ケープタウン -Cape Town-
昨日、アフリカ大陸・陸路縦断の旅を「喜望峰」にて完遂した私。
縦断旅のゴールは果たしたけれど、アフリカ旅はもう少しだけ続く。
もう少しだけね。
▼前回のお話し▼
ケープ半島をレンタカーでドライブ!ついに最終目的地「喜望峰」に到達
ケープタウンのダウンタウンで路上駐車
昨夜、ダウンタウンにある宿の近くに路上駐車をした私たち。
路肩には多くの車が駐車されていて、「この中から私たちの車が強盗に選ばれる確率」で考えれば、そんなに恐れる事もないだろうと、賭けに出てみたのだ。
朝、ワタルさんとコウジさんと3人で、ドキドキしながら確認をしに行く。
…あった!
よかった、強盗には襲われなかった様だ。
ダウンタウンは、治安が悪いエリア。
だけど繁華街になっているので、夜でも人目がある。
それに、何人もの警備員が巡回をしながら、一晩中守ってくれている。
「そこまでするほど治安が悪い」とも言えるし、「そこまでしてもらっているから安全」とも言える。
とにかく、私たちの車は無事だった。
警備員に、駐車料金を求められる。
昨夜停めた時は不要と言われた気がするんだけどな…。
まぁ、数十ポンド(数百円)の事だ。(正しい金額は失念…)
無事に車を回収して、レンタカー会社に返却して事なきを得る。
ケープタウンのインド料理屋
ダウンタウンで、インド料理屋を発見。
お昼は、ここにしよう。
ダウンタウンには、何故かインド人が働いているお店がチラホラあるのだ。
私がインドに行ったのは3年前だから、とても懐かしい。
ワタルさんはアフリカの前はインドにいたから、特に懐かしくはないみたいだけど。
しかも、インドでバックパックを丸ごと盗まれたんだって。(ぷぷぷ…♪)
マハラジャ・タリとチキン・ビリヤニの2品を、3人でシェア。
合計155ポンド(約1,162円)なので、1人約51ポンド(約382円)。
久々のインド料理…美味しい!
量が多すぎて大変だったけど。
2人で1品くらいが、丁度いいかも。
ケープタウンの町を散策
お昼ご飯のあと、3日間一緒に観光を楽しんだコウジさんが去った。
この3日間、短期旅行者並みに詰め込んで観光をしてきたから、とても充実していた。
というのも、コウジさんは南アフリカでの観光日を3日しか設けておらず、この後はブラジルへ飛び立つのだ。
ブラジルで、リオのカーニバルを見るんだって!
いいな~♪
コウジさんがいなければ、「ライオンズヘッド」には登れなかったと思う。(1人では危険だから)
コウジさんがいなければ、「喜望峰」へは1人寂しくツアーで行っていたと思う。(公共交通機関がないから)
コウジさんのおかげで、楽しく過ごす事ができた。
本当に、ありがとうございました…!
コウジさんを見送って、ワタルさんと2人でケープタウンを散策。
ワタルさんは、観光スポットにガツガツ行くよりも、のんびり町を見て回る事を好む。
1つの町に長く滞在する、沈没型の旅人。
(私とは真逆…。)
私が大嫌い(←初めての大文字)なエチオピアでは、レゲェ発祥の町でホームステイをしていたり。
何それ、面白そう。
その時に出会いたかったよ。
という事で、ぶらぶらと路上マーケットを見て回ってみたり。
途中で教会を見つけたので、入ってみる。
内部に施されたステンドグラスが、とても綺麗だ。
歩いているうちに、ウォーターフロントに着く。
ウォーターフロントって、ダウンタウンから歩いて行けるんだね。
河口の川には、アザラシ(?)もいるみたい。
帰りはウーバーでバビューンと帰ってしまいたい衝動を抑え、バックパッカーらしく歩いて帰る。
アンドレィご立腹、そして最後の晩餐
夕食の買い物をして宿に戻ると、「どこに行っていたんだ!?」と、アンドレィが凄い剣幕でワタルさんに詰め寄る。
車を返すだけの予定で出たから…特に誘ってなかったんだよね。
今日はワタルさんと行動できずに、相当寂しかった様子。
常々思っていたけれど、アンドレィはワタルさんの彼女みたい。(おじさんだけど)
「夕食はサーモンロールにしようよ!材料を買って来たよ!」と、まるで恋人のご機嫌取りをするかの様にアンドレィを誘うワタルさん。
ラブラブだ。
今日は、ケバブなどを包む皮で、サーモンと野菜を巻いて食べる予定。
僅か300円ほどの値段で、サーモンロールを6個も作れる。
ケープタウンのスーパーでは、美味しいサーモンが格安で手に入るのだ。
(写真は、後日作ったサーモン丼)
アンドレィは、「本当に食べても大丈夫なのか!?」と不安気。
ロシア人は、生の魚を食べないのかな。
それは不安だよね。
最終的には、「ワタルが食べるなら、私も食べよう。死ぬときは一緒だ!」と。
命を預けるくらい、ワタルさんを慕っているんだね。
夕食時。
いま振り返っても、南アフリカで食べた中で一番美味しかったと思う料理「サーモンロール」を食べる。
私が美味しく食べて、2コ目に突入しようとしている頃、ワタルさんとアンドレィは料理にほとんど手を付けていなかった。
というのも、アンドレィは今夜でお別れになるというのだ。
エクスペンシブ(値段が高い)が口癖のアンドレィ。
本来は、カウチサーフィンを利用して旅をしている旅人。
明日からは、カウチサーフィンのホストの家で過ごすのだという。
ここまで、高い旅費に文句を言いながら一緒にいたアンドレィ。
本来の旅スタイルに戻るみたいだ。
カウチサーフィン
旅先で地元の人の家に泊めてもらいたい旅人と、自分の家に旅人を迎えたい地元民とを繋ぐマッチングサービス。
「異文化交流」が目的のため、金銭のやりとりは禁止。
無料で泊めてもらう代わりに、お土産を渡したり料理を振舞ったりする(…場合もある)。
という事で、ワタルさんの手を握りながら、これまでの「感謝」の気持ちを熱く語り続けるアンドレィ。
…と、サーモンロールを美味しく頂きながら、それを眺めるわたし。
アンドレィは、来年は南米に行く予定。
一緒に行こう!と、ワタルさんを誘う。
なぜなら…。
ワタルさんと旅ができて、とても楽しかったから。
また一緒に旅がしたいんだ!
…ではないみたい。。
一緒に旅をしたら、宿代や食費などが安く済むじゃないか!
それに、英語が話せる人と一緒だと、旅がスムーズだ!
…って。
凄いよ。
そんな事は、例え心の中で(少し)思ったとしても、決して口にはしないものだよ。
ワタルさんの事は、「割り勘要員&英語の通訳」としか思っていなかったのだと、悪びれもなく熱弁している事になるよ。
いつもなら、「なんて失礼な事を言うんだ」と、私はまたイライラしていただろう。
だけど今夜は、彼と過ごす最後の夜。
なんだか、最後だから許せる。
いや、むしろここまで突き抜けている彼は、もしかしたら面白すぎる人材なのではないだろうか。
「芸人の常識外れの行動を撮ったVTRを、スタジオで笑いながら観察するMC陣」みたいな気持ちで一緒にいれば、イライラするどころか、とても楽しめたのではないだろうか。(←それでは逆に私が失礼になるのだけど)
兎にも角にも、彼との別れが決まった途端、私の彼へのマイナスな意識は、どうやら帳消しになったみたいだ。
常識外れのロシア人のおじさんアンドレィ。
クールだけどのんびり屋の、しっかりしている様で実はトラブルも多いワタルさん。
本来は他人とつるまない、一匹オオカミを気取ったコミュ障な女わたし。
そんな奇妙な3人旅。
ザンビアのリビングストンで出会って、ボツワナ~ナミビアを共に旅してここまで来た。
およそ2週間の旅路。
当時はイライラしっぱなしだったけれど、振り返れば楽しかったじゃないか。
「別れ」は、全てを許してくれるのだろうか。
対立からの共闘、そして和解|少年漫画的王道パターン
めちゃくちゃくだらない、誰の役にも立たないお話しですので、ぜひ読み飛ばしてください(←普段は役に立っているのか?…否)
対立からの共闘、そして和解。
それは、少年漫画で人気がでるストーリーの王道パターンらしい。(ワタルさん談)
今夜私は、それを体現する。
今振り返れば、酔った勢いとはいえ、あんな事はしてはいけなかった。
あの時の私は、どうかしていたのだ。
ブログに書くなんてもってのほか…隠ぺいしてしまおうか。(批判とか怖いし)
…とも思ったけれど、たった1度の過ち。
大反省しているので、どうか許してください。
私が女一人旅を安全に過ごすための〇箇条(←数えた事ない)の1つとして、「旅先では決してお酒を飲まない」というのがある。
それを守って、エジプトからここまでの約2ヵ月と10日間、お酒は1滴も飲まなかった。
どんなに誘われようが、どんなに安全な空間と判断できようが…決して。
だけど昨日、「喜望峰到達」を以て「アフリカ大陸縦断旅完遂」と判断した私。
旅の途中でトラブルに遭って中断ともなれば、大きな無念が残るだろう。
だけど、今はもう、思い残す事は何もない。
例えこの先トラブルに遭ったとしても、私はもう「成仏」できるのだ。(←大袈裟)
そもそも、私は今「女一人旅」ではない。(←ただの屁理屈)
…という事で、頑なに禁じていた「飲酒」を解禁したのだ。
今までお酒を飲む姿を1度も見せなかった私がワインを飲む姿を見て、アンドレィは「チセはワインが好きなのだ!」と思ったらしい。
これで追加のワインを買ってきなさい!
…と、気前よく200ポンド札を差し出して来た。
えー???
一体何が起こったのか???
アンドレィが…惜しげもなく200ポンド札を出して来た…。
さすがに200ポンドは多すぎるので、ワタルさんが100ポンド札を返す。
100ポンド札は、だいたい800円ほどの価値。
それを持って、ワタルさんが私をゲストハウスのバーへと連れていく。
でもさ、散々冷たく接してきたのに、こんなの受け取るのは理に反しているんじゃないかな。
ワタルさんは、そんな事は気にしなくていいんじゃない?と言うけれど。
それよりも。
「チセちゃん!これは、ただの800円じゃないんだよ!」
…と、普段はクールなワタルさんが珍しく熱弁。(←ただの酔っ払い)
「散々エクスペンシブと言い続けてきた倹約家のアンドレィが出した800円なんだ!」
「これは、もの凄く価値のある800円なんだよ!」
おぉ~、なるほど。
それはそれは、ありがたく頂戴しなければいけないね。
今までアンドレィへ冷たく接してきてしまった手前、若干の引け目を感じつつ、バーでワインを1本購入させて頂く。
そしてダイニングへ戻って、改めて乾杯。
…と、ここまでは平和な光景。
この宿は、夜12時が消灯時間になっている。
宿の共有スペースにいると、スタッフに追い出されるのだ。
う~ん、物足りない。
せっかくアンドレィともいい感じなんだしさ、もっと飲みたいよね。
「ワタルさん!外で飲み直しましょう!」
(ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。)
もちろん、ワタルさんは大反対。
だってここは、治安が悪いケープタウンのダウンタウンなんだよ。
シラフの私なら、絶対にしない発想。
(お酒って怖い。だから頑なに禁じていたのに。。)
酔っても冷静な判断力を失わないワタルさんは、断固拒否。
だけど、アンドレィは嬉しそうだ。
今まで対立していた私とアンドレィが共闘して、ワタルさんを誘いまくる。
実は元軍人だったアンドレィ。
自慢の腕力に任せて、無理やりワタルさんを引っ張る。
今までなら、絶対にイライラしていたであろうシチュエーションなのに。
あろうことか、アンドレィを応援する私。
もう、めちゃめちゃだ。
(本当にごめんなさい)
という事で、夜のダウンタウンの町に、繰り出す事になった。
それでも、一応慎重派のバックパッカーな私。(←どの口が言うか)
お酒を少し買えるだけの紙幣をポケットに直接入れて、部屋の鍵はブラジャーの中に突っ込む。
その他の貴重品は、全て宿のロッカーの中へ。(つまりは手ぶら状態)
夜のダウンタウン。
夜のお店が多数営業していて、賑やかだ。
だけど、少し酔いも冷めるほどの緊張感。
やっぱり…怖いよ。
クラブミュージックの鳴り響くバーに入る。
そこでアンドレィが、またもやビールの大ジョッキ1杯と、ワインボトル1本を惜しげもなくご馳走してくれる。
アンドレィ…今日は一体どうしたの??
だけどね…飲み直そう!とは言ったものの、既に酔っ払っている私たち。
ソファーに座って一息ついた途端、私とワタルさんは、ほぼ同時に寝入ってしまった。(←なんて危険な事を!)
数十分後に目覚めた私は、ワタルさんを起こす。
「眠いから、もう帰りましょう」
店内を見渡すものの、アンドレィの姿がどこにもない。
え??どこに行ったの??
仕方がないので、2人で帰る事にした。
危険なダウンタウンの夜の町に、あの頼りないアンドレィを置いて行くなんて…。
宿に戻っても、アンドレィはいなかった。
私はベッドで眠りながら、たまに目が覚めたときにアンドレィのベッドを確認する。
彼は、まだ戻ってこない。
私は、アンドレィが心配でたまらなかった。
これは間違いなく、和解と言えるだろう。
対立からの共闘、そして和解。
翌朝目覚めると、アンドレィは問題なくベッドに横たわっていた。
ワタルさんが「一体どこに行っていたのか」と尋ねるも、答えはもらえなかった。
英語が通じなかったのか、意図的にはぐらかされたのか。。
あのダウンタウンの夜の町で、彼が一体どこで何をしていたのか。
それは、未だに謎である。
▼次回のお話し▼
ケープタウンでの取り留めのない日々|グリーンポイントでプチ沈没
3人旅が始まってからここまでの展開が面白すぎました!
短編読んでるみたいです笑
素敵な旅行記をありがとうございます。
ゆたか様
嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます!
あの3人旅は、私の人生の中で決して再びないであろう不思議な時間でした。笑