ー世界はきっと、美しいー
エジプト -Egypt-

ギザのピラミッドにローカルプライスで潜入&私だってたまには怒るんだよ

【アフリカ大陸縦断記】2019/12/13

カイロ(エジプト)-Cairo-

今日は、朝からカジノでUSドルを入手して、明日のバフレイヤ・オアシス行きのバスを予約。

人生初、カジノに行ってみる|カイロで米ドルを入手しよう

カイロでやるべき事が全て終わったので、ようやく心置きなくピラミッド観光に出かけられる。

ローカルルートで、ピラミッドへ向かう

まずはメトロでギザ駅まで行って、そこからピラミッドまでバスで行く。

ギザ駅(Giza)
地下鉄レッドライン終点/アッ・サーダート駅(Sadat)から約9分

ギザ駅を出るとすぐに、男が声をかけてきた。

「ピラミッドに行くの?タクシー?」

「バスで行きます」

何かの勧誘かなとも思ったのだけど、近くにいた子連れのおじさんと話して、「この人たちについて行きなよ」と引き継がれる。

その子連れのおじさんも、丁度バスでピラミッドに行く途中との事だ。

子連れなら…たぶん大丈夫か。

少し警戒しつつも、一緒に歩く。

子供は10歳くらいと5歳くらいの男の子で、このおじさんの甥との事。

子供たちはアレキサンドリア(エジプトの北の、地中海に面した町)から来ていて、今日はピラミッドを初めて見るのだとか。

おじさんは、カイロに住んでいるから何度も見たことがあるとの事。

道路を渡るとき、おじさんが手を繋いできた。

え??
いま会ったばかりの男性と手を繋ぐの??

と思っておじさんの方を見たら、もう片方の手をお兄ちゃんと繋いでいて、お兄ちゃんのもう片方の手は弟と繋がっていた。

つまり、4人で手を繋ぎ合っての道路横断。

これは…なんか微笑ましい光景だ。
ドライバーには迷惑だろうけど。

そして、ここでバスを待つよと言われた場所は、なんでもないただの高架下だった。

本当にここ??

すると、おじさんが小さなバンを止める。

なるほど、そういう地元民ならではの手段で行くのか。

このバンを2台乗り継いで、合計5ポンド(35円)。

道すがら、おじさんと話をする。

ピラミッドは、ローカルは安く入れるけれど、外国人価格はローカル価格より遥かに高い。

まぁ、仕方ないよなと思っていたのだけど。

おじさんは、私も一緒に入ればローカル価格で入れるよと誘ってくれた。

え、本当に??

信じがたい話だ。

だってそれが可能なら、なんかそういう商売が成り立ってしまいそうじゃないか。

「僕と来れば安いよ~」って、悪い事考える人がたくさん出てきそう。

だけどおじさんは、「大丈夫、今日のあなたはエジプシャンだよ!」って。

「ありがとうはアラビア語でなんと言うのか」と聞いたら「シュクラン」だと教えてくれた。

あ、宿の人が頻繁に「ショコラ!」って言っていたのは、「シュクラン」だったのか。

美味しそうだな~何だろうな~って思っていたんだけど。

「でも、こういう事をするのは、あなたが日本人だからだよ。アメリカ人だったら、誰も手伝わないよ」と言われる。

何故かと聞いたら、「アメリカ人はアラビア人に対して良くない事をするから」だと。

なるほど、ここで国際対立の断片を垣間見る。

ローカルエジプト人のパッケージ料金

ピラミッドの近くに着いた。

丁度12時のお祈りの時間。

今はお祈り中だから、終わるまで待とうと言われる。

商売中であっても、お祈りの時間は休止するんだね。

トイレに行きたいと言ったら、近くの民家らしき場所を案内される。

え、、そんなのいいのかな。

民家のトイレを、普通に借りる。

トイレットペーパーを捨てる入れ物が欲しいと言うものの、「ノーイングリッシュ」と言われたので、何とかジェスチャーで伝えてみる。

なんとかなった。

うん、なんとかなるものだ。

先ほど教わった「シュクラン!(ありがとう)」をさっそく使って、外に出る。

すると、目の前に馬が止まっていた。

おじさんが笑顔で、これに乗っていくんだよ!と教えてくれた。

入場料と、この馬車と、スフィンクスの内部への入場など全て含めて120ポンド(約840円)という事だ。

これ以外は、一切払う必要がないと。

正規料金調べてないけど…たぶんこれは安い。

後から調べたら、入場料だけで200ポンド(約1400円)だった。

私が100ポンド札と20ポンド札を馬車の男に払おうとすると、100ポンド札だけ受け取って20ポンド札は受け取ってくれない。

「20ドルだ!」と。

え、話が違うんだけど。

するとおじさんが、怒った口調で男に伝える。

「120ポンドで全て込みだ!彼女は僕の友だちだ!」と。

おじさんは信用できるけど…この男たちは信用できないな。

おじさんは、「楽しんできてね」と笑顔で見送ってくれた。

 

男たち3人組と一緒に馬車に乗って、入り口に向かう。

ピラミッドの被害で多いのは、ラクダ関係。

「ラクダに乗った写真撮ってあげる♪」と言ってラクダに乗せて、あとからチップを請求する、または言い値より高い金額を請求するというもの。

ラクダは凄く背が高いから、ラクダ乗りがラクダを座らせてくれない限りは、絶対に自力では降りられない。

お金を払うまで降ろしてもらえないから、払わざるを得ないんだって。

私が今乗っているのは馬車だから、いざとなったら飛び降りて逃げよう。

 

途中、声を上げて泣きながら歩いている女性とすれ違う。

「たぶん、誰かが亡くなったんだ」と教えてくれた。

今日は金曜日で、ここにはたくさんのモスクがあるのだと。

なるほど、イスラム教徒は金曜日にモスクでお葬式をあげるという事かな。

 

そして、途中でハッサンという男に引き継がれる。

ここからは、このハッサンが私のガイドなのだと。

彼らが、おじさんの言葉をそっくりそのまま伝えてくれる。

「ピラミッドのビューポイントを見て、写真を撮って、ピラミッドに触って、スフィンクスの中まで入れてあげて。ピラミッドの内部は含まない。そして、帰りのバスまでアシストしてあげて」と。

ローカルだらけの、裏口的なゲートに着く。

ハッサンが、チケットを買いに行ってくれる。

入り口には、ガードマンがいる。

ここで止められたらどうしよう。

なるべく目立たない様にしよう…。(←たぶん無駄だけど)

と思ってドキドキしたものの、何食わぬ顔で堂々と入ったら大丈夫だった。

ピラミッドのエリア、無事に潜入!

ここまで入れたら、あとは本当に何かあっても逃げ出して観光客に紛れ込める。

馬車で優雅にピラミッド観光

中にいた、別の馬車に乗り換える。

そしてまずは、ピラミッドを遠くから望めるエリアに来る。

ここで、ピラミッドをつまんだりなどのベタなトリック写真を撮る。

私が絶対に自分ではリクエストしないような写真がいっぱい撮れた。

これは…貴重だ。

あとで友人たちに送ろう。

写真を撮っていたら、おじいさんが頭に布を巻きつけて来た。

何だ何だ…?と思っていたら、「これであなたもエジプシャンだよ♪」って。

そりゃどうも。

すると、こっちへおいでとラクダの方に連れていかれる。

あ、これはダメなやつだわ。さっそく。

ハッサンに「これも含まれているの?」と聞いたら、案の定「含まれていない」と答えた。

「じゃあ、いらない」と布を剥がしておじいさんに返す。

おじいさんは、何やら怒り出す。

ハッサンも、「少額のことだよ!」と私を説得しようとする。

いやいやハッサン、あなたは私の味方をしないとダメでしょう??

気を取り直して、ピラミッドを撮影。

「ピラミッドが3つ並んでいるスポットに行きたい」と言ったら、「9つ並んで見えるスポットがあるよ」と教えてもらう。

大きいピラミッドは3つだけど、小さいのも含めたら9つなんだって。

「そこに行きたい!」と言ったら、「追加120ポンド(約840円)だ」と。

なにそれ。

「じゃあ行かない」と言うと、「70ポンド(約630円)でどうだ!?」と。

そういう問題じゃない。

「全部含まれていると聞いているよ!追加料金は一切払う気ないから」と伝えると、「ガイド料は別だよ!」とか言い出す。

「ガイド料は受け取っていないんだ、あなたからもらう必要がある」だって。

嘘だね。

引き継ぎの時にお金受け取ってるの、しっかり見てたよ私。

「全て込みと聞いているから、一切追加料金は払うつもりはない」と再度伝えるも、聞き入れてくれない。

しかも話し合いがまとまっていないのに、馬車を追加料金がかかると言っていた方向に走らせようとする。

「止めて!降りるから!」と言ったら、「大丈夫大丈夫。あなたをハッピーにするのが僕の仕事だから。お金は取らないよ」と言われる。

なんだ、タダで連れていってくれるんだ。

それなら最後に、チップくらいあげようか。
なんか可哀そうだし。

凄い…本当に9つ並んでる。


(写真では見えにくいけど、右の奥にも3つある)

ここは、歩いてくるには少し遠いから、連れてきてもらえてよかったよ。

また写真も撮ってくれたし。

ピラミッドが3つ重なって見えるスポットにも、ちゃんと連れていってくれた。

あ、3つじゃなくて6つだった。

ピラミッドの隙間から見えるカイロも、なんだか美しいと思ってしまう。

砂漠の中にそびえ立つ巨大なピラミッド郡と、ビルが所狭しと立ち並ぶ大都会カイロ。

この異質な両者が、こんなにも隣接しているんだ。

凄く不思議。

都会のすぐ傍にあるピラミッドが異質なのか…それとも古代からの砂漠の果てに突然現れるビル郡が異質なのか。

異質なのは、一体どっちなんだろうか。

今度は、ピラミッドの傍に向かって再び馬車を走らせる。

ハッサンが、しきりに夜の「音と光のショー」に誘ってくる。

70ドルだよ、安いよって。

いやいや、高いでしょうが。

「夜は、何が食べたい?」と、行くと言っていないのに聞いてくる。

だけど行かないと答えて、このあとのサービスが悪くなっても困るから、「ちょっと考えさせて」と答える。

「んん?どういう意味」

「だから、考え中だってば!アイムジャストシンキング!(I’m just thinking)」

「意味が分からない」

私の発音、そんなに悪いか??

「シンキング!」

「チキン??チキンが食べたいの??」

「シンク!シンク!」

「???」

ダメだ…。

困ったときのアイドンノー(I don’t know)で逃げ切った。

なんかショックだ。

ピラミッドは、一段一段が凄く高い。

こんなに巨大なブロックを、古代の人たちは手作業で積み上げていたんだ。

凄いな。

…というか、登れと言うから一段登ったのだけど、ピラミッドって登って良かったんだっけ??

でも地元民は、もっと上まで登っている。

これは、クフ王のピラミッド。
一番大きい。

紀元前2,550年に建てられたんだって。

そんな時代から文明が栄えていた事に驚き。

どんな人たちで、どんな生活だったんだろう。

近くには、小さいピラミッド(?)も。

テッペンの模様が違うのが、カフラー王のピラミッド。

クフ王の息子で、中くらいのサイズ。

もう一つはメンカウラー王のピラミッド。

カフラー王の息子で、3大ピラミッドの中で一番小さい。
財政難になっていったみたいだ。

メンカウラー王のピラミッドの傍に3つ並んでいる小さいピラミッドは、メンカウラー王の息子たちだそうだ。

そしてスフィンクス

しばらくスフィンクスを眺めて、正面へ向かう。

三大ピラミッドとスフィンクス。
素晴らしい光景。

そして、ゲートを出る。

あれ??

「スフィンクスの内部に入れるはずなんだけど??」

「それは、ゲートを出る前に言ってよ!もう戻れないよ!」

まぁいいんだけどさ…把握しているべきはそっちじゃないのか??

そもそも、正規チケットだったら再入場可能なはずなんだけどね。

そして、「これで終わりだよ、満足したならチップ頂戴」と言われる。

私は、言われなくてもチップは渡すつもりで50ポンド札(約350円)をすぐ出せる場所に用意していた。

だけど、こういう風に請求されちゃうとね…あげたくなくなるよね。

そもそも、ここまでの日記では省略してきたけど、実は馬車に乗っている間中、ずっとナイトショーの勧誘やらチップの催促をされ続けていた。

ゆっくりピラミッドに想いを馳せたかったのに。

そもそも、こんなにしつこくなければ気持ちよくチップ渡せた。

ナイトショー(音と光のショー)だって、頼んだかもしれない。

だけど、実は私は今ものすごく不機嫌なのだ。

ナイトショーの勧誘だってさ、するにしても最後でいいじゃない。

ピラミッド見ている時は、ピラミッドの話をしようよ。

チップだって、催促してもらうものじゃないでしょう?

あなたの仕事は私を満足させる事であって、不機嫌にさせる事じゃない。

こんな事なら、外国人料金を払って自分で見て回った方が絶対に満足できたよ。

…と思う気持ちは、グッと堪える。

だってあの子供連れのおじちゃんは、私がハッピーな気持ちになる事を望んでくれていた。

ずっと「エジプトはどうだ?いい国か?」って気にしていたし。

自分で正規ルートで観光した方がマシだったとまで思うのは、ローカルルートを手配してくれたおじちゃんに申し訳ない。

だから、なるべくそうは思わない様に感情をセーブする。

そしてチップが欲しいとねだるハッサンに対して。

「あなたはお金お金と言いすぎ!私はそういうのが嫌い!」

「日本人に対して、二度とそういう事しないで!」

って強めの口調で言って、そして彼の顔も見ずに50ポンド札を乱暴に渡して立ち去る。

我ながら、なんて乱暴な対応なんだろうと思うけど。

実は、どうしようかずっと考えていた。

同じように啖呵を切って、「だからチップは払わないよ」と切り捨てるのか。

角を立てても仕方がないので、普通に払ってバイバイするのか。

考えた結果、こういう対応を取る事にした。

まず、やっぱりチップはあげないと可哀そうかなという気持ちと。

それから「お金の話をしすぎて、日本人を怒らせてしまった」という経験から、何か学んでもらえたらという希望を込めて。

 

気を取り直して、有名なケンタッキーに行く。

「ピラミッドの目の前にケンタッキーがある」というのは、中学校の地理の時間に習った記憶がある。

へ~、砂漠の中にポツンとピラミッドがあるように見えて、その背後には普通にケンタッキーとかがあるんだ~って、不思議な気持ちになったのを覚えている。

ポテトとチキンとコーラで53ポンド(約371円)。

先ほどハッサンに渡したチップと、ほぼ同額なのが何だか皮肉的。

ケンタッキーの窓からは、三大ピラミッドとスフィンクスが見える。

ここで夜まで頑張って待機していれば、夜の音と光のショーも無料で見れるのだ。

だけど疲れてしまったし、そんな時間まで待てそうにないので帰る事にする。

もったいなかったかな?

いや、多分2人旅とかだったら、お喋りしながら待ったんだと思うけど。

あいにく1人なもんでね。

帰りも、地下鉄ギザ駅までバスで戻りたい。

バス乗り場はこの辺かなと思うところで、鬱陶しそうな男に「何探してるの?手伝おうか?」と声をかけられる。

その男の事は無視をして、近くにいた警備員に聞いてみる。

すると「アラビック!(英語喋れませんという意味)」と言われる。

なるほど。

わたし「メトロ!メトロ!」

警備員「ギザ?」

わたし「いえす!ギザ!メトロ!」

すると、反対車線の方を指さす警備員。

よかった、通じた。

だけど方向的にこっちの車線だと思うんだけど…本当にあっちなのかな?

半信半疑で向かおうとすると、さっきの鬱陶しそうな男が「そっちじゃない、こっちだよ」と慌てて止めてくる。

そして、マイクロバスが何台か停まっているエリアまで連れていってくれて、「このバスだよ」と教えてくれた。

男「料金は知ってる!?」

私「知らない。いくら?」

男「4ポンド(28円)だよ!(指を折りながら)1、2、3、4ポンド!」

私「ありがとう!シュクラン!(アラビア語のありがとう)」

男「ウェルカムだよ!次に来た時は、僕のタクシーに乗ってね!」

タクシードライバーだったんだ。

それなのに、タクシーの勧誘は一切せずにバスに案内してくれた。

ハッサンに苛立っていた私の機嫌が、一瞬で治った。(←単純)

 

帰りのメトロ車内から、夕日に染まるピラミッドが見えた。

あと30分ケンタッキーで待っていれば、綺麗なピラミッドが見れたのにって、少しだけ後悔。

▼次回、カイロを離れて砂漠地域へ▼
大都会カイロから、砂漠の街バフレイヤ・オアシスへ|ようやく旅らしくなってきた

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