ロブチェ(Lobuche)4910m
朝8:00
ディンボチェの町を出発。
もう少し早く出発したかったのだけど、一人旅に向けて荷物の見直しをしていたら遅くなってしまった。
この町に、「コンディショナー」と「さらさらパウダーシート」を置いて行く事にした。
そして、サブバッグの使用をやめてメインバッグに集約してみた。
ディンボチェ(4410m)→トゥクラ(4620m)
ディンボチェの背後の丘を登り切ると、山の奥へ続く道と、荒涼とした大地へ下ってゆく道に分かれる。
ロブチェへの道は、どうやら後者だという事がわかった。
うん、こっちの方が魅力を感じていたのでよかった。
荷物は、、、やはり重い。
ここまで、荷物は軽かったのに心はとても重たかった。
毎日毎日、ネガティブな事ばかり考えていた。
耐え切れずに、部屋で一人泣いてしまった夜もあった。
こんなに美しい景色に囲まれて私は、己の「醜さ」「愚かさ」「弱さ」を感じるばかりで。
一方、身体の負担はほぼ感じない快適トレッキングだった。
だからこのトレッキングを終えても、
「あ~楽しかった」「景色が綺麗だったな~」程度の感想しか抱かないんじゃないかという不安もあった。
だけど、ようやく強い自分を取り戻すことができた気がする。
荷物は重いけれど、一歩一歩を力強く歩く。
しっかりと前を見据えて歩く。
本来、私の「精神力」は強いんだ。
「心」は軟弱なんだけど。
なんでだろう。一人になった瞬間に急に戻ってきた私の「精神力」。
そしてこのトレッキングを乗り越えて、もっともっと強い人間になりたい。
だだっ広い大地を、どこまでも歩く。
牛(とヤクのミックス)たちが、わずかな草を求めてのそのそと歩いている。
霜の間を、ちょろちょろと水が流れている。
壮大な大地を歩いていると、なんだか泣きそうになる。
もちろん悲しくてではなくて…武者震いみたいなものかな。(違うか)
この大地を歩き切った先に、「トゥクラ」の町が見えてきた。
どうやらあの川(?)を渡るらしい。
ペースは遅いかもしれないけれど、初日は山中を一人彷徨っていた事を思えば、なんと順調な事か。
トゥクラでランチなんてしなければ…
歩き始めて3時間後の11:00、トゥクラに到着。
のんきにランチ休憩なんかしてみたり。
ランチ休憩中、欧米人の団体(15人くらい)に囲まれる。
そこで私は不安になった。
こんな団体が、他にいくつもあるんだ。
ロブチェに宿は7件しかないみたいだけど、大丈夫かな。
注文をしてから1時間経っても出てこないから、催促してみた。
そうしたら、「あと5分でできる」と。
宿を出るのも遅れたし、のんきにランチ休憩なんてするんじゃなかった…。
「ごめんね、あと2分でできるよ」と、ネパール人が隣に座って話しかけてきた。
「ロブチェの宿を予約していないんだけど、大丈夫かな」と相談してみたら、「大丈夫!」と。
本当かな~。。。
私は、これの為に1時間も待ったのか…笑
会計をしてくれた女性は、日本語が堪能だった。
だからまた聞いてみた。「ロブチェの宿を~(以下同文)」。
そうしたら、「〇〇って宿に行けば泊まれるわ!彼と一緒に行きなさい!」と男を紹介される。
彼の名前はロビン。
ここでランチ休憩取ってよかった!(←さっきと言ってる事違う…)
だけど私は超スローペース。
その事を伝えるも、心配しないでと言ってくれるのだけど。
いやいや、気にするよね。
トゥクラ(4620m)→ロブチェ(4910m)
ここトゥクラからは急な登りになる。
最初はロビンに迷惑をかけまいと頑張ってみたのだけど、激しい動悸を感じたのでやめた。
申し訳ないけれど、マイペースに歩かせてもらう。
ロビンは、私のペースに合わせて寄り添う事はせず、少し先まで行って休憩しながら待っていてくれる。
その距離感がとても心地よい。
そして、「大丈夫大丈夫、ゆっくりでいいよ」と励ましてくれる。
丘を登り切ると、たくさんのチョルテンが立ち並んでいる。
全て、エベレスト登山中に亡くなったシェルパのお墓だそうだ。
シェルパはポーターやガイドとして雇われる事が多い分、危険も多い。
この丘の先は、歩きやすい緩やかな道。
「異星感」が強い。
まるで別の惑星に迷い込んでしまったかのような。
宿を出て7時間15分後の15:15、ロブチェの町に到着。
ここまで、重い荷物を背負って一人で来れた。
うん。やればできる。
しばらくロビンを探してみるんだけど、見当たらない。
どうしようかな。
迷ったけど、この場は「ロビンへの情」を通すより「自分の身の安全の確保」の方が優先だ。
ごめんねロビン…と思いながら、1件目の宿に当たるも満室。
2件目も…満室。
2件目に断られた直後、ロビンが現れた。
「ok?」と聞かれたから「ダメだったよ~」と答える。
すると、「問題ないよ!彼女とルームシェアすればいいよ」とドイツ人女性を紹介される。どうやらロビンは彼女のガイドだったみたい。
凄く申し訳ないけど…ありがたいっ!
ロビンがいなければ、危うく野宿になるところだったかも。
彼女は、せっかく自分のプライベートルームを確保できていたにも関わらず、私を快く受け入れてくれた。
ここロブチェの標高は4910m。とにかく寒すぎる。
特に何をするでもなく、暖かいダイニングで過ごす。
食事時、隣のテーブルの人がステーキの様なものを食べていた。
ネパールで食べた肉といえば、料理に少し混ざっている鶏肉と水牛だけ。
いいな~。肉…。
あ~、日本生まれのとびきり美味しい牛さんが食べたいな。
一方、目の前のカナダ人親子はチョウメン(ネパール版の焼きそば)を食べていた。
パスタを食べるときの様に、スプーンとフォークを使ってクルクル巻いて食べていた。
何だかおかしいな。笑
日本で焼きそばを頼んで、箸しか出てこなかったらどうするんだろう。
ダイニングは、トレッカーたちで賑わっている。
そこで突如、男性がギターを弾きながら唄い出す。
ギター1本で音楽会が開催された。
もちろん彼はプロではなくて、トレッカーの一人。
ギター担いで登ってきたのかな…。
歌声よりそっちの方が気になるよ。
寒い寒いロブチェの夜。
フリースにダウンジャケットを着込んで、寝袋の上にさらに毛布を掛けて就寝。
ディンボチェ(Dingboche)4410m
↓(3時間)
トゥクラ(Thukla)4620m
↓(3時間)
ロブチェ(Lobuche)4910m