ブージ -Bhuj-
今日は午後から郊外へ遠征の予定。
午前中は、次の町「アーメダバード」行きのバスチケットを買いに行く。
アーメダバード行きのバスを探す
町中にあるバスパークに行ってみる。
ローカルバスだらけの中に、何台かスリーパーバスの様なものが見える。
きっとここで買えるんじゃないかな。
カウンターに行ってみる。
「アーメダバード行きのバスチケットはある」と言うし、「スリーパーバスもある」と言う。
だけど予約はできないと言われる。
よくわからないし、コミュニケーションもうまくいかなくて困っていたら、近くで見ていた青年に「ヒンディーオンリーだ」と言われる。
ヒンディーオンリーか。
さらにそれを見ていたリクシャーワーラーに「今は予約カウンターが閉まっているから、ニューバスパークに行こう」と言われる。
「たった50ルピー(90円)だ」と言うのだけど、彼の英語も私には聞き取りづらく、サポートが期待できるとも思えない。
こういう時は、旅行者慣れしている「プロ」に頼むのが一番だ。
という事で、諦めの早い私は旅行会社を目指して歩き出す。
ブージ到着初日に声を掛けて来た男性の旅行会社に行ってみよう
旅行会社に行くと、あの男性は不在だったものの、スムーズにチケットを取得する事ができた。
ブージからアーメダバード行きのスリーパーバス。
シングルシートで500ルピー(900円)。
出発時間の15分前にこのオフィスに来ればいいという。
バス乗り場を探す手間もないなんて最高だ。
本日のミッションが早々に完了したので、昨日閉まっていて諦めた博物館に行ってみる。
途中で、元気のよい女の子4人組に写真をせがまれる。
私と一緒に撮りたいのではなくて、「自分たちを写して!」というパターン。
私が撮った写真を見るだけで喜ぶ彼女たち。
手に入らないのに、これで満足なんだね。
カッチ博物館 -kachchh Museum-
カッチ博物館に入る。
入場料50ルピー(90円)。
カメラ持ち込み料は100ルピー(180円)もするというのでやめた。
ここでもインド人学生の集団と一緒に回る。
このカッチ地方を北へ進むと、刺繍や陶芸、工芸品などの技術を持つ村々が点在している。
そして更に北には、広大な塩湖がある。
その作品や、作成の様子などが分かる展示がされていた。
・・・
博物館見学を終えて、初日にも行った「アンナプルナ」にランチをしに行く。
「おとといと同じグジャラートタリでいい?」と言われる。
2回目の訪問で、既に常連気分にさせてくれるブージ。
メニューのラインナップは、前回とは少しだけ違っていた。
これなら、何回来ても飽きないかもね。
西インドの絶景|ホワイト・ランへ
そして午後14:00。
宿で待機をしていたら、リクシャーワーラーがやって来る。
彼の名前はショーヤップ。
私は彼に連れられて、ここから北にある広大な塩湖「ホワイト・ラン」に行く。
地元の人は「ホワイト・デザート」と言っている人の方が多いけど。
途中の村巡りも見どころなのだけど、私はホワイト・ランとサンセットスポットだけをオーダーしていた。
7時間の旅程で、1500ルピー(2700円)。
ホワイト・ランに行くだけで7時間もかかるのだから、村巡りに行く人は何時間コースなんだろうね。
走り出して間もなく、もう一人男性が乗り込んでくる。
彼の名前はハッサン。
どうやら彼も同行する様だ。
宿のオーナーの紹介リクシャーだから安全だとは思うのだけど…初対面の男性2人と遠出だなんて、少し不安になる。
リクシャーは、めちゃくちゃ揺れる。
その振動に身を任せながら、荒野を眺める。
ある橋を渡るとき、その風景が素晴らしかったので写真を撮ろうとしたら、リクシャーを止めてくれた。
なんだか凄い絶景。
雨季には、水が流れて川のようになるのだろうか。
橋がかかっているくらいだし。
そして再び、広大な荒野を走り抜ける。
出発してから1時間半後、可愛らしいオフィスに立ち寄ってパーミッションを取得する。
書類に必要事項を記入して、パーミッション代250ルピー(450円)を支払う。
パスポートコピーも必要の様で…ここでは取ってくれないらしい。
たまたま予備で持っていてよかった。
リクシャーは度々、動物たちに行く手を阻まれる。
こんな光景も、実にインドらしい。
出発してから約2時間30分後、ようやく到着をした。
塩湖の手前は、まだまだ茶色い風景。
地平線の辺りが、うっすらと白く見える。
あそこへ向かって歩くのだ。
ここには多くのインド人観光客がいる。
懐かしのラクダまでいるよ。
だけどあのラクダは背に乗るわけではなくて、ラクダが引いているリヤカーに乗るのだ。
あんなに沢山の人間を同時に運ぶなんて…凄く力持ちなんだね、ラクダ。
少し色が白くなってきた。
そして到着!
ホワイト・ラン(White Rann)
見渡す限り、地平線の向こう側まで白い平野が広がっている。
これは全て塩なんだ。
手前は多くの人で賑わっているから、奥まで歩く。
そこには人に踏まれずに形を留める塩の結晶。
美しいね。
砂漠の国ジャイサルメールよりも、更に西の国。
そう、ここは私の人生の最西地。
私は、遥々こんなところまでやって来たのだ。
正直、こんなに観光色が強いとは思っていなくて、想像していた「秘境感」に浸れないのが残念なところではあるけれど。
だけど誰もいない地平線の彼方を眺めると、「旅情感」の様なものが込み上げてきたりする。
このあと夕日スポットまでリクシャーで移動するのかと思っていたのだけど、「ここで見るのがベストだよ」と言われ従う事にした。
仕方ないか。
サンセットまで、あと1時間しかない。
サンセットタイムを待つ間、ショーヤップとハッサンと話す。
何やら不思議なものを「食べなよ」と言って差し出される。
私は、「これは何か」と尋ねるのだけど「英名を知らない」と言われる。
「スナック?」と聞くと、「違う」と言われる。
「ドラッグ?」と聞くと、「違うよ!ドラッグは嫌いだよ」と言われる。
ドラッグじゃないなら…とりあえずは安心だ。
だってそういうものは簡単に手に入るのだと、最近目の当たりにしたばかりだから。
「イスラム教徒はドラッグが嫌いだ」と言われる。
そこで初めて、彼等がイスラム教徒だという事を知る。
なんとブージの人口の50%がイスラム教徒なのだとか。
そうか…あの町の独特な親切感って、もしかしてイスラムの空気だったのかな。
イスラム圏を旅したことがある多くの人が「人々が親切で過ごしやすかった」と言う。
なにやら、イスラムの教えに「旅人に親切にしなさい」という様なものがあるらしい。
陽が落ちそうになって来たので、私はまたひとり更に奥へと歩いて行く。
ゆっくりと白い大地の向こう側に消えようとしている太陽が、とても綺麗だ。
だけどジャイサルメールの砂漠で見た時とは違って、なんだか物悲しい。
いま私は、異国の西の果ての大地の上で、ひとりぼっちなのだ。
「ひとりは寂しい」と思うようになったのは、いつからだろうな。
ヒマラヤトレッキングからかな。
だけど「常に特定の誰かとつるんでいたい」とも思わなくて、基本は一人でいたい。
ひとりで気ままに、好きなときに好きなところに行きたい。
だけど、たまに物凄く、人恋しくなる。
そんな自分勝手な、わたしの一人旅。
陽が完全に落ちたので、リクシャーに戻る。
ショーヤップに「トイレに行きたい」と申し出ると、「その辺でして問題ないよ」と言われる。
それは、大問題だよ…。
確かにね、暗くて汚いトイレを使うよりも、清々しい青空トイレの方が好きだよ。
だけどこんなに見晴がよくて、観光客で賑わっているところは流石に無理だ。
え?インド人女性って、こんな環境でも平気でするのかな??
トイレはあっちだよと言われて行ってみる。
建物は綺麗なのに、掃除が全くされていなくてカオスだった。
夜の道を猛スピードで走る。
フロントガラス以外は全て吹き曝しなので、とても寒い。
パーカーの他に、ダウンコートも必要だったかな。
ふと外を見ると、満天の星空が広がっていた。
近くに月がない分、あの砂漠で見た星空よりも綺麗かもしれない。
星空を写真に収める技術がないのが残念。
寒いのに入り口にすり寄って、しっかりと目に焼き付ける。
星を見ていたら、なにやら様子がおかしい事に気づく。
リクシャーが蛇行運転をしている。
ショーヤップが、激怒しながらリクシャーをドンドンと殴りつけている。
ハッサンは、黙って話を聞いている。
ハッサンに対して怒っているのか、他の何かに対する怒りをハッサンにぶつけているのかはわからないけれど。
リクシャーは、対向車線を走っている。
前方から車が来た時には、通常車線に戻るのだけど。
……。
ちょっとー!気を付けてよー!
もう星空どころではない私は、リクシャーからいつでも飛び降りられる態勢を取る。
ここから飛び降りたら、痛いんだろうな。
痛いだけで済めばいいけど。
あっちの草むらまで飛べればいいけど…コンクリートの部分に頭から着地したら悲惨だな。
後ろ向きに飛び降りて、リュックをクッションにすればいいのかな。
あれこれ考えていたら、リクシャーは通常運転に戻った。
そして途中の休憩所で、ショーヤップがチャイをご馳走してくれた。
彼の表情は、とても穏やかなものに戻っていた。
もう…一体何だったんだ。
21:00、無事に宿に辿り着いた。
何だか全身が塩っぽい。
だけど、総合的には楽しい一日だったな。
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実際は、2019/02/18に頂いたコメントです。