ー世界はきっと、美しいー
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ヒマラヤトレッキング12日目|行きずりの男に見捨てられ、再び一人旅になった日(ディンボチェ)

2017/10/15

ディンボチェ(Dingboche)4410m

昨夜ディネスが体調不良を訴え、今朝早くに去っていった。

頭が痛いので、途中の町まで下って医者にかかり、可能なところから弟のバイクで帰宅するとの事だ。

まさか、高地では軟弱な私より先に、現地の男がダウンするとはね。

ディネスの住まいは標高2000m程の地点だから、私より強いはずなんだけど。

ディネスは、よく喋る。
すれ違う人全員に話しかけ、方向が一緒なネパール人に会えばずっと喋り続けている。

相手がネパール人であっても、ディネスが8割は喋っている。
離れていても聞こえるくらいの大声で。

そりゃあ、酸素不足にもなりますよ。

一方、私はディネスがあまり好きではなかった。
その思いは日に日に増し、近くにいると強い不快感を抱くほどになっていた。

人として最低限の愛想は保っていたつもりだけれど、その思いが伝わっていたのかもしれない。
だから、私の中では「ディネス仮病説」も疑っている。

どちらにしても、ディネスは私の元を去っていった。

行きずりの男に9日間で逃げられる私って、一体…。

「10:00頃には代理のポーターがくるよ」と言うので10:30頃まで待ってみたけれど、それらしき人物はこない。

明日から一人で行動することも考えて、久々にバックパックを背負ってみる。

!!!!!

あまりの軽さに衝撃を受ける。
まるで、荷物の大部分を紛失してしまったかの様だ。

原因をいくつか考えてみる。

  • 高地に来たため身に着ける衣服の量が増えた。(荷物の衣服が減った)
  • 消耗品が若干減った。
  • トレッキング中に、私が強くなった。
  • 着込んでいる衣服がクッションになり、腰や肩のベルトの負担が吸収されている。

どれもイマイチな理論なんだけど、色々な原因が複合的に重なっているのかもしれない。

もしくは、歩き始めたらやっぱり辛いのかもしれない。

だけど、これなら一人で行けそう。
(あとは道に迷わなければ…)

こんなに軽い荷物なら、代理のポーターなんてむしろ来ないで欲しいな…。

もともと、私のこの旅は一人旅。
荷物と道の問題さえなければ、本当は一人で気ままに歩きたいんだ。

明日の目的地は「ロブチェ」。

ロブチェへ向かう坂道を、丘の上まで登ってみる。

丘の先には、昨日雲で見えなかった世界が露わになっていた。

こっちがロブチェなのかな…トレッカーたくさん歩いているし。

丘を越えて、荒涼とした世界へ続く道もある。

こっちかな…地図の方角的にはこっちな気がする。

まぁ、また人に尋ねながら歩いて行こう。
あの時とは違って、ルクラ以降はたくさんの人や町があるのだから。

ディンボチェは本当に小さい町で、街歩きにも飽きてしまった。

宿に戻って、500ルピー(500円)もする高級チップスターを食べながら漫画を読むことにした。

凍りの掌 シベリア抑留期おざわゆき著

来年2月に行く予定だった「シベリア旅行」の為に購入していた電子コミック。

著者の父親の実体験を元に書かれたノンフィクション物語。

寒い寒いヒマラヤの山の中で読むと、暖かい夏の日の大阪で読んだときとは違った印象を受ける。

だけど、夏服で過ごすシベリアの冬に比べたら、私が感じている寒さなどむしろ暑いくらいだろう。

明日以降、例え私の身に何が起きようとも、彼等の明日をも知れぬ絶望と苦しみに比べたら、全く大したことはないのだ。

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