アスワン(エジプト)-Aswan-
朝の2時半ごろ。
ロビーの騒がしい声で目が覚める。
あれ?出発は4時と記憶していたけれど、もしかして3時だったか。
念の為、3時出発でも間に合うように準備をする。
3時ごろ、ロビーに様子を見に行ってみると、特に誰もいなかった。
あ、やっぱり出発は4時だったか。
▼前回のお話し▼
ルクソールから、エジプト旅行最後の町アスワンへ鉄道移動
アスワンからアブ・シンベル神殿へのツアー
今日は、日帰りのアブ・シンベル神殿ツアーに参加の日。
ツアーとは言っても、往復の送迎をしてくれるだけなのだけど。
申込は、宿泊中の宿「ヌル・ハン(Noor Han Hotel)」にて。
300ポンド(約2,100円)で、往復の移動のみ。(入場料などは、別途自己負担)
昨日までいた町ルクソールで出会った日本人の男性と一緒に参加予定。
4時頃にロビーに行くと、男性は既にタバコをふかしながら待っていた。
「おはようございます!」
彼は既に仕事をリタイアしていて、毎年少しずつ旅に出ているのだとか。
今年はアフリカで、去年は南米。
来年はシルクロードかな~と言っていた。
シルクロード…なんて素敵な響きなんでしょう。
彼は私よりも長く生きている分、とても落ち着いた視点で世界を見ているから、話をしていると学べることが多い。
あまり人と行動を共にしない私だけれど、今回のツアーのお誘いには、二つ返事でお受けさせて頂いた。
2時半に起きてしまったからね、バスの中では爆睡。
私たちのホテルが最初のピックアップだったけれど、各所で人々を拾っていき、気づけば車内は満席になっていた。
と言っても、12人程度のマイクロバスだけれど。
丁度、朝日が昇ろうとしている時に、バスは休憩所に入った。
砂漠の向こう側から登ってくる朝日が、とても綺麗だ。

陽が登り切った頃に振り替えると、休憩所にはたくさんのバスが停車していた。
みんな、アブ・シンベル神殿に行くのかしら。

私たちのバスは手前の大きなバスではなくて、奥の白い小さなバスね。
バスはまた、何もない真っすぐな大地を走る。

出発から4時間後の朝8時ごろ。
目的地に到着。
【世界遺産】アブ・シンベル神殿(大神殿と小神殿)
なんと、とても広大な、海の様な湖に囲まれた場所だった。
いや、海の様な湖ですらなくて、これは川なのだけど。
アスワンハイダムにせき止められてできた、海の様に広い湖の様なナイル川。
(でもガイドブックにはナセル湖って書いてあるな。やはり海の様な湖なのか?)
もう、神殿よりもこっちの方が気になって仕方がないのだけど。


彼が、「明日はあの向こう側に行くのですね」と言う。
そう、あの向こう側が、スーダンなのだ。

ガイドブックもない、私的には未知の国スーダン。
湖の様な川沿いを、アブ・シンベル神殿に向かって歩く。
外の壁に、立派なレリーフがあった。

こういうの、中にあるのはよく見るけど。
外にあるのって、珍しい。
そして、だんだん見えてきた。
アブ・シンベル神殿。

このアブ・シンベル神殿は、ユネスコの世界遺産ができるきっかけとなった遺産。
アスワンハイダム建設により、このアブ・シンベル神殿が沈没の危機にさらされて。
「大切な遺産を、世界の共有財産として守っていこう!」という事で、ユネスコが救出。
この大きな遺跡を、何ブロックかに分けて水没の危険がない場所へ移動させたのだ。
もの凄い、大工事だったんだろうな。
それから、「世界の共有財産として守っていくべきもの」が、世界遺産として登録されていくようになったのだ。
もちろん、一番しっかりしないといけないのは、遺産を所有する国。
管理を怠ったり、何らかの理由により危険にさらされた遺産は「危機遺産」として登録される。
(イエローカードみたいなものだ。)
それでも改善されなかったり悪化したりすると、世界遺産登録を抹消されてしまう。
(これはレッドカードだね。)
アブ・シンベル神殿に話を戻そうか。

この像は、4人ともラメセス2世。
アブ・シンベル神殿は、今から約3,300年前に、ラメセス2世により建築された神殿。
ルクソールのカナルック神殿やルクソール神殿もラメセス2世によるもので、こちらにもラメセス2世の像が多数設置されている。
彼の自己顕示欲の強さ…。
そして、莫大な富と権力を持っていたんだ。
入り口のレリーフ。
ロープで繋がっているし、奴隷だろうか。

この神殿を作るのに、一体何人の奴隷たちを使っていたんだろうね。
3,300年もの昔に、そういった貧富の差や主従関係の概念があった事が驚き。
このレリーフは、何を意味しているんだろう。

刻まれた古代文字が、何だか素敵だ。
中は、撮影禁止。(スマートフォンは可)
中には、いくつもの部屋があって、部屋の中もレリーフで埋め尽くされている。
今はライトアップされているから綺麗に見えるけどさ。
昔は、真っ暗闇だったはずで。
たいまつ等で、明かりを灯していたのだろうか。
想像してみたら、とても神秘的だ。
このアブ・シンベル神殿は、正確にはアブ・シンベル大神殿。
隣には、アブ・シンベル小神殿がある。

ラメセス2世の最愛の王妃、ネフェルタリの為の神殿。
奥さんのために、こんなに大きな神殿を造ったんだね。
こんなに莫大な富と権力を有するラメセス2世に愛された女性って、一体どんな人だったんだろう。
ラメセス2世に挟まれているのが、ネフェルタリ王妃かな。
2つの神殿は、すぐ近くに並んでいる。

所要時間は、2つ合わせて1時間半くらい。
ゆっくり湖を眺めながら、バスに戻る。

見学時間として与えられたのが2時間だったのだけど、約束の時間に戻って来た人は半分くらいだった。
日本人って、とても真面目だね。
また、4時間ほどの道のりを経てアスワンに戻る。
今日は朝2時半に起こされてしまったし、とても眠い。
今すぐベッドにダイブしたい気持ちを抑えて、明日のスーダン行きのバスを予約しにバス会社へ向かう。
バス会社は、宿泊先のヌル・ハン(Noor Han Hotel)の斜め前。
なんと、今日より早い朝2時の集合で3時の出発との事だった。
えー、早すぎるー、起きれないー。
って文句言ったら、ホテル名と部屋番号を聞かれた。
もし集合できなかったら、迎えに来てくれるのかな?
さて、明日からはスーダン旅が始まる。
どんな旅路が、私を待っているのだろう。
エジプト旅行記・完
▼次回は、エジプト旅行まとめ記事▼
【まとめ】17日間のエジプト旅|費用・ルート・ダイジェスト
▼次のお話し▼
【陸路国境越え】エジプトからスーダンへ!いよいよ、本格的なアフリカ旅が始まる