マチャメキャンプ(2,835m)→シラケーブキャンプ(3,750m)
夜はとても寒かったけれど、借りている寝袋が、とても暖かかった。
朝7時に、手と顔を洗うためのお湯と、紅茶をもらう。
朝食のスープは、ドロッとしたおしるこ風味のスープ。
おしるこ嫌いの私としては、少し食べにくい。
大好きなのに昨夜は満腹すぎて食べられなかったアボカドは、今朝は完食できた。
もう少し少ない量がもちろん理想だけれど、昨夜の夕食に比べれば、耐えられる量。
スープは3杯だけ飲んで、残り1杯分は残す。
その他のメニューは完食。
食事中は母の様に厳しいペトロも、それで許してくれた。
▼前回のお話し▼
【キリマンジャロ登山1日目|マチャメルート】アフリカ大陸最高峰を目指して、いざ出発
マチャメキャンプからシラケーブキャンプへ
テントから出ると、キリマンジャロの頂が、少しだけ見えた。
あそこを目指しているのか。
まだまだ、全く別の場所の様に見えるけれど。
8:30、出発!
ここは、標高2,835mのマチャメキャンプ。
目的地は、標高3750mのシラケーブキャンプ。
5キロで、コースタイムは6時間。
富士山の標高が3,776mだから、ほぼ富士山の山頂と同じ標高の地点を目指す事になる。
登山を開始して、間もなく登り。
ひたすら登り。
昨日より、厳しい。
だんだんと、木々の身長が低くなっていく。
昨日は森林帯の中を歩いていたのに。
標高が上がってきているのだ。
途中で、ハムスターの様な動物を見つける。
めちゃくちゃ可愛い…♪
野生のハムスターなんて、初めて見たよ。
そして、あの岩壁を登るのだと言われる。
岩壁を登る途中には、洞窟があった。
昔の登山家たちは、こういった洞窟の中でキャンプをしていたらしい。
ペトロの父親の世代は、そうだったと。
そんなに昔でもないね。
そう考えると、今はとても環境がいいみたいだ。
岩壁を登り切ると、少し開けた場所にでる。
岩壁の下には、トイレがあった。
キリマンジャロでは基本的には青空トイレになるかと思っていたので、簡単でもトイレがあるのは嬉しい。
カラスによく似た鳥もいる。
もうひと踏ん張り、まだ登る。
途中の湧き水を、別の登山者のガイドが汲んでいた。
煮沸しないで飲むんだね。
こういうの、私たち外国人が飲んだら、お腹を壊してしまいそうだ。
この横たわっているのは、なんとかフラワーだって。
とても、花には見えないけれど。
そしてこれは、「チャレンジロック」。
崖沿いの細い道を、慎重に登るのだ。
ここで滑落して亡くなる人もいるらしい。
そんなチャレンジは…したくないなー。
ストックをペトロに預けて、グローブをはめて手の力も使って登る。
そんなに長い道ではなかった事が、救いだ。
まだまだ続くよ。
木々が大分まばらに、そして低くなってきた。
そして、13:15。到着!
所要時間4時間45分。
コースタイムの6時間より、早く着けた。
シラケーブキャンプ(標高:3,750m)
ウフルピークまで、あと25キロで21時間!
キャンプ地でランチ
このキャンプには、しっかりとしたトイレがあった。
(中に入れば、結局ボットントイレだけど)
「ここのトイレは、昨日のキャンプのトイレよりいいね」とペトロに言ったら、「昨日のキャンプにもこういうトイレはあったけど、テントから遠かったんだよ」と教えてくれた。
そうだったのか。
昨日のトイレは、超簡易的なボットントイレだったのだ。
扉すらないから、誰か入ってきやしないかと、毎度ヒヤヒヤしていた。
そうそう、こういうトイレ。
今日のテントは、眺望のよい場所。
お昼に着いたので、昼食はテントで取る。
スープが、とても美味しい。
スープとパンだけで十分なのに、「これはウェルカムランチさ!メインのランチはこれからだよ!」と、ペトロが悪戯っぽく笑う。
私は…全く笑えないよ。
こんなパスタ、絶対に一人前じゃないと思う。
無理無理無理。
だって、既にスープを3杯ほど飲んでいて、パンも食べているのだ。
だけどここでもペトロは、私が苦しんでいるのもお構いなしに、無理に食べさせようとする。
フルーツで気分転換をしながら、なんとか3分の2だけ食べる。
苦しい…。
シラケーブキャンプ|付近でトレッキング
4:00頃。
ペトロと一緒に、近くをトレッキング。
正直、今日はもう歩きたくないのだけど。
だけどきっと、高度順応も兼ねているんだろうなー。
キャンプ地の近くに、ヘリポートがあった。
こういった場所が、あちこちにあるんだって。
ヒマラヤでは、頻繁にヘリコプターを見かけたけれど。
(多分、保険に入っていれば無料だからって、簡単に呼ぶ人が多いんだと思う)
ここキリマンジャロでは、どれくらいの頻度でヘリコプターが来るんだろうな。
(結局、6日間では1度も見なかった)
この植物、なんだか「顔」に見えるよ。
また、洞窟を発見。
先ほども説明されたけれど、昔の登山家は、こういった洞窟の中でキャンプをしていたのだ。
中に入ってみると、焚火のあとが残っていた。
いや、そんな昔のものが残っているはずはないので、後から設置したのかな。
洞窟の奥に、更に洞窟もある。
隠れたい人は、あそこまで行って眠ったのだとか。
洞窟の入り口には、トゲトゲの花が生えていた。
ガードの役割を果たしているらしい。
更に、奥へと進む。
この平原の先には、別のキャンプがあるみたい。
そして、何やら眺望のよいところまで行く。
少し先に、私たちのキャンプ地も見える。
こういう植物がたくさん生えている。
なんだか、「冬の華」みたいで可愛い。
1時間半ほどで、トレッキング終了。
思ったより、長かった。
キャンプ地に戻ると、先ほどは霧の中に隠れていったキリマンジャロが顔を出していた。
やはりまだまだ、遠い世界だ。
むしろ、別の山なんじゃないかと思う。
本日も引き続き、食事ハラスメント
ペトロに、夕食は何時がいいかと聞かれる。
魔の時間が来る…。
ダメ元で、「夕食はいらない」と言ってみる。
もちろん、却下。
だよね。
「じゃあ7時で」と言ってみる。
「明日のために、早く寝なくちゃ。6時がいいよ」と言われる。
だけど既に、5:15。
ランチの消化が間に合っていなくて、まだ満腹なのだ。
絶対に無理。
間を取って、6:30になった。
スープとパンだけでいいと申し出てみる。
却下される。
本当に無理。食べられない。たくさん食べるのは、嫌い(Don’t like)なのだと、強めに言う。
全く、取り合ってくれない。
耐え切れず、「ヘイト(憎む)」という単語を使うと、ようやく私の気持ちを理解してくれた。
登山の為には食べる事が重要なのはわかるけれど、本当に、心から苦痛なのだ。
このままだと、優しいペトロの事まで、「私に苦痛を強要する人物」として、嫌いになってしまいそう。
イジメに合っている気分だよ。
スープとパンと、少しの野菜ソースと、少しのライスにしようと言ってくれた。
スープだけでいいのだけど…まぁ、ようやく譲歩してくれたのだから、こちらも譲歩しようか。
結局、ライスはこんな量だったけれど。
本当に無理。
というか、スープの時点で無理だ。
夕食の前に、ポップコーンも食べているし。
ライスを持ってきてくれた配膳係にお礼を言うのもわすれて、唖然としてしまった。
私は、まるで子供の様に「イヤイヤ」をする。
日本語で、ぶつくさと独り言をいう。
本当に無理。。
もうヤダ。。
もう無理だよ。。
ペトロが色々と話しかけてくるのだけど、適当にふーんと聞き流す。
目の前に残っている食事に、恐怖しか感じない。
味自体は、とても美味しいのに。
これが適量ならば、
美味しい!
こんな場所でこんな食事を頂けるなんて、本当に嬉しい!
ありがとう!
って、素直に感謝できるのに。
吐き気がするほどの量の食事は、いくら美味しくても、恐怖でしかない。
みんな、こんな拷問みたいな食事を乗り越えて、キリマンジャロ登山を成功させているの??
辛くて泣きそうなのは、私だけ??
この後は、フルーツも出て来たよ。
アフリカ人とアジア人の私では、きっと必要なエネルギー量も違うのだよ。
私の意見も、少しは聞いて欲しい。
もう、食事の時間が憂鬱でしかないという、一歩間違えれば拒食症の様な精神状態に追い込まれている。
食欲は、人間の三大欲求の1つだけれど。
三大欲求のうち、欠けていいものなどないのは確かで。
だけど、三大欲求のどれもが、望まない量や回数を強いられれば、それは多大な苦痛でしかないはずだ。
明日は、7:00から朝食。
出発は7:30と7:45どちらがいいかと聞かれて、朝食が少なければ7:30に出れると言ったら、じゃあ7:45にしようかと言われてしまった。
この人、何もわかってないんだな…。
マチャメキャンプ(2,835m)
↓(5キロ/4時間45分)
シラケーブキャンプ(3,750m)
▼次回のお話し▼
【キリマンジャロ登山4日目|マチャメルート】ついに、最終キャンプ地まで来た