ー世界はきっと、美しいー
インド -India-

【世界遺産】エローラ |100年以上の時をかけて浮かび上がる壮大な石窟群

【インド周遊記】2018/01/08

アウランガーバード -Aurangabad-

朝7:00過ぎ、アウランガーバードに着いた。

バスが停車した場所から目当ての宿までは、徒歩30分ほど。

歩いて行こうとすると、リクシャーワーラーが「たった20ルピー(36円)だ」と言ってくる。
安いな。だけど私は歩いてゆくよ。

するとリクシャーワーラーが「10ルピー(18円)でどうだ」と言ってくるので、「この宿を知っているか」と尋ねてみる。

「知っているが、そこは高額だ。安くてよい宿を知っている」と言うので、その話に乗ってみる事にした。

アウランガーバードでの宿探し 

リクシャーは、私が希望するエリアとは反対の方角へと進んでゆく。

「私はセントラルバススタンドの近くを希望している」と言うと、「その辺りの宿は高い」と言う。

だけどリクシャーワーラーのお勧めの宿が気に入らなかった時に、そこまで戻るのが大変になる。
だから、当初予定していた宿に向かって欲しいと訴える。

すると「そこは2000ルピー(3600円)もする」などと大ボラを吹いてくる。

「ガイドブックには450ルピー(810円)と書いてある」と言うと、「それは古い情報だ」なんて言う。

私の持っているガイドブックは最新版だし、仮に値上げしていたとしてもそんなに急上昇するはずはない。

やはりこの男に従ってお勧めの宿なんか行くべきじゃないな。

「セントラルバススタンドまで行くなら20ルピー(36円)だ」などと言ってくるのだけど、「それでいいから向かってくれ」とお願いをする。

バススタンド近くの安宿 

目当ての宿は、やはりシングルルームが450ルピー(810円)だった。
あの嘘つきめ…。

だけど今は満室で、ダブルルーム600ルピーが最安。
さらにWiFiがロビーでしか使えないのに200ルピーもすると言う。
トータルで800ルピー(1440円)。

見せてもらった部屋は、お世辞にも綺麗とは言い難い部屋。
コストパフォーマンスが悪すぎる。

オーナーが出てきて、あと2時間待てばシングルルームが案内できるし、WiFiも追加100ルピーでよいと言う。
だけど今はWiFiの調子が悪いから、3日間は使えないと。

いや、それでは追加料金を払う意味がないよ。。。

その様子を隣で見ていた謎の男が、500ルピー(900円)で室内にトイレ付き、WiFiも室内利用可能な宿に案内してくれると言う。

謎の男に付いて行くのは避けたいんだけどなーと思いつつ、他にいいアイディアもないので話に乗ることにした。

彼の運転する車代(タクシー代?)が20ルピー(36円)だと言う。

彼に連れられて、アウランガーバード駅の近くに来た。

見せてもらった宿は、500ルピーならば別によいかなと思える部屋。

だけど近くにガイドブックに載っていた宿もあるので、そっちも見てみよう。

目の前の宿を2件ほど訪ねるも、丁度インド人学生の団体が来ていて満室だった。
だから先ほどの宿に戻る。

駅近くの安宿|INDRADEEP

部屋自体は普通の「インドの安宿」といった感じなのだけど、オーナーの人柄が私の好きなタイプ。
穏やかで、どちらかと言うとネパールで良く会った様なタイプの人間だ。

こう言う人、本当に好き。
お父さんみたい。

たまには、通りすがりのインド人の話に乗ってみるのも悪くない。
信用して大丈夫な人なのかの、見極めが必要ではあるけれど。

INDRADEEP

  • 500ルピー(900円)
  • 室内にトイレ付き
  • WiFiの室内利用可

約13時間の夜行バス移動を経て、まだ何も食べていない。

駅前の通りに行ってみると、そこは久々にレストランの選択肢がありそうな街並み。

さすが、世界遺産「エローラ」や「アジャンター」への拠点の町なだけある。
観光客がそこそこに訪れる町には、そこそこに食事処も用意されているのだ。

しかしインド人が「外食をしない人種」というわけではない。
ローカル客で賑わう良さげなレストランを見つけて入ってみる。

朝食なので、軽めにサンドイッチを注文。
カレーじゃない朝食が食べられるなんて…幸せ過ぎる。

ローカルバスで「エローラ」へ

早速、アクティブに郊外へ観光に出かける事にした。

アウランガーバードから北へ約1時間ほど走った場所にある「エローラ」という遺跡を目指す。

セントラル・バススタンドまでリクシャーで40ルピー(72円)。
駅前に宿を取ってしまったので、どこへ行くにもリクシャー移動が必須になってしまった。

バススタンドの窓口で、「エローラに行きたい」と言ってみる。
すると「11番だ」と教えてくれる。

いや、11番がどれなのか私にはわからないよ。
表示は全てヒンディーだからね。

親切な人が、「エローラ行きのバスはこれだよ」と教えてくれる。

これか!

車内には、たくさんのローカル。
外国人は、私を含め2人だけ。

念の為バス車内の乗客に「エローラ行きのバスはこれであっているか」と聞いていたから、バスが目的地に近づいた頃に「ここだよ」と教えてくれた。

エローラ|行き方
  1. セントラル・バススタンドに行く
  2. 周りの人に、「エローラ行きのバスはどれか」と尋ねる
  3. ローカルバスに1時間乗車…|運賃:40ルピー(72円)

 

【世界遺産】エローラ石窟群 -Ellora-

入場料:500ルピー(900円)

ここには3つの宗教の石窟群がある。

  1. 仏教石窟群
  2. ヒンドゥー石窟群
  3. ジャイナ石窟群

そしてその洞窟の数は、なんと合わせて34窟。

100年以上もの時間をかけて、毎日毎日カナヅチとノミだけで手作業で掘り続けられていた。
当時の平均寿命は30歳ほどというから、数世代に渡る途方もない作業。

入り口には、可愛いお猿さん。

インド人の子どもが猿を見て号泣していた。
こんなに可愛い動物なのに。

とても穏やかで広大な敷地を、のんびりと歩く。

仏教石窟群|第1~12窟(7~8世紀)

こじんまりとした洞窟が多い中、第10窟は大きかった。

これが「置かれているもの」ではなくて「掘り進めて浮き上がったもの」だというのだから凄い。

12窟は、廃墟の学校の様な見た目。
長崎の軍艦島を思い出してしまう。

外では、何やらカナヅチで作業をしている人たちがいる。

このカナヅチの音色を聞いていると、「あぁ百年以上もの間、この音が鳴り響き続けていたんだな」と感慨深い気持ちになる。

ヒンドゥー石窟群|第13~29窟(6~9世紀)

仏教が衰退していく中、勢いをつけて来たのがヒンドゥー教。

まずは第15窟。階段を上ってゆく。

そこは、開放的な空間だった。
仏教石窟群は、どこも暗くて素朴だったのに。

あぁ、しかしここまで開放的になるまで掘り続けたという事だよね。

そして一番の見どころ
カイラーサナータ寺院(第16窟)

寺院の脇に道があったので、登ってみる。

上から眺めると、カイラーサナータ寺院の壮大さがよくわかる。

この岩をさ、ここまで掘ったんだよ。100年以上もかけて。
想像もつかない、途方もない作業だ。

寺院の裏手まで登る。
広大なデカン高原の中に堂々と鎮座するこのエローラ遺跡群。

当時の人々は、一体どんな気持ちでこれを造っていたのだろう。

これを造り始めようと思って、ただの岩山の前で最初のノミを振り上げた人。
完成を見届ける事もできず、ただ途中の経過にだけ加わった人。
そして、完成前の最後の一振りを入れた人。

未だ完成しない、スペインの「サグラダファミリア」を思い出す。

私の曽孫くらいの世代の子供たちがサグラダファミリアを見た時、
今の私の様に、ずっと昔の人々に想いを馳せながら、完成後のその姿を眺めるのかな。
なんだか不思議。

そして寺院に入場してみる。

ヒンドゥーの神様たちは、仏教のそれとは全く雰囲気が違う。
躍動感あふれ、のびのびと自由だ。

さすが、多神教のヒンドゥー。

ヒンドゥー教にとって、象は偉大な存在の様だ。
ほとんど鼻ないけど。

ガイドブックに、こんな注意書きがある。

第16窟を先に見ると、ほかが色あせて見えるので、第16窟を最後に見るのもいいだろう

その通り、他が色あせて見える様になってしまったので、ただただ洞窟沿いを散歩しよう。

…と思ったのだけど、27窟以降は通行止めで行けなくなっていた。

あの先には、「ジャイナ石窟群」があるのに。

だけど疲れたな。
極寒の夜行バスのおかげで寝不足だし。
もうこのまま帰ってしまおうかな。

とりあえず、ゲートに戻ってみる。
そこには、意味深にバスが止まっていた。

バスを見ていたら、乗務員らしき人が「ジャイナ石窟群行きだよ」と教えてくれた。

これに乗ってみる事にしよう。
往復で21ルピー(37円)。

着いたところは、とても素朴な場所だった。
のんびりとした風景の中に、洞窟が3つならんでいる。

ジャイナ教石窟群|第30~34窟(9世紀頃)

ここにも象。象はジャイナ教でも力強い存在なのだろうか。

洞窟の入り口に座っていた係員風の男性が、中を案内してくれた。

彼はなんとかっていう神で、象に座っている。

そして彼女は、その彼の妻で、こちらはライオンに座っている。

ジャイナは、仏教やヒンドゥーとはまた違った雰囲気。

係員風の男性は、暗闇の中へずんずんと進んでいく。

あぁ、そんなところまで道が繋がっていたのか。
私一人だったら、絶対に手前までしか行っていなかっただろうな。

彼が壁をライトで照らすと、そこには壁画が描かれていた。

これも一人だったら絶対に発見できていない。

「あの階段の向こうにも寺院があるよ」と教えてくれたので、今度は一人で行ってみる。
特に「ガイド料を寄越せ」などと言われる事もなく。ただの親切な人だった。

洞窟の中の広い空間に、ぽつりと一つだけ偶像が佇んでいた。

この場所からは、デカン高原の広大な景色を見る事ができる。
霞がかっているけれど…。

再びバスに乗りゲートに戻る。

エローラ石窟群。

100年以上もの間、何世代にもわたってコツコツと掘り続けられていた石窟群。

3つの宗教の制作時期は重なる部分もあるのに、それらが共存しているというのが素晴らしい。

エローラからアウランガーバード|ジープで帰る

帰りのバスはどこから乗るのかな~と考えていたら、アメリカ人男性と日本人女性の夫婦に声をかけられる。

何故かバス2台に素通りされてしまったので、通りがかりのジープに乗せてもらう事にした。
1人わずか50ルピー(90円)。

男性はとうにリタイアをしている年齢で、女性はまだまだ働き盛りのハツラツとした人。

「国籍」と「年齢」と、2つの大きなギャップを乗り越えて結婚したのだから凄い。
どちらか1つだけでも、とても大変な事だと思うのに。

しかしこの女性と私とは、かなり感覚が違う様だ。

女性「ご飯は駅前で食べた方がいいよ~!バスターミナル付近は、とても入れない様な店しかないから」

(私、たぶんそんな店で普通に食べてます…)

女性「そのルートはバス移動厳しいと思うよ!山を越えるから、10時間以上はかかるよ!」

(私、今朝13時間の移動を終えたばかりです。それに、15時間以上だって平気です…)

女性「南インドは綺麗だったよ~。え?ラジャスタンが良かったって?まぁ、デリーとかに比べれば比較的いいかもね」

(比較的とかじゃなくて…最高でしたよジャイサルメール)

女性「だけど〇〇は期待外れだったかな~、汚かったよ」

(それでも期待するけどね。自分の目で見た事だけ信じます)

女性「このジープ、あり得ないね。運転も荒いし、あの状況で追い越しするなんて驚き」

(私的には、とっても快適な乗り物ですが)

たぶん、この女性の感覚が「一般的な感覚」なんだろうな。
私は、一般とは大分かけ離れているようだ。

・・・

ジープを降りて、ガイドブックでお勧めされていたお店を目指す。
少し遠そうだから、リクシャーに乗って行こう。

言い値の70ルピー(126円)を60ルピー(108円)にしてもらった。
だけど少し苦笑いをされてしまったから、70ルピーが妥当だったのかもしれない。

だって着いたところは、私が想像していたよりも、ずっと遠い所だったから。
だから私は、言い値通りの70ルピーを払ってリクシャーを降りた。

クリーム・ン・クランチ(Kream n Krunch)|この旅一番のリッチな夕食

お店の中は、高級レストランの様な雰囲気だった。

いや、言い過ぎかな…?
中級レストランくらいかな?

まぁとにかく、いつも行っている「ローカルレストラン」とはまるで違うという事。

こんなところは…一人で来ても寂しいな。

ここは色々な国の料理が食べられるという事だったのだけど、何故かいつもの様に「モモ」を頼んでしまうワンパターンな私。

だってメニューを見ても、なんだか良くわからないし。

そして良くわからないままに、適当に注文したスープが絶品だった。
イチゴとマンゴーのスムージーも最高。

なんと懐かしの「箸」まで出てきたので、モモを箸で食べてみよう。

だけど、下手糞すぎて全く掴めない。。。

恥ずかしいから、すぐにフォークに持ち直す。
私、箸も使えなくなってしまったみたいだ。なんてこった。

食べ終わった頃、「デザートは如何ですか?」とウェイターがメニューを持ってきた。

お腹いっぱいなのだけど…だけどもう少しこの空間に浸っていたい私は、また適当にデザートを注文する。

ここは「インド」ではない。

いや、これもまたインドの一面なのかもしれない。
だってインドの中流、上流階級の人々は、私たちが想像するよりもずっと格が高いのだ。

静かで綺麗な空間に座る。
美味しい料理を食べて、ローカルのそれとはまた違った「おもてなし」を受ける。

耳を澄ませれば、遠くからはクラクションのけたましい音が聞こえてくる。

そんな、外とは異質な、隔離された不思議空間。

インドのお金持ちたちは、一体どんな気持ちで町を歩くのだろう。
いや、歩かないのかな。
ドライバー付きのマイカー移動だよね。

お会計のビル(レシート)が、自転車に乗って運ばれてきた。
何これ!笑 可愛い過ぎる!

お会計は、920ルピー(1656円)もした。
この旅で一番リッチな夕食だ。
だけどたまには、こういうのもいいよね。

帰りに、またリクシャーを拾う。
「駅まで」と伝えて、80ルピー(144円)。

一回一回は安いんだけど、この町はどこへ行くにもリクシャー移動になる。
塵も積もればで、出費がかさんで行く。

駅までと伝えてあったのに、「本当はどこへ行きたいのか」と聞かれる。

ゲストハウス名を伝えてみる。
「だけど駅から近いから駅でいいよ」と言ったのだけど、「知っている場所だから」とゲストハウスまで連れていってくれた。

この町も、親切なインド人が多い。
リクシャーワーラーも、比較的良心的な初値を付けてくる人が多いし。

なんだか過ごしやすいな、アウランガーバード。

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