ケープタウン -Cape Town-
怒涛の移動の日々と観光に一区切りが付き、南アフリカのケープタウンにある「グリーンポント」というエリアで、数日間ダラダラと過ごす事になった。
というのも、ここケープタウンを目指して旅を続けて来た私。
次の1歩をどちらの方向に進めようか…決めかねていたのである。
▼前回のお話し▼
奇妙な3人旅の終わり|別れは全てを許してくれるのだろうか
ダウンタウンの宿を追い出され…グリーンポイントでプチ沈没
ダウンタウンの宿ロング・ストリート・バックパッカーズ(Long Street Backpackers)に宿泊して4泊目の朝。
ザンビアのリビングストンから、ボツワナ~ナミビアを越えてここまで共に旅をしてきたロシア人のおじさんアンドレィが、カウチサーフィンのホストの家へと旅立っていった。
カウチサーフィン
旅先で地元の人の家に泊めてもらいたい旅人と、自分の家に旅人を迎えたい地元民とを繋ぐマッチングサービス。
「異文化交流」が目的のため、金銭のやりとりは禁止。
無料で泊めてもらう代わりに、お土産を渡したり料理を振舞ったりする(…場合もある)。
そして残された私とワタルさん。
昨夜は酔っ払っていて、うっかり延泊の手続きをするのを忘れてしまっていて。
「今夜は満室なので出ていって欲しい」と言われてしまう。
…という事で、気分を変えてグリーンポイントというエリアに宿を取る。
グリーンポイントは、ウォーターフロントの近くにあるエリアで、こちらもダウンタウンと比べて比較的治安のよいエリア。
引っ越し先は、DSバックパッカーズ(DS Backpackers)。
ドミトリー1泊あたり137ポンド(約1027円)。
この宿には5泊したのだけど、常に他の日本人の旅人と同室だった。
やはり安い宿には、旅人が集まりやすいのだね。
ウォーターフロントが近いので、何度かお散歩へ出かける。
ウォーターフロントは、お洒落で治安のよい港町。
外でご飯を食べていたら、海鳥が近寄ってくる。
可愛いな~♡…なんて、思ってはいけない。
こ奴ら…私の食べ物を狙って複数で攻撃をしかけてくるからね。
かなり強引な奴らなのだ。
ツー・オーシャンズ水族館
ウォーターフロントには、港町らしく水族館もある。
ここツー・オーシャンズ水族館(The Two Oceans Aquarium)には、太平洋とインド洋を中心とした、3,000匹以上の海洋生物がいる。
日本の水族館とは、展示されている魚の種類が違うんだよね、きっと。
入場料は、185ポンド(約1,387円)。
カクレクマノミのを飼育する水槽の真ん中には、頭を入れる事ができる。
これは子供たちに大人気!
そして、子供たちの姿を撮影する親たちも楽しそうだ。
私が最も好きな海の生物「クラゲ」の部屋もある。
クラゲがいる空間にいるだけで、とても癒される。
不思議な電光色のクラゲもいる。
このクラゲの部屋へは、館内を1周した後に、改めてもう1度来てしまったよ。。
ペンギンの部屋には、ボルダーズ・ビーチで散々見たアフリカン・ペンギンの他に、定番の王様ペンギンやイワトビ・ペンギンなんかもいる。
大きい水槽で泳ぐ様々な種類の魚たち。
滞在時間は、2時間くらいだったかな。
短い時間だけど、楽しめた。
男女でアフリカを旅するバックパッカーたち
何故かここケープタウンへ来てから、日本人旅人と接する機会が増えた。
そしてここに、男女でアフリカを旅するバックパッカー3組が集う。
一緒にドイカー島(オットセイの島)に行って以来、度々顔を合わせているミホさん。
彼女は、エジプトからここまで、日本人の大学生の男の子と一緒に旅をしてきたんだって。
その相棒は、既に南米へ旅立って行ったとの事。(私は面識なし)
このDSバックパッカーズで出会った、トシさんとアイリちゃん。
数年に及ぶ長期旅の途中にあるトシさんの旅に、タンザニアからアイリちゃんが合流。
優しく穏やかなトシさんと、いつも元気いっぱいなアイリちゃんとの絶妙なバランス感が素敵。
そして、私とワタルさん。
数日前までは3人旅だったのだけど、これから少しの間だけ2人旅。
3組とも、恋人同士ではない。
恋人ではない男女が一緒に旅をするなんて…日本で普通に暮らしていれば全く理解不能な感覚。
ときには2人で1部屋という事も当然ある。(私たちはまだ未経験だけど)
だけど、全くいやらしく感じないんだよね。
不思議。
途中で出会って、少しの間だけ一緒に旅をする…ワタルさん曰く、男同士や男女ペアは、よくみかけるらしい。
だけど、女同士ってほぼいないんだって。
最初から友達同士で来ている女性はいても、途中で意気投合して一緒に旅をする女性同士はほぼいない。
まぁ、そうなる気持ちは何となくわかる気がするけど。
この先のルート|つぎの1歩を決める
コロナの影響が、まだ日本・中国が中心で、他のアジア諸国でも徐々に影響が出てきているな…という微妙な時期に考えたルート。
日本では、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客が下船を開始した時期。
元々は、アフリカ大陸縦断が終わったら、「西アフリカ」または「南米」に飛ぶ予定だった。
だけど、旅の途中で考えを変更。
アフリカ旅が終わったら、日本に一時帰国をする…それもできるだけ早めに、と。
だから、本来行く予定だった国々をカットして、2ヵ月と10日というスピード感でここまで来たのだ。
だけど、コロナ禍真っ只中な日本。
いまその日本に自ら飛び込むのは、少し躊躇われる。
クルーズ船の件も、どう転ぶかわからないし…。
とりあえず、様子を見たい。
その後、世界中がコロナ禍で大パニックになるわけだけれど…そんな事は知る由もない。
私は、レソトに行ってから帰国したい。
だけど、人と一緒にいる事に慣れ過ぎて、1人旅に戻る気持ちにはなれそうにない。
それに、レソトに行ってから帰国となると…超凶悪都市のヨハネスブルグを経由しての帰国となる。
(レソトからケープタウンに再び戻るという選択肢もあるけど、かなり大回りになってしまい面倒くさ…効率が悪い)
ヨハネスブルグは、同じく凶悪都市と言われているナイロビ(ケニア)やダルエスサラーム(タンザニア)なんかとは比べ物にならないほど治安が悪いらしい。
1歩でも外を歩くのは危険。
例えバスの乗り換えだけの、ほんの一瞬だとしても。
だから、1人でレソトに行くくらいなら…このまま帰国しよう。
…という事で、一緒にレソトに行きませんかと、ワタルさんを勧誘。
ワタルさんは、レソトに行く予定はなかった。
というよりも、「レソト」という国の存在を、私から聞かされるまで知らなかったのだ。
ちなみにレソトは、南アフリカ共和国の中にある小国。
毎日毎日、レソトの魅力について語りかける。
わたし:アフリカで一番!とも思えるくらいの、素晴らしい絶景なんですよ。
わたる:絶景と言われても…イメージ付かないよ。
わたし:この写真を見て下さい!
わたる:あぁ、こういう風景はキルギス(中央アジア)で見たからお腹いっぱい。
わたし:「アフリカのスイス」との異名をもつ、美しい高山の国なんです!
わたる:スイス行った事あるし。
…。
な、、なんて手ごわいんだ。
もういい。(拗ね)
そんなワタルさんが、ある日ぼそりと呟く。
「ホーリー祭、チセちゃんも来れば?」
なんと…!
ホーリー祭は、インドで年に一回行われているヒンドゥー教徒の祭り。
トウモロコシを原料にして作られたカラフルな粉をお互いにぶつけまくるという、クレイジーな祭りだ。
この日はカーストに関係なく粉をかけていいので、下位カーストの人が上位カーストの人に鬱憤を晴らすチャンス!…という面もあり、かなり荒れるらしい。。
カースト制度
ヒンドゥー教徒の、厳しい身分制度。
その身分は親から子へと受け継がれ、決して覆る事がない。
職業すらもカーストによって決められており、例えばトイレ掃除の身分に生まれたら、一生トイレ掃除。
現在はカースト制度は廃止されているけれど、身分差別の意識は実質的にはまだ残っている。
ワタルさんがホーリー祭に行く予定なのは知っていたけれど、私も行こうなどとは1ミリも思っていなかった。
だけど誘われてしまって…新たな選択肢の浮上に、かなり揺れる。
インドは大好きだし、ホーリー祭にもかなり興味がある。
だけど、私は早く帰国したいのだ!
あぁ、だけど今はコロナが…。
えー、どうしよう。。
一緒にインドへ行くなら、レソトにも付き合ってくれるという。
あぁ、レソトも行きたい。
かなり行きたい。。
超凶悪都市ヨハネスブルグも、相棒がいるなら行ってみたい…。(怖いもの見たさ)
数日間悩んで、私はインド立ち寄りの後に日本に帰る事にした。
コロナの様子も見たいし。
うん、行こう!インドへ!
私は再び、インドに呼ばれたのだ!
…この後コロナウイルスは着々と世界に広がっていき、私の旅は予想外の顛末を迎える事となるのだけど、この時の私はまだ何も知らないのである。
▼次回のお話し▼
ケープタウンのローカル列車の危険性|アフリカ旅で、最も衝撃的な気分の日