ー世界はきっと、美しいー
エジプト -Egypt-

白砂漠を見て、次の町ダフラ・オアシスへ ~ダフラの泊まってはいけない宿~

【アフリカ大陸縦断記】2019/12/16

バフレイヤ・オアシスダフラ・オアシス(エジプト)
-Bahariyya Oasis to Dakhla Oasis-

砂漠の夜は、とてつもなく寒かった。

寝袋を枕にして、毛布を2枚かけて眠っていたのだけど、深夜に耐えきれなくなって寝袋を取り出す。

少しはましになったものの、やはり凍えながら太陽の恵みを待つ。

▼前回のおはなし▼
エジプトの西方砂漠でキャンプ|これ以上の絶景が、この大陸にあるのだろうか

朝の白砂漠とモニュメント

早朝、シンガポールガールたちの声で起きる。

なんだろうと思ったら、どうやら日の出の時間らしい。

空が、ぼんやりと赤く染まり始めていた。

日の出を待つ間、ムハンマドが火を焚いてくれる。

そして出てきた!

朝の始まりの合図。

朝食は、このパンに好きなものを色々挟んで食べる。

私たちは、こんな素晴らしい場所でキャンプをしていたみたい。

キャンプ地の片づけを終えて、白砂漠の自然のモニュメントを巡る。

こんなにたくさんのモニュメントの中からさ、「これは〇〇に似てるね」って命名していく人間って凄いと思う。

これは、「怒っている女性」

ちょっと、どの辺が「怒っている女性」なのか、私にはわからない。苦笑

これは「アヒル」

うん、これは「アヒル」に見える!

これは「マッシュルームとひよこ」

ここだけ、柵に囲われている。

ひよこ可愛い!ひよこの事を「チキン」と呼んだことが気になるけど…。

食べ物にしか見えていないのか彼には。

これは「アイスクリーム」


そして、白砂漠にさよならをして車道に出る。

白砂漠は、隣町「ファラフラ・オアシス」の近く。

「バフレイア・オアシス」までは1時間30分ほどの道のり。

絶景を見ながら帰宅…したかったのだけど、爆睡してしまう。

着いたよと起こされたところは、温泉だった。

温泉というか「鉱泉」というものらしい。

「入っていいよ!」とムハンマドは言うのだけど、シンガポールガールたちは微妙な表情を浮かべている。

あぁ、ここに「日本人の男の子」がいれば盛り上がったのだろうなと、旅に出て初めて「日本人の旅人」を求める気持ちになる。

せっかく連れてきてもらったのにシンガポールガールたちに合わせるのもムハンマドに申し訳ない。

シンガポールガールたちは待たせてしまうけど、私は少しの間「足湯」を楽しむ。

あぁ~、気持ちいいな~。

バフレイヤ・オアシスからダフラ・オアシスへ|ローカルバス

宿に戻る。

シンガポールガールたちは、カイロへ向かって帰っていった。

今日はこのままギザのピラミッドを観光して、明日はルクソールに行くのだとか。

超ハードスケジュールだ。

私はこのまま、この街に1泊していきたい衝動を抑えて、次の町「ダフラ・オアシス(Dakhla Oasis)」を目指す。

本当は隣町の「ファラフラ・オアシス」に行く予定だったのだけど、ムハンマドが「何もないよ、オススメしない」と言うのでやめた。

ダフラ・オアシスまでのバスが出ている場所に、ムハンマドが送ってくれた。

そしてバスが来るまで、一緒に待っててくれる。

どうやら、カイロから来るバスに途中乗車するらしく、時間は不確定。

昨日私が乗って来たあのバスか。

1時間ほど待って、13:15頃にようやくバスが来た。

バイバイ、ムハンマド!

素晴らしい絶景を、たくさん見せてくれてありがとう!

バスに乗り込む。

席はどこでもいいみたいで、どうしようかな~と思っていたら、前から3番目の席のおばあちゃんが「ここに座りなさい」という仕草で前から2番目の席を勧めてきた。

座るや否や、乗務員が「ここに座りなさい」という仕草で一番前(助手席の後ろ)を勧めてくる。

ここは、「一番景色が楽しめる楽しい席」であり、「事故の際の被害が一番大きい危険な席」でもある。

一か八かのギャンブル席だ。

だんだんと、陽が落ちてくる。

そして完全に陽が落ちた頃、バスは休憩所に入る。

エジプトらしからぬ、ネオンの光る休憩所。

長距離移動中は食事を取らないと決めている私は、売店でお菓子を2つ購入。

なんだか、少しひもじいけど。

バスは2度ほど、検問所で停まる。

私は2度も、パスポートを没収されてしまった。

2度目は、バックパックの中身まで確認させられた。

バックパック、一度開封したら閉じるの面倒なのに。

面倒くさいなーと思いながらも、従わざるを得ない。

しかし、2度も検問があるなんて。

カイロから真っすぐ行く場合は、こんな目に遭わなくて済むのだろうか。

ダフラ・オアシスに辿り着いたのは21:20。

所要時間、約8時間。

深夜と言える時間に初めての町に着くのは、避けたかったのだけど。

ダフラ・オアシスのクレイジー宿

とりあえず、ガイドブックに載っていた宿ナグーム(El-Negoom Tourist Hotel)に向かって歩く。

歩く事20分、ようやく見つけた。

宿がなかったらどうしようかと思ったけど、とりあえず今日をしのげる場所を見つけた。

ロビーに少年(10歳くらい?)がいたので声を掛けてみたら、奥から別の少年(18際くらい?)を呼んでくれた。

しかし、彼は英語が全く話せなかった。

「部屋はあるか?」と尋ねたら、壁にかかっている料金表を指さして「D?」と聞いてくる。

料金表と言っても、部屋タイプの記載があるだけで、料金の記載はなし。

Dって、ドミトリールームの事かな?

「いえす!D!」と言ってみたら、首を横に振る少年。

満室ということだろうか。

Sという表記があったので、「シングルルームは?」と聞いたら、首を縦に振った。

だけどそれ以上の会話が全くできない。

「いくらか?」という問いにも、アラビア語で返答される。

結構粘ったんだけど…ギブアップ。

少年はアラビア語しか話せないのだけど、それでもこの言葉の通じない謎のアジア人に対して一生懸命に接してくれて。

笑顔が可愛くて、口調も穏やかで。

あぁ、この宿に泊まりたいな~と心から思ったのだけど、流石に値段もわからない宿に泊るという冒険ができるほどの予算を持ち合わせていない私は、諦めて宿を出る。

「シュクラン(ありがとう)」

そして、ガイドブックに載っているもう一軒の宿フォルサン(El Forsan Hotel)を目指して、また来た道を戻る。

この宿は私の地図アプリには載っていないから、辿り着くかどうか不安なのだけど。

私が持っているガイドブックは5年前に発行されたものだから、その宿が現存するのかも不明だし。

だけど他に選択肢がない私は、とにかくまた夜のダフラの街を歩く。

治安はね…たぶん問題ないと思う。

直感だけど。

だけどこんな時間だし、辿り着いた宿が閉まっている可能性がある。

「野宿」という単語が頭に浮かぶ。

いやいや、そんなシチュエーションは避けたいんだけど。

地図アプリではなくて、ガイドブックのアナログな地図を頼りに歩いている私。

この辺だろうかと思うところの売店で、店主に聞いてみた。

「フォルサンの場所をご存知ですか?」

すると、「もう、この場所だよ!彼について行きなよ!」と、先ほどまで店主と喋っていた客らしき男性を指す。

「シュクラン(ありがとう)!」

男性は、2つほど隣の宿の階段を上っていく。

ロビーにスタッフはいなかったのだけど、あちこち探し回ってくれた。

そして、ようやくスタッフが現れるものの、今日は満室だと言う。

明日は空くと思うけどって。(←この言葉は、のちに重要になるキーワード。メモメモ。)

他に安宿を知っているか尋ねたら、「ナグーム」を勧められる。

だけどナグームは先ほど既に訪ねていて、英語が全く通じなかったと伝える。

するとスタッフは、私をここまで連れてきてくれた男性とアラビア語で会話を交わし、更に彼と電話番号を交換する。

「彼が安宿に連れていってくれるよ」と。

その男性は、ただ私が道を聞きに行った売店で喋っていただけの人なのに…。

なんだか申し訳ない。

満室だった宿フォルサンの前でタクシーを拾う。

乗り込むや否や、男性がタクシー代を払う。

え!!!!

私の為の移動でしょう!?なぜ彼がタクシー代を払うのか!

「私が払うよ!」と言うものの、笑顔で拒否をされてしまう。

目的の宿に着いた時、男性が先にタクシーを降りていったので、運転手に「彼はいくら払ったの?」と聞いてみたら5ポンド(約35円)だった。

宿に入る。

空室はあるという。
とりあえず、一安心。

Wi-Fiもあるというし、ホットシャワーもあるというから、もうここにしよう。

私が無事に泊まれるという事がわかった男性は、笑顔で宿を出ていこうとした。

まってまって!!!

ここまでのタクシー代と、彼の帰りの分のタクシー代に少し色を付けて20ポンド(約140円)を彼に手渡す。

だけど、笑顔で頑なに受け取ってくれない。

宿の人も、「必要ないよ!」と言う。

「彼は私の為にタクシー代を払ったんだよ!」と訴えるも、「必要ないよ」と。

「ここでは、全てがフリーさ!」とか言う。

たまたま私が道を尋ねた店の店主と喋っていただけなのに、何故そこまでしてくれるのだろうか。

お金は受け取ってもらえなかったので、もう心からお礼を言うしかできない。

「シュクラン!(ありがとう)」

部屋を見せてもらう。

バス・トイレ付きの3ベッドルームを一人で使って、200ポンド(約1400円)。

もう少し安い部屋はないか尋ねたら、バストイレなしの3ベッドルームは150ポンド(約1,050円)で、朝食付きとの事。

という事で、安い方の部屋を選択。

チェックインのためにロビーへ戻ると、カウンターには別の男性がいた。

チェックインの為の台帳は全てアラビア語だったため、彼の通訳のもと、記入をしていく。

そして、先ほどまで私を案内してくれていたスタッフに「お腹は空いている?夕食食べる?」と聞かれる。

「お腹は空いていない」と答えると、「じゃあ、何か飲む?ウェルカムドリンクを出そう!」と言われた。

よし、行こう!と彼が私を外へ連れていこうとした瞬間、カウンターの中の男性に呼び止められる。

「聞いてください。ここには、ルールがあります。」

ルール?なんだか難しい話だな。何だろう。

すると、ウェルカムドリンクを振舞おうとしていた男性が、アラビア語で文句を言いだす。

彼の声にかき消されそうになりながらも、カウンターの中の男性は必死で話を続ける。

「まず、私がこの宿のオーナーです。」

あ、そうだったのか。

このウェルカムドリンクの男がオーナーかと思っていたよ。

「そして、彼は私の弟です。」

ウェルカムドリンクの男は、この宿のオーナーの弟だった。

「彼より、私の方が年上です。私に従ってください。」

う、うん。
だけど何だろう…。

「まず、ここにはルールがあります。出かける時は、必ず一人で出かけて下さい。誰とも、一緒に行動しないでください。」

うん、その予定だけど。

だけど普通は、「一人は危ないから誰かと」などと言うものじゃないのかな。

「彼は私の弟ですが、彼は旅行者に対してトラブルを起こす男です。旅行者に、たくさんお金を使わせようとします。決して、彼の言葉に耳を傾けないでください。」

え!そうなのか!

親切な人だと思っていたのに…。

だけど、その親切キャラはどこへやら。

オーナーが話している間中、凄い剣幕で怒り続けている。アラビア語で。

そして弟は私に言った。

「ここは、俺の父親のホテルだ!!」

いや、てことはあなた関係ないじゃん。

兄は、オーナーだと言っているのに。

弟は、私を外へ連れ出そうと必死なのだけど、兄がそれを制する。

そして私に、「彼の言葉には耳を傾けないで。このまま決して振り返らずに、まっすぐ部屋に行ってください。」と静かに伝えた。

私も、兄の言葉に従い部屋へ向かう。

私が部屋に戻ってからも、弟の怒鳴り続ける声がしばらく鳴り響いていた。

あぁ、シャワーを浴びるのは明日にしよう。

部屋の外に出るの、なんだか怖いし。

それにしても、実の兄に信用されていない弟って一体…。

私は、とんでもないところに来てしまったのではなかろうか。

▼次回、やはりとんでもない事になる▼
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