-Addis Ababa to Konso-
今日から、ケニアに向けて南下をしていく。
順調にいけば、明日はケニアの国境を越える事ができる。
今日は、まず「アルバミンチ」という、エチオピア南部の拠点の町まで行く。
そして、可能であれば「コンソ」という、国境行きのバスが出ている町まで行ってしまいたい。
▼前回のお話し▼
メケレから、アディスアベバへ|そしてアルバミンチ行きのバスを予約
少数民族巡りは行かないよ
エチオピア南部は、「少数民族巡り」というのが人気なのだけど、私はスルー。
まず、すこぶる相性の悪いこのエチオピアという国を、一刻も早く抜けたいという事。
それから、それとは関係なく、そもそも「少数民族巡り」という言葉が、あまり好きではないという事。
「人が観光資源になっている」という状況に、とても違和感を感じるから。
タイとミャンマーの国境付近で暮らす首長族に対して、「人間動物園」と表現した人がいるけれど。
まさに、その様な違和感を感じるから。
スーダンに行った目的は、素晴らしいと聞いていたスーダン人に会ってみたかったから。
そういう意味では、スーダンでも人間が観光資源だったのかもしれないけれど。
だけど、それとは全く違う気持ち悪いものが、そこにある。
「会いに行く」感覚なのか、「見に行く」感覚なのかの違いかな。
エチオピア南部の少数民族巡りでは、その独特な容姿を物珍しがってパシャパシャと写真に撮り、そして1枚いくらといった感じでお金を払うのだ。
時にはブログやSNSに写真を載せて、「ムルシ族は、お皿を唇にはめて醜くする事によって、誘拐から身を守って来たんですよ!」と語る。
そこに、彼らへの敬意があるのならば、素晴らしい情報提供だと思うけれど。
少数民族巡りをパッケージにしたツアーを斡旋して、商売にしている業者や個人もたくさんいるという。
むしろ、少数民族たち自身が、自分を売り物にして写真撮影をせがんでくると聞く。
上手く説明はできないのだけど…何となく、違和感を感じるのだ。
「相変わらず、面倒くさい思考をする女だな。もっとライトに考えればいいのに。」と、我ながら思うのだけど。
数十年かけて培った歪んだ性格は、そうそう治せるものではない。
アディスアベバからアルバミンチへ|VIPバス
宿泊先のエチオトラベル&ツアーズのゲストハウスからバス乗り場までは、歩いて30分ほど。
ここへ来た時は、昼間の暑い中での登り坂で辛かったけど。
今は涼しい夜の中の下り坂だから、とても楽。
バス乗り場は、Meskel Squareの近く。
セルムバスのチケットオフィスから、道路を挟んで丁度対面あたり。
バス乗り場には、たくさんのバスが停まっている。
私が乗る予定のセルムバス(Selam Bus)だけでも何台も停まっているのだけど、なんとご丁寧に行先の札が立っている。
これはわかりやすい!
ザマンバス(ZEMEN)は満席だった。
スカイバス(Sky Bus)という会社でも行けるとの情報あり。
アルバミンチ(Arba Minch)行きを、自分で見つける。
初めて、人に聞かずにバスを見つける事ができた。
バスはまだ来ていないけれど。
定刻4:30の10分後に、バスが到着。
運賃は320ブル(約1056円)。
荷物を積み込んでくれた人が、10ブル(約33円)を請求してきた。
親切なフリをした、ヤクザな商売だ。
なぜ??と聞いても、英語が話せない彼は「10ブル!」としか言えない。
彼は、恐らく乗務員ではない。
こうして、観光客を相手に小銭を稼いでいるんだろう。
荷物代が含まれていることは確認済みなので、もちろん払わない。
バスは、30分後の5:10に出発。
昨日ザマンバスで空きを聞いた時は満席だと言われたのに、私の乗ったこのセルムバスは空席がチラホラとあった。
幸いなことに、私の隣の席も空席。
いつもは不幸な事に、何故か私の前後の客が嘔吐を繰り返すのだけど。
エチオピア人は三半規管が弱いらしく、バス酔いが激しいらしい。
それにしても、いつもいつも嘔吐客の前後に座ってしまうのだ。
声と臭いにつられてしまいそうになる。
だけど今日は、全くそんな気配もない快適ドライブだ。
エチオピア旅、穏やかに終える事ができるかもしれない。
VIPバスでは、毎回お菓子と水が配られる。
水はだいたい、時間を置いて2本配られる。
事前に水の調達をしなくていいのは、とても楽。
11時ごろ、ランチ休憩。
いつもはローカルレストランが数件あるだけの小さな休憩所なのだけど。
今回は、普通に「町」に停車。
珍しく、ローカルフード以外も食べられそうなレストラン。
魅力的だけれど…長距離移動中は、念のために食事を取らないと決めているので、トイレだけ借りて外へ出る。
ピーナッツ売りが、ピーナッツを試食させてくれた。
試食に弱い日本人な私は、ピーナッツ売りからピーナッツを1袋分購入。
10ブル(約33円)なのに100ブル札しか持っていなかった。
ピーナッツ売りの手持ちではお釣りが足りない為、他のピーナッツ売りに協力してもらって、なんとか80ブルのお釣りが集まった。
だけど、あと10ブルが、どうしても無いらしい。
仕方がないなー。
もう一袋、買ってあげる事にした。
そうしたら、お礼のつもりなのか、なんとピーナッツを一摘み分、また手に握らせてくれた。
穏やかなピーナッツ売りに癒される。
もしや、エチオピア人も南の人は穏やかなのか!?
それならば、アルバミンチで2泊くらいしていってもいいかもしれない。
バスに乗って発車を待っていたら、ピーナッツ売りたちがピーナッツを置いて、殴り合いの喧嘩を始めた。
私にピーナッツを売ってくれた彼が仲裁に入るのだけど、止まらない。
嫌なものを見てしまった。
やっぱり、すぐにこの国を出よう。
先ほどまでは、隣の席は空席だったのだけど。
ここで、隣の席に青年が座る。
バスの中でピーナッツを食べる私を見て、青年が聞く。
「それ、いくらで買ったの?」
「10ブル(約33円)だけど…」
すると、ピーナツは1袋1ブル(約3円)だと教えてくれた。
相場の10倍も、ぼったくられたわけだ。
だけどこういうのは、私は怒らない。
定価のない物を購入する場合は、言い値に対して納得してお金を払った時点で、売買契約が成立しているのだ。
10ブル(約33円)払って買ってもいいと判断したのだ。
相場を知らなかった、私が悪い。
だけど、実は1ブルで買えただなんて…知らない方が良かったな。
13:40頃、アルバミンチに着いた。
8時間30分も乗っていたというのに、まだ昼だ。
アルバミンチからコンソ|ミニバス
よし、このまま国境行きのバスが出ている「コンソ(Konso)」という町まで行ってしまおう。
バスを降りると、客引きたちが次々と声を掛けてくる。
ここは、南部の「少数民族巡り」の拠点の町だからだ。
なんか、嫌だなー。
少数民族を、売り物にする感じ。
一人の客引きが、断ってもずっと付いてくる。
しつこいなー。
私は、少数民族巡りなどする予定はないのに。
「ツアーに行かないか」と言われ、「行かない」と答えると、「じゃあ、なんでこの町に来たんだよ!」と言われる。
そんなのは、私の勝手じゃないか!
5分ほどで、バス乗り場に着いた。
バス乗り場の客引きに「どこに行くんだ?」と聞かれたので、「コンソに行く」と答えると、コンソ行きのミニバスまで連れていってくれた。
ツアーの客引きは、まだ付いてくる。
私に助手席に乗るように促し、料金は250ブル(約825円)だと教えてくれる。
そして、「君は2席分買っているのだから、隣に誰も乗せてはいけないよ!」と教えてくれた。
なんだ、勝手に2席分買わせたのか。
だけど、バックパックを積む場所がないこのミニバス。
後ろの普通席では、かなり狭い。
助手席で、足元にバックパックを置き、横の席にサブバックを置く。
(もちろん、手は離さない様に管理)
本来、運転席と助手席の間には、もう一人座る事ができるのだけど。
ここに誰も座らない様に独占できるのは、かなり有難い。
なんだ、このツアーの客引きは、実はいい人なのか??
集金係が、私に「150ブル(約495円)だ!」と言いに来た。
どうやら、1席の値段は150ブルだという事がわかる。
するとツアーの客引きは、「彼女は2席分買っているんだ!隣に誰も乗せるなよ!」みたいな事を現地語で説明する。(たぶん)
なんだ、やっぱりいい人なのかもしれない。
10分ほどでバスは満席になり、出発。
後ろを振り返ると、かなりギュウギュウだ。
快適な席を斡旋してもらえて、よかった。
ドライバーが、何故か右側のタイヤを舗装されていない脇道へ入れて走る。
車体は、大きく右側へ傾く。
別に、対向車とすれ違うためとかではなく。
わざと、好んでこの体制を取るのだ。
めちゃくちゃ怖いんですけど…。
車が横転したら、怪我をするのは私側じゃないか。
車はだんだんと、なんとなく「アフリカらしい」風景の中に入っていく。
緑豊かな、サバンナ気候。たぶん。
途中で、物売りが窓から手を伸ばして、必死に物を売ろうとアピールしてくる。
いつもの事だし、私は我関せずでいたのだけど。
ドライバーが、窓を閉めてくれた。
現地の人にとっても、物売りは鬱陶しいのか。
日差しが強くなってきたころ、ドライバーが私の隣の窓に布を垂らして日よけを作ってくれた。
最後の最後で、優しいエチオピア人に出会えたようで良かった。
16:30頃、ミニバスは「コンソ」に着いた。
所要時間、4時間半。
どこに行くんだ!?と、声をかけられるのだけど、今日はこの町に泊まるのだと伝える。
「明日はモヤレ(ケニアとの国境の町)へ行く」と伝えると、「朝5時の出発で、予約は不要」と教えられた。
コンソの安宿|ファロ・ファミリーペンション
宿は、ファロ・ファミリーペンション(FARO Family Pention)。
料金は、なんと破格の150ブル(約495円)。
シャワーもなく、洗面所からも水は出ない。
トイレは、共同のボットントイレ。
だけどこの町には、こんな宿しかないみたいだ。
「コンソは、ケニアに抜ける為にただ寝るだけの場所と割り切りましょう」という記事を見ていたので、素直に受け入れる。
だけど、この部屋には蚊帳がある。
蚊帳のある宿に泊まるのは、初めてだ。
つまりさ…蚊がいるって事だよね。
マラリアの薬を服用していない私のマラリア対策は、「蚊に刺されないようにする!」という一点のみだというのに。
しかもこの蚊帳、所々穴が空いているよ。
怖や怖や。。。
まだ明るいので、町を少し歩いてみる。
うん。
10分ほどで、見終わってしまった。
夕食は、宿の隣のレストランに行ってみる。
真っ暗だけど、お客さんもいる。
メニューはある?と聞いたら、150ブル(約495円)だよと言われる。
う~ん。何が150ブルなんだろうか。
よくわからないけど、その150ブルのものを注文。
そうしたら、ミニ七輪の様なものに肉が乗って出て来た。
これは、美味しそうではないか!
インジェラも付いているけれど。
お肉はアツアツなのに、手で食べる。
うん、少し硬いけれど、美味しいよ。
ローカルを避けていた私の、エチオピア最後の食事は、かなりローカルなレストランになったのだけど。
エチオピア最後の夜、穏やかに終える事ができてよかった。
エチオピア旅行記・完
▼次回は、エチオピア旅行まとめ記事▼
【まとめ】12日間のエチオピア旅|費用・ルート・ダイジェスト
▼次のお話し▼
【陸路国境越え】エチオピアからケニアへ|モヤレ国境を越えて、深夜のナイロビへ