-Kuala Lumpur to Narita-
朝5時、空港のベンチの上で目が覚める。
寒かった。
パーカーにダウンジャケットも羽織ったけれど、それでも寒かった。
寝袋も、預けずに持って来れば良かったな。
▼前回のお話し▼
カトマンズ空港、まさかの入場拒否!?コロナ禍での国際線利用はひと苦労
主に日記記事です。
帰国後の流れ(2020年9月時点)だけ読みたい方は、下記もくじよりジャンプしてくださいませ。
もくじ
コロナ禍でのクアラルンプール(マレーシア)からの出国
クアラルンプールから成田へのフライトの搭乗券は、ネパールで既に発券してもらっていたから、ここクアラルンプール空港での手続きは不要らしい。
出発時刻は9:15という事で時間に余裕があるので、朝食を食べる。
私は今まで、「乗り継ぎの空港では現地通貨も持っていないし、何も食べられない」と思って我慢していた。
だけどワタルさんに、「クレジットカードを使えばいいんだよ」という、言われてみれば当然な方法を教えてもらう。
そうだよね、皆そうしているんだろうね。。(恥)
朝の空港内はとても静かで、人も少ない。
コロナ禍でのマレーシア空港の搭乗手続き。
手続き的には、体温を計られる以外、特に普段と異なる点は感じられない。
むしろ、人が少ないから普段よりスムーズだ。
人が少ない…どころではない。
なんと乗客は、私たち2人を含めてたったの5人。
え~~!??笑
ちなみに、この時点で昨日のネパール人風日本人男性がネパールを出国しなかった疑惑が確定となる。
私たちを除く3人の乗客の中に、彼はいないから。
それにしても、こんなに大きい飛行機に乗客5人って…笑
どうやら、日本→マレーシア間のフライトは、帰国したいマレーシア人が乗るからそれなりに需要があるらしい。
マレーシアでも日本同様、入国後は14日間の隔離が義務付けられているから、日本人は来ないらしいけれど。
そして、いずれにしても貨物を運ぶ必要があるから、欠航にはならなかったんだって。
たった5人の乗客の為に、欠航せずに運航してくれるなんて、とても有難い。
マレーシア航空でのVIPなフライト旅
座席は、好きな場所をどうぞと言われる。
選び放題…笑
機体は2~3ヵ所に区切られている大きいもので、他の3人は前方のエリアを選択。
私たちは、この後方のエリアを貸し切り状態。
普段はもちろん、客席1つ1つを回る客室乗務員さん。
このエリアには私たちだけなので、一直線に私たちの座席に来てくれる。
「宇田里さま」って、名指しで接客される。
マスクやおしぼりの入ったセットが配られる。
コロナ禍ならではのサービスだ。
離陸の前に、ウェルカムドリンクをもらう。
そんなサービス、普段はないよね!?笑
離陸前に1人1人の席を回って飲み物を出す時間はないけれど、只今の乗客はわずか5人。
たぶん場所ごとに担当さんが決まっているだろうから、彼女たちは私たち2人だけの専属になる。
2人の為なら、離陸前でも飲み物が出せるという事か。
もしかして、ビジネスクラスやファーストクラスの乗客は、いつもこんな対応を受けているのかな。
このフライトには、日本人の乗務員さんが2人乗っている。
他は恐らくマレーシア人。
乗客よりも乗務員の方が多いのではないだろうか…笑
機内アナウンスは、機長挨拶以外は全て日本語のみだった。
日本での国内線でだってある「英語のアナウンス」が、省略されている。
これは国際線だけれど、乗客5人は全て日本人なのだ。
日本で提出する書類を渡される。
コロナ禍ならではの書類。
帰国後の14日間の滞在先の申告も必要。
書類に記入をしていると、「機内食をお持ちしましょうか?それとも、記入後にしますか?」と伺われる。
機内食を出してもらうタイミングまで、私たちに合わせてもらえるみたい。
たった5人しか乗客がいないのに、トイレはこまめに掃除されている。
乗務員さんともお話しをしたりと、普段はあまりない過ごし方。
彼女も、ずっとマレーシアから帰国できずにいるんだって。
「私も日本に帰りたいです」と言っていた。
約7時間のフライトの中、軽食も振舞われる。
3種類くらいから選べるという事は、5人の為に念の為15食分は用意しているという事なのだろうか。
夕暮れ時、日本の大地が見えて来た。
あぁ、日本だ。
帰国後のイメージが全く湧かない、日本での生活。
むしろ、着陸後の検査の流れもイマイチよくわからないし、私の「非日常」はしばらく続きそうだ。
「PCR検査の結果を待つ間、暇でしょう?」と、最後にお菓子をプレゼントしてくれた。
そんな感じで、乗客わずか5人の快適な空の旅が終了。
たった5人の為に飛んでくれて、その上こんなに手厚いサービスもしてくれるなんて感激!
マレーシア航空の皆さん、ありがとうございました…★
【2020年9月】成田空港|着陸~入国まで(抗原検査の流れ)
無事に、成田空港に到着。
ここからは、普段とは全く違う流れ。
これから「抗原検査」というものを受けなければならない。
機内待機
同時刻に到着した飛行機が複数ある場合、機内待機時間というものがある。
一度に大勢の人が空港に入らない為だ。
私たちの場合は、運よく数分で出られた。
むしろ、乗客が5人しかいなくて「降りるの待ちの列」に並ばない分、普段より早く降りられた。
待機場所で待機
飛行機を降りると、案内役の職員さんが待っている。
職員さんの誘導に従い、待機場所へ。
椅子が等間隔にずらっと並べられているエリアに、到着フライト毎に座る。
既に55人ほどの人が座っていて、私たちを合わせると60人ほど。
15分ほどで、「次マレーシアどうぞー!」と呼ばれる。
抗原検査
検査待ちの列に並ぶ。
並んでいる間、「唾液腺マッサージ つばが出る方法」と書かれたプレートが各所に貼られているのを見かける。
15分ほど並んで、検査キットを受け取る。
1人1人、半個室になっているブースに入り、梅干しとレモンの写真を見つめながら唾液を溜める。
梅干しとレモンの写真の下には、「すっぱいものをイメージしてください」と書かれている。
これを大真面目にやるのだから、シュールで笑える。
書類提出
唾液を既定量溜めたら提出して、検査待ちの待機場所へ移動。
機内で書いた書類を提出して、諸々の説明を受ける。
私は電話番号を持っていないのだけれど、その場合はメールアドレスの申告だけでいいみたい。
14日間の待機場所についても再度確認される。
明日から14日間「自主隔離」となるわけだけれど、食べ物を買いに行くなどの必要最低限の外出はokとの事。
成田駅周辺の宿へは、空港からの専用バスも出ている。
これは自主隔離者のためのバスで、公共交通機関ではないみたい。
検査結果を待つ
書類を提出したら、椅子がずらっと並んだエリアの指定された席で待機。
フライト毎に連番になっているらしく、私たちが乗っていたマレーシア航空の乗客5人が近くに座る。
「PCR検査」をしていた頃は、検査結果が出るまで数日かかる場合もあったので、政府が用意したホテルで結果が出るまで隔離されていたらしい。
その場合は、14日間の自主隔離とは異なり、一切の外出が禁止。
食事は全て部屋の前に届けられ、誰にも合わない数日間を過ごしていたみたい。
帰国者で溢れていた時期(混乱期)は、ホテルに入り切らなかった帰国者の為に空港の段ボールベッドが用意されていた。
段ボールベッド…ちょっと興味あったんだけど。笑
今は検査方法が「抗原検査」へ変更になったので、結果は数時間で出る。
検査自体は簡単ですぐに結果が出るらしく、どれくらい待つことになるのかは、直前の到着便の人数によって大きく変わるらしい。
待機場所に行くと、待っている人の人数は約150人ほど。
さてさて…どれくらい時間がかかるのか。
待機中、水やお菓子が無料で取り放題。
いろはす、どらやき、堅あげポテト…帰国者の心理をよく理解している、素敵なラインナップのお菓子たち♡
次々に番号が呼ばれて行く。
待ち始めてから1時間30分ほど経った頃、ついに私の番が来た。
結果は…
陰性!
よかった♡
入国~終了
この先は、入国審査と荷物の受け取り。
通常通りの流れ。
むしろ人が少ない分、普段よりもスムーズに終える事ができた。
所要時間は、なんと30分だ。
帰国後の流れと所要時間|まとめ
- 機内で待機(数分)
- 職員の案内で検査待ちの待機場所へ行き待機(15分)
- 到着便ごとに呼ばれ、検査待ちの列に並ぶ(15分)
- 検査キットをもらい、唾液を提出(5分)
- 結果待ちの待機場所へ移動、書類提出、諸々説明を受ける(15分)
- 検査結果を待つ(1時間30分)
- 入国審査、荷物受け取りなど(30分)
直前のフライト便の人数によって時間は大きく変動するみたいだけれど、私の場合はこんな感じ。
飛行機到着から到着ロビーへ出るまでの所要時間、約3時間。
初めての事だったけれど、職員さんが誘導してくれるので流れはスムーズ。
検査結果が出た後は、特に職員さんに付き添われる事もないので、到着ロビーへ出てしまえば自由。
公共交通機関に乗らないかどうか、付き添われて監視されるという情報もあったけれど、全くそんな事はなかった。
普通に電車に乗って帰れる感じ。
ただし、14日間の自主隔離先や、隔離先への移動手段に関しては事前に申告しており、「虚偽の申告」は罰せられる。
成田空港から自主隔離先へ移動
成田空港から自主隔離先へは、公共交通機関の利用は不可。
迎えに来てもらうか、レンタカーを借りて向かうか、もしくは空港から周辺ホテルへのバスに乗るか。
私は成田駅近くのホテルを予約しているので、空港からのバスに乗る予定。
空港からホテルへは、あさ9:05~23:05の間に自主隔離者専用のバスが出ている。
ホテルの専用送迎バスは公共交通機関になるので、そちらは利用不可。
成田空港に帰国後、公共交通機関を使わずに自宅に帰れない人は、成田のホテルで自主隔離生活になる
空港からホテルへは、あさ9:05〜23:05の間、専用のバスを利用可能!
(ホテルの専用送迎バスは公共交通機関になるので、そちらは利用不可) pic.twitter.com/EDaZsY3btz
— 宇田里 ちせ@帰国後ニート中 (@Utar_Cise) September 24, 2020
書類を提出したときに「専用バスを利用したい」と申し出れば、対象ホテルと乗り場案内の書類をもらえる。
一緒に帰国したワタルさんは、親が迎えに来てくれると言う。
ここ成田空港でお別れ…の予定だったのだけれど、私がバス乗り場に向かうより前にワタルさんのご両親と偶然出会う事になる。
そして、なんとホテルまで送って頂ける事に!
ありがたい。
成田空港へ、帰国者のお迎えに来る方への対応
お迎えの方専用の待機場所があるという事もなく(以前はあったみたい)、到着ロビーやその他のスペースで自由に過ごせる。
空港入場時に、パスポートの提示なども必要ない。
つまり、コロナ禍前と変わらない対応。
14日間の隔離先ホテル|ミートイン成田
私が予約をしていたのは「ミートイン成田」。
予約時に帰国者である事は申告していないけれど、帰国者用のバスが巡回するホテルリストに載っているホテルならば受け入れてくれるのではないかという賭けで予約。
ホテルによっては、帰国者の受け入れをしていなかったり、帰国者用の部屋数に限りがある。
事前に問い合わせをした方が無難。
ホテルのフロントで、チェックイン。
検温を受け、そして昨日までどこにいたかを聞かれたので、素直にネパールからの帰国者である事を申告。
抗体検査で陰性だった事を伝えたら、特に問題なかった。
宿泊拒否の可能性も考えてはいたので、これで一安心。
そしてまた、1人になる
アフリカ大陸縦断旅の途中で出会い、アフリカ諸国5ヶ国を1ヵ月ほど共に旅をして、そしてネパールでの6ヵ月という期間を共に過ごしたワタルさん。
ロビーでお別れをして、私はひとりホテルの個室に入る。
仰向けに大の字になって、天井を眺める。
あぁ、私はひとりになったのだ。
これから14日間をここ成田で過ごすとして…その先のコマを、1人でどう進めよう。
私は、1人でいる事は苦ではないし、むしろ1人でいる事が好きだ。
旅先でも滅多に人とつるむ事はないし、日本人を見かけたって自分からは声をかけたりなんてしない。
そんな私だったけれど、ワタルさんとロシア人のアンドレィとの3人旅が始まってからの7ヵ月間は、常に誰かと一緒だった。
ネパールでも、人に囲まれて過ごしていた。
人と過ごす事に慣れてしまった私の身体は、1人になると孤独を感じる様に体質改善されてしまったらしい。
1人でいるのと、1人になるのは違うんだよ…って、何かの小説だか漫画だかで読んだ台詞を思い出す。
楽しみにしていた日本のシャワーも浴びないまま、感傷的な気持ちを抱えて眠りにつく。
おやすみなさい。
そして…お帰りなさい、わたし。
ネパール帰国難民生活記・完
いろいろと貴重な情報にとどまらず、楽しくも読ませていただいたアフリカ大陸縦断記(+おまけ)がついに完結とは感慨深いものがあります。
ちなみに、国際線のファースト(たぶんほとんどのビジネスも)だと、名前とウェルカムドリンクはあると思います。あとは名前は、マイレージの上級会員だと、エコノミー搭乗時でも挨拶に来ることもあるようです。
昔は、エコノミーが滅茶苦茶すいてるときは、中の4席(飛行機によっては5席)にそのまま横になって寝て行けたりしたのですが、さすがに今回はそれをやってる人はいなかったんですかね。(余談ですが今は、追加料金を払えば公認でその状態で行けるというサービスも路線や航空会社によってはあったはず。)
それでは宇田里先生の次回作にも期待しています!
NKさま
ありがとうございます…★
やはりファーストクラスやビジネスクラスだと、ウェルカムドリンクはあるんですね。
エコノミークラスなのに頂けるなんて、珍しい体験をしました。
他の乗客は私の視界には入らない場所にいたのでわかりませんが、私は横になって寝るという発想は思いつきませんでした。笑
でも、かなり緩い雰囲気だったので、もしかしたら可能だったかもしれません。
今後は、短期旅行や日帰り旅行などの簡単な記事を気まぐれで投稿する事になるかと思いますが、またお時間のある際にのぞいて頂けたら嬉しいです。
長い間ご覧頂き、そして度々コメントも頂きましてありがとうございました!