バフレイヤ・オアシス(エジプト)-Bahariyya Oasis-
本日は、エジプトの西方砂漠でキャンプ。
- 黒砂漠
- 白砂漠
- クリスタルマウンテン
の3ヵ所を巡る、1泊2日の人気ツアー。
カイロからの往復ツアーで行くのが一般的。
私はこのまま砂漠のオアシスの町々を通りながら南下していきたいので、拠点のバフレイヤ・オアシスまで自分で来ているのだけど。
大都会カイロから、砂漠の街バフレイヤ・オアシスへ|ようやく旅らしくなってきた
(黒:定番コース/水色:砂漠のオアシスコース)
ツアー料金とツアー仲間たち
ツアーは、宿泊先のデザート・サファリ・ホーム(Desert Safari Home)という宿が主催。
なんとオーナー自らの引率の元、砂漠に向かう。
ツアー料金は、75ドル+8ドル(エントランスフィー)。
どうやら、この町から出発するのは私だけの様で、今日カイロから来て合流する他の参加者を宿で待つ。
12:00頃、シンガポールガール3人組が到着。
意外。
日本人がいるかと思ったんだけど。
あとは中国人とか。
私は相変わらずの人見知りを発揮していて、本当にフィリピン留学なんて行っていたのか?って感じなのだけど。
だけど社交的な彼女たちが話題を振ってくれるので、私はなんとかそれに答える形で輪に加わる。
ツアーは、昼食・夕食・朝食の3食付き。
昼食は、この宿で取るみたい。
なんか色々出てきたのを4人でシェア。
このおかずはパンに挟んで食べるのだと、昨日カイロに着いたばかりの彼女たちから教わる。
そして、出発!
ブラック・マウンテン(黒砂漠)
車窓から、既に絶景なんだけど…目的地は、もっと絶景なのか。
…。
…。
…。
絶景だった。
最初に着いたのは、「黒砂漠」。
そこは…絶景だった。
なんだこの世界は。
宿のオーナーで本日のガイドのムハンマドが、この山に登るんだよと教えてくれた。
シンガポールガールたちは、既に登り始めていた。
私も、急いで彼女たちの後を追う。
一面黒の世界なんだけどね…やはりここは砂漠と言う事で、砂の大地。
山に登っていくと、どんどん岩が黒くなっていく。
というか…後ろ!
絶景すぎるんだけどっ!
頂上付近は、また違った岩の色。
もう…後ろが気になりすぎるんだけどね。
そして頂上。
シンガポールガールたちは、中腹付近で自撮り撮影に勤しんでいるから、今この山頂は私だけのもの。
頂上からの光景を見て、唖然としてしまう。
これ以上の絶景が、この大陸にあるのだろうか。
この絶景の中を横切る一本の道路の筋もまた美しくて。
360度、どこを見渡しても果てしなく広がる黒い世界。
こんなに素晴らしい光景なのに、それを正しく伝える語彙力も、写真の技術も持ち合わせていない事が悲しい。
私の辞書の中からは、もう「絶景」という言葉くらいしか引っ張りだせない。
もうさ、今日はこのあと別のスポットに行く予定なんだけど。
そんなの行かなくてもいいと思えるくらいだ。
もうここへ来られただけで、十分満足なんだけど。
え?
これ以上、他にもあるというの?
ずっとこの山頂で世界を眺めていたかったのだけど、シンガポールガールたちが下山を開始する姿が見えたので、私も後ろ髪を引かれる思いで渋々下山。
クリスタル・マウンテン
そして次に訪れたのが、「クリスタルマウンテン」。
先ほどの「黒」とは対照的な「白」の世界。
綺麗な「クリスタル」が、あちこちに落ちている。
そしてこの「白」の正体は、チョークの原料になっているものなんだって。
あの、黒板に使うチョーク。
ここも美しいところなんだけど、あの「黒砂漠」の感動は越えないな~。
アガバッド・バディ
そして次は、「アガバッド・バディ」。
そんなのツアーに含まれてたんだ?
初めて聞く名前なんだけど…。
ここは、ムハンマドのお気に入りの場所なんだって。
え?なにここ。
ここは「桃源郷」なのか??
「ここは地球なのか?」と思った経験なら何度かあるけど。
「ここはこの世なのか?」と思ったのは、生まれて初めてだ。
まさに、「桃源郷」。
すごく、不思議な世界。
まだ、この桃源郷に浸っていたかったのだけど、またまた後ろ髪を引かれる思いで車に戻る。
ホワイト・マウンテン(白砂漠)
そして、最後は「白砂漠」。
こんな、マッシュルーム型の白い自然のモニュメントが、たくさん生えて(?)いる。
だけど陽が落ちてきているから、綺麗な真っ白い世界は明日に持ち越し。
夕日を見に行ったのだけど、雲の中に落ちていってしまった。
ここもね、なんだか幻想的な世界だ。
あれなんか、ちょっとオーストラリアのエアーズロックみたいじゃない?
…なんて言ったら、アボリジニーたちに怒られるかしら。
白い砂漠の世界に、「緑」があるのが不思議。
そしてここが、本日のキャンプ地。
3つのマッシュルームが見守る場所。
だんだんと、世界が夜に向かってゆく。
ムハンマドが、キャンプの設営をしてくれる。
その辺にある白い石を器用に使って。
砂漠の夜は、とても寒い。
砂には保温効果が全くないから、太陽の恵みがなくなった途端に寒くなる。
ムハンマドが、焚火を作ってくれた。
そして、綺麗な火のかけらを取りだす。
これはこれで、飛行石みたいで綺麗だ。
その上に網を置いて、チキンを焼く。
その間に、料理を作ってくれるムハンマド。
ムハンマドは、ガイド兼ドライバー兼コック兼いろいろ。
普通はこういうのって、複数人でやるものだと思うんだけど。
なんでも一人でやってる。凄い。
そしてディナーが完成。
寒さに震えながら、砂漠の真ん中で食べるディナーは、たぶん都会で食べるよりもずっと有難くて美味しい。
空には、満天の星空が広がっていた。
「綺麗な星空」なら、何度か見たことある。
だけど、「地平線の向こう側まで零れ落ちる星空」って、中々ないと思う。
360°見渡す限りに地平線が広がるこの砂漠ならではじゃないかな。
星空って、普通は上を見上げて見るものだと思うんだけど。
ここでは、真っすぐ視線の先に星がある。
見上げなくても、視界の先にはどこにでも星がある。
星空って、平面かと思っていたんだけど。
ここではまるで、丸い巨大なドームの中にいるかの様に感じさせられる。
ドームに張り付く、無数の星たち。
ここは砂漠とはいえ、砂丘があるわけではないから。
どこまでも広がる真っすぐな大地を、星のドームが覆うんだ。
このドームの中には、私たち5人しかいない。
便利な道具は何にもないけれど、温かい炎と美味しい食事ができるなら、他に何が必要なんだろうかって思う。
星空を撮影する技術がないのが残念。
本当は、もっともっと…まるで宇宙の中にいるみたいなのに。
あたりが、次第に明るくなってきた。
月がのぼって来たんだ。
「月がのぼる」姿を、初めて見たかもしれない。
月はいつも、気づけばそこにあったから。