ー世界はきっと、美しいー
タンザニア -Tanzania-

【キリマンジャロ登山4日目|マチャメルート】ついに、最終キャンプ地まで来た

【アフリカ大陸縦断記】2020/01/24

バランコキャンプ(3,900m)→バラフキャンプ(4,673m)

朝ご飯を食べ終わって、出発前にトイレに行こうと、テントの外に出る。

するとペトロが、「急いでね!時間過ぎてるよ!」と私を咎める。

確かに、7:30に出ようと約束はした。

だけど、朝食の最後のお皿(卵と野菜)が来たのが、7:25。

え??

「大食い修行」に加えて、「早食い修行」もしなければいけないの??

腑に落ちない気持ちで、7:45に出発。

▼前回のお話し▼
【キリマンジャロ登山3日目|マチャメルート】食べる修行と、最終キャンプ前夜

バランコキャンプからカランガキャンプへ

まずは、崖の壁を登らなければいけないみたいだ。

手を使わなければ登れないので、ストックをペトロに預けて登る。

大渋滞。

渋滞をしているという事は、出遅れてはいないという事だから、少し安心。

急な岩を登る時、私は前の人とは距離を置きたい。

万が一、前の人が滑落してきた時に備えて。

滑落まではいかなくても、バランスを崩してよろける可能性だってある。

電車待ちの列の様にぴったりとくっついていたら、対応できないじゃないか。

なのにペトロが、私が作っている、ひと2~3人分、岩2~3個分のスペースを詰める様に促す。

危機回避の為に距離を取りたいのだと説明しても、「ここで落ちている人なんて見た事ないよ!大丈夫!」と取り合ってくれない。

え、何その危機管理能力の低さ。

それでもガイドなの??

それとも、私が神経質なだけ??

そういう意識の人が、予期せぬ事故に遭うんだよ。

日本でも昔、歩道橋の階段で、人々がドミノ式に倒れてくるという事故があったほどだ。

予想外の事は、「安全大国にっぽん!」でも起こる。

それにさ、彼はガイドで、私は客。

私が無鉄砲にずんずん進むのを咎めるならともかく、慎重に進む事を妨害するなんて、ガイド失格じゃない??

私が少し距離を置いて進もうが、ぴったりとくっついて進もうが、かかる時間は変わらないというのに。

私の前にいるのは、登山初心者と思われる欧米人たち。

彼らは、後ろから押してもらったり、前から引っ張ってもらいながら、恐る恐る登っている。

もしも彼等がバランスを崩して、出しかけた足を元に戻そうとした時にさ、そこに既に後ろの人の足があったら、どうなると思う??

ペトロの再三の催促を無視して、私は彼らと距離を置いて進む。

そして少し広いスペースを見かける度に、彼らのグループを次々と追い越していく。

いつの間にか、私の前にいるのは先を急ぐポーター達のみになっていた。

ほらね、距離を取って登ったって、時間のロスとは結び付かないのだよ。

この後は、手を使わなくても進める簡単な岩場や、手を使わなくては登れない岩場、平らな土の道を繰り返しながら、中継地点のキャンプ地を目指す。

ペトロが度々「気を付けて!」と声をかけてくる。

私は、あなたよりは何倍も気を付けて歩いているよ。

3時間45分後の、11:30頃、中継地点のカランガキャンプ(Karanga Camp)に到着。

標高は、3,995m。

7日間の行程を組んだ場合は、ここで1泊するらしい。

私は6日間の行程なので、ここではランチ休憩のみ。

ポーターたちが待ってくれていた様で、ここで暖かい紅茶をもらう。

嬉しい。

ランチも、作ってくれていた。

いつもよりは…少ないかな?うん。

私の隣に座っている、別のチームのポーターが「寒いね」と声を掛けてくれる。

もしよければ、ポテト食べる?と聞いてみたけれど、遠慮された。

遠慮されたのか、本当にいらないのかはわからないけれど。

苦しそうにランチを食べる私を見て、彼が心配して声をかけてくれた。

「大丈夫?」

「大丈夫。ただ、お腹がいっぱいなだけ。」

「気にならないなら、残していいんじゃない?」

「私のガイドが、許してくれないんだよね。」

「あ!君のガイドが来たよ!」

話していると、丁度ペトロが来た。

「お腹いっぱいだから食べて!」と言ったら、「食べなきゃダメだよ!」と言いながらも、手伝ってくれた。

寒がっている隣のポーターに申し訳ないなと思いながら、温かい紅茶を飲む。

その間に、ペトロがポテトを完食してくれた。

食事の度にペトロに対して冷たくなっていく私のご機嫌取りなのか、それとも単純にポテトが食べたかったのか。

フルーツが残っているよと言われて、冷たい(寒い)からこれ以上食べられないと言うと、理解してくれた。

「お腹いっぱい」よりは、効果のある言い訳だ。

もしくは、隣のポーターが現地語で何かを言ってくれていたから、もしかしたら彼のおかげかもしれない。

カランガキャンプからバラフキャンプへ

ここからは、下ったり登ったりを繰り返しながら、最終キャンプ地へと向かう。

ペトロが、あと1時間だよと言う。

先ほどランチを取ったキャンプからの所要時間は4時間で、まだ1時間半しか経っていない。

え?所要時間は2時間半という事??

私のペースが速いから、早めに着くことができるのだとか。

確かに、グループ行動をしている人たちよりは、1人の方が速く歩けるものね。

出発から7時間30分後の15:15頃。

最終キャンプ地のバラフキャンプ(Barafu Camp)に着いた。

標高は、4,673m。

ウフルピークまで、あと5キロで7時間!

まだ、他の場所に比べて極端に寒いという事もない。

だけど、夜はきっと、とてつもなく寒いんだろうな。

今日は少し休んで23時に起きて、0時に登山開始。

ついに、アタックだ。

実は深夜登山は初めてだから、少し不安。

ペトロが、「今日は早く寝なくちゃいけないから、夕食は17:30にしよう」と言いに来た。

私は、「スープとパンだけでいい」と伝える。

「それでは元気が出ない」と、いつもの通り言われる。

それ以上の量だと、食べるのに時間がかかる。

私は、すぐに休みたいのだ。

ポップコーンも食べたし、クッキーも持っていると伝え、ようやく了承してくれた。

はち切れそうなほど満腹の状態で寝る方が、絶対身体に悪いし、明日にも響く。

配膳係が、スープとパンを持ってきてくれた。

暖かいスープが嬉しすぎて、思わず「美味しい~♪」と何度もつぶやく。

嬉しすぎる。

本来、味付けはどれも美味しいのだ。

量の多さに辟易しすぎて、感謝の心を忘れているだけで。

初めて、パンにバターを塗って食べる。

少しでもお腹の容量を保つために、いつも目の前にあるジャムもバターも蜂蜜も、使っていなかったのだ。

今日は、そんな事気にする必要もないんだね!

アタック前夜、幸せな食事を取る事ができてよかったよ。

私が、呑気にパンにバターを塗っている時だった。

配膳係が、テントに来る。

まさか、追加の食事か!?

と思ったら、彼は手ぶら。

スープの鍋を回収して、「もっとスープ持ってくるね」と。

そう来たか…。

「お腹いっぱいだよ、いらないよ」と言うと、彼は理解してくれた。

間もなくして、彼がまた来た。

スープが来たのかと思ったら、なんとパスタと野菜ソースだった。

ペトロ…あの嘘つきめ。

幸せな食事に、泥を塗られた気分だ。

「ありがとう、でもお腹いっぱいなんだ」と言うと、「少しでいいよ、残していいよ」と。

彼はそう言ったけれど、あとはペトロがどう判断するか。

お腹がすいた、お腹がいっぱい、というのはさ。

痛い、熱い、冷たい、暑い、寒い、などと一緒で、身体からの大事な信号だと思うんだ。

それはきっと、無視をしてはいけない。

岩場での危機管理能力の低さを発揮したペトロは、きっと登山技術は半人前だと思う。

そんな彼に、「登山のために必要だよ」と大量の食事を強要されても、信頼なんてできない。

本日の行程

バランコキャンプ(3,900m)
↓(6キロ/3時間45分)
カランガキャンプ(3,995m)
↓(4キロ/3時間)
バラフキャンプ(4,673m)

▼次回のお話し▼
【キリマンジャロ登山6日目|マチャメルート】ついに最終日!下界に戻るよ

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