渇いた状態で戻ってくるらしい。
いや~、こうして文字にしてみると全く大した話はしていないんだけど。
だけどね、言葉のキャッチボールがスムーズにできているよ。
相手の言っている事が、「9割以上」は理解できる。
こちらの言葉を、聞き返される事もない。
昨日のスペイン人との時みたいに、「雑談」が盛り上がっちゃったら「6~7割」くらいしか理解できないんだろうけど。
やっぱり、ちょっぴり成長しているよね。
元が悪すぎるだけにね。苦笑
「国際化に伴う貧富の拡大について」や「機械化によって将来消えゆくであろう職業について」などの議論をしていた時と比べれば、とても簡単。
しかし、ちゃんと自主勉強もしなくちゃ。
こんな簡単な日常会話に甘えてちゃダメだ。
ケニー先生の、「どうか練習を続けてね」というセリフが度々頭をよぎる。
ビリヤニは、留学期間中は1~2日に1回くらいのペースで食べていた。
インド版のチャーハンみたいなものなのかな。
ジョードプルの夜景を見ながらの夕食なんて、中々いいじゃないね。