-Kassala to Qadarif-
カッサラへ来た目的は、「タカ山」を見に行く事。
タカ山は、スーダン人のハネムーン先として人気なのだとか。
タカ山の麓のカフェでは、カップルたちがコーヒーを飲んでいるんだって~。
微笑ましい。
▼前回のお話し▼
スーダンで1番うざい場所?のミナバリーバス乗り場から、カッサラへ
ハネムーナーに人気のスポット、タカ山へ
という事で、そんなタカ山へ行くべくミニバスターミナルへ。
地図アプリで見たら、宿の近くにそれらしき場所があったので行ってみる。
何人かに聞いてみたけれど、コミュニケーションがうまくいかない。
そうしたら、英語のわかる人が助けてくれた。
タカ山行きのバスはここからは出ていなくて、別のバスターミナルになるのだと教えてくれた。
地図アプリで「Halanga Bus Station」と表記のある場所だ。
行ってみると、先ほどのバスターミナルよりも何倍も広い場所だった。
う~ん、どのバスだろうか。
後ろには、うっすらとタカ山が。
だけど今日は、はっきり見えないな。
昨日は、とても綺麗に見えたのに。
何人もの人に訪ねる。
英語が通じなさすぎて翻弄される。
それでも、あちこちたらい回しにされながら、目的のバスに辿り着く。
運賃は、5ポンド(約7円)。
やっぱり、ローカルな乗り物は安い。
車窓から、タカ山が見えた。
タカ山の近くの通りを、しばらく走る。
どこで降りればいいんだろうか…とソワソワしつつも、降りずに待ってみる。
すると、バスは路地へ入って、一層タカ山に近づいてくる。
そして、乗務員の少年が「ここだよ♪」と教えてくれた。
よかった!
10分ほど歩いて、ゲートに着く。
可愛らしい、コーヒーポットのゲート。
だけど太陽が目の前にあるから、あまりよく見えないよ。
朝一で行くのは、時間的によくないね。
午後に行く方がいいかも。
ゲートの中は、とても可愛らしい空間が広がっていた。
可愛いお土産も売っている。
私がスーダン人で、そしてハネムーンでここへ来てたら…買ってしまうな。
なんだか、アミューズメントパークみたいな雰囲気だ。
だけどコーヒーを飲んでいるカップルなんて、どこにもいないよ。
まだ朝だからかな?
ちょっと登ってみる。
すると、5分ほどで、カッサラの町が一望できる場所に出た。
綺麗だ。
だけど、町の上の茶色い空気の層はなんだろうか。
大気汚染かな…それとも、砂埃かな。
さらに登ってみるか、迷う。
あの向こう側には、エリトリアがある。
北朝鮮並みの厳格な社会主義の国、エリトリア。
見てみたいな。
だけど、この岩山を遥々登って行くのはしんどい。
それに、今ここには誰もいない。
観光用に、整備されている道でもない。
危ないよね、やめておこうか。
危険な事はしないって、誓って出国したんだもの。
…なんて脳内会議をしながらも、気づけば登り始めていた。
日差しが暑い…しんどい。。
だけど、あそこの上に立てば、きっとエリトリアが見れるんだ!
どこぞのカップルもね、ここまで来たみたいだよ。
それも8/16だなんて、今よりもずっと暑いじゃないか。
何かが、チクッと足を刺した気がした。
見てみると、何やら赤いダニの様な容姿の虫が、ズボンに何匹か付いていた。
こ、これは!??
もしや、噂の南京虫ではないのか??
赤くて、ダニの様なルックスの虫…うん、きっと南京虫だよ!
南京虫は、別名ベッドバグとも呼ばれていて、旅人に最も恐れられている虫。
奴が歩いた皮膚の上は、点々と赤い斑点ができて、それが数週間もの間、猛烈な痒みをもたらすのだとか。
アフリカなどでの、不衛生な宿に生息しているという。
南京虫が出たと噂になれば、もうその宿には旅人は行かない。
そして、南京虫に刺された跡を持つ旅人が次の町で宿を訪ねると、宿泊を拒否される事もあるのだとか。
南京虫の出る宿に泊まった旅人の服や荷物には、既に南京虫が生息している可能性が高いから。
もうそうなったら、全ての荷物と服を熱湯消毒するしかない。
南京虫の被害を考えれば、ゴキブリなんて可愛いものだ。
そんな恐ろしい虫がいる山を、これ以上登り続けたくはない。
いや、南京虫を見たことがない私には、この虫がそうなのかはわからないけれど。
だって奴らは、不衛生な宿に生息しているんでしょう?
こんな山の中に、いるのかな。
だけど人はね、「知らないもの」が一番怖いんだ。
南京虫を知らない私は、この得体のしれない虫がとても怖い。
もうエリトリアとかどうでもいいから、早く下山しなくちゃ。
あぁ、あと少しの気配がするのにな。
下山を開始しようとしたら、1人のスーダン人が登ってくるのが見えた。
彼はアラビア語しか話さないため、以下、彼のセリフは全て想像。
彼「あそこをこう登って行ったら頂上だよ!」
私「ありがとう。でも、私は下山します。」
南京虫が怖いから…なんて確証のない事は言えず。
何故か途中で引き返すアジア人を不思議そうに見つめる彼。
すると、何故か彼も一緒に下りてくる。
もしかしたら、下から私が見えたから、追いかけてきてくれたのかな?
彼は私より少し先を歩き、そして私が追いつくのを待っていてくれる。
あぁ、サポートしてくれているんだ。
途中まで下りて、実は景色が綺麗だったことに気づく。
さきほど引き返した地点からだったら、もっと綺麗だったろうに。
残念だ。
何か、動物の唸り声が聞こえる!
彼「あそこを見てごらん!」
見ると、猿みたいな動物が岩の上にいた。
写真を撮ろうとしたら、いなくなってしまった。
そうしたら、「あそこにもいるよ!」と言って、口笛を吹いてくれる。
色々なところにいた。
よく見つけるものだ、さすが地元民。
無事に一番下まで下りて、彼と別れる。
チップ目当てなどではなく、純粋に、親切な人だった。
ゲートを出て振り返ると、朝よりは綺麗に見えた。
メイン道路にでる。
タカ山は、全貌が見えるスポットがあればいいのにな。
ここがスーダンでなければ、そういうスポットも整備されるんだろうけど。
彼等はそういうものを、特に「ビジネス」にはしない様だ。
なので、一部だけ拝む。
それにしても、暑いな。
帰りのミニバスは、通らないだろうか。
ミニバスが来たら乗り込もうと、しばらく山沿いを歩く。
すると、いつの間にかバスが来ていて、そして私の隣で止まってくれた。
ありがたい!
「スークに行く?」と尋ねると、「いくいく!乗って!」と。
既に乗客が3人ほど、扉のない入り口に掴まり立ちをしている状況なのだけど。
彼らが一旦外に出てくれて、そして私には中の補助席があてがわれる。
優しいなー。
さて、タカ山観光を午前中に終える事ができた。
エチオピア越境へ向けて、まずはガダーレフへ
次の目的地は、エチオピア。
本来であれば、今日はまたこの町に一泊して、明日1日かけてエチオピアのゴンダールを目指す。
だけど、乗り換え乗り換えで、とても疲れるし、とても遠い。
朝一で出ても、着くのは20時ごろだという。
そんな時間に着くのは嫌だ。
それに、エチオピアの国境からゴンダールへ向かうバスの最終は、16時だという。
それに間に合わなければ、国境の町に1泊する事になる。
国境の町は、スーダン側も、エチオピア側も、先ほど騒いでいた「南京虫」が出るような汚い宿しかないとの噂。
忘れていたけど、明日は大みそか。
忙しい旅路になるのも嫌だし、汚い宿で年を越すのも嫌。
という事で、今日のうちに少しでも進んでおこうと、スーダンのガダーレフという町に行く事にした。
ガダーレフまで行ってしまえば、あとは朝一で国境に向かって、そして陽の出ているうちにはエチオピアのゴンダールに着きそうだ。
宿を出て、長距離バス乗り場を目指す。
長距離バス乗り場は、ここから離れている。
ミニバスで行けるみたいなんだけど、大きな荷物を背負って、今朝みたいに翻弄されるのは辛い。
それに、サブバッグだけでも狭いと思うミニバスに、大きなバックパックを背負って乗るのは、他の乗客にも迷惑がかかる。
なので、素直にタクシーで向かうことにした。
タクシー3台を止めるものの、「ノーイングリッシュ」だった。
4代目のタクシーも「ノーイングリッシュ」だったけれど、話を聞いてくれそうだったので、地図を見せながら、身振り手振りを交えて説明をする。
なるべく、簡単な単語を使って。
「ガダーレフに行きたいです!その為に、バスに乗りたいです!バス乗り場に行きたいです!」
そうしたら、「ガダーレフ?」っと理解してくれて、乗せてくれた。
英語を話さない人に出会った時、その対応は二極化される。
1つは、「英語は話せません」と言われて取り合ってもらえないか。
もう1つは、話せないながらも、なんとかコミュニケーションを取ろうとしてくれるか。
あ、ここエジプトとスーダンにおいては、もう一つあった。
アラビア語で、突き通されるか。笑
まぁ、これは例外で、基本的には二極化。
外国では、わりと後者のパターンが多い印象だけど。
だけど、ここスーダンでは、感覚的には五分五分といった感じだ。
日本だったら、圧倒的に前者なんだけどね。
そしてこのタクシー運転手は、ありがたいことに後者のパターンだった。
タクシーは15分ほどで、バス乗り場に到着。
予想以上に、広いバス乗り場。
バス乗り場の入り口に、ポイっと降ろされて、そして自力でバスを探す。
…という図を想像していたのだけど、タクシーはバス乗り場の中にズンズンと入っていく。
そして、1台の大型バスの横で停まる。
「これが、ガダーレフ行きのバスだよ!」とアラビア語で言われる。
そして私よりも先にタクシーを降りて、すぐ横のカウンターで「彼女はガダーレフに行きたいんだよ」みたいな事を言ってくれる。(たぶん)
なんて優しいんだ!
とっさに「Thank you」と言ってしまって、ポカンとされたから、慌てて「シュクラン!(ありがとう)」と言い直す。
そうしたら、笑顔で「アフワン!(どういたしまして)」と。
素敵な体験を、ありがとう。
バスは、150ポンド(約198円)。
え、安くないか??笑
バックパックを預けると、「乗って乗って」と促される。
だけど私は今、コーラが飲みたいのだ。
この暑さ…ぬるい水では物足りない。
近くの売店でコーラを買って戻ると、バスは催促のクラクションを鳴らしながら、ゆっくりと走り出していた。
慌てて飛び乗る。
動いているバスに飛び乗ったのは、初めての経験だよ。
それにしても、バス乗り場に到着して5分ほどで出発だなんて。
いつも待たされているから、予想外。
これに乗れていなかったら、次は随分先になっていたのかもしれない。
ギリギリに乗ったこともあって、窓側の席は確保できなかったけど。
ガダーレフでの宿探し
バスは4時間ほどで、ガダーレフに着いた。
この町に泊まる人はほどんどいないから、宿の情報はゼロ。
バスを降りた場所から、明日のエチオピア行きのバスが出ている場所は、かなり離れている。
だから、明日のバスが出ているバス乗り場の近くの宿に泊まりたい。
トゥクトゥクにそれを伝えるも、彼はノーイングリッシュだった。
英語が話せる通りすがりの人が、通訳をしてくれた。
「明日、ガラバッド(国境の町)に行きたいので、今日はバス乗り場の近くに泊まりたいです!安くていいホテルを知っていますか?」
すると、「(運賃は)100ポンド(約132円)だよ、乗って!」と。
「安くて、いいホテルですか?」
「300~400ポンド(約396円~528円)だよ」
安っ!!
「そこは…汚くないですか??」
「大丈夫さ!」
とりあえずトゥクトゥクに乗るものの、不安になる。
そんなに安くなくていいから、清潔なホテルがいいな。
いつも600ポンド(約792円)の宿だったから、同じ程度のクオリティで同じ値段がいいのに。
そして、目的のバス乗り場までまだ半分しか来ていない地点で降ろされる。
安宿…ではなく、きちんとした「ホテル」だった。
ALMOTWAKIL HOTEL
え?ここは安くは見えないのだけど??
トゥクトゥクを降りると、「先に見てきなよ」という仕草をされたので、支払いはせずにホテルに入る。
広々としたロビーがあり、食事を取るスペースまでもある。
案の定、料金は1200ポンド(約1584円)もした。
ホットシャワーも、Wi-Fiもないという。
そして、立地的にも、私が望んでいる場所ではない。
せめてホットシャワーが浴びられるんだったらなー、奮発してもいいのに。
トゥクトゥクに戻って、「高かったよ、他のホテル知ってる?」と聞いてみる。
(彼は、簡単な単語なら理解できる)
いくらがいいのかと聞いてきたので、600ポンド(約792円)と答える。
次に案内された宿は、どうしても無理!というほどではないけれど、今までと比べれば随分見劣りする宿だった。
トイレも、穴が開いてあるだけのボットントイレだし。
それなのに、料金は600ポンドもするという。
多分トゥクトゥクの彼が、私の予算が600ポンドだという事を伝えたんだろうな。
このクウォリティで600ポンドは、あり得ない。
という事で、先ほどのホテルに戻ってもらう事にした。
高いけどさ…スーダン最終日だし、少額をケチって嫌な思いをするくらいなら、最後に快適な思いをして締めくくった方がいいよね。
ホテルは、もちろん日本と比べればかなりボロ…いや、老舗な宿なのだけど。
だけど、ここがスーダンであるという事を考えれば、とても快適ホテルだ。
水回りも綺麗だし。
ガダーレフで、スーダン最後の夕食
夕方、夕食を取ろうと外へ出る。
モスクが、綺麗に赤く染まっていた。
宿の近くは住宅街なのか、レストランどころか小さな売店もない。
もしかして、今日は夕食にありつけないのではないだろうか。
と思って歩いていたら、小さな売店を発見。
とりあえず、何かは食べられそうだ。
だけど、今日はスーダン最終日なのに、売店のお菓子で終わるのかな。
頑張って歩いてみたら、賑やかなエリアを発見。
絶対ある!何かある!
そして、お肉を美味しそうに炒めているお店を発見。
焼き場のお兄さんに、「チキンは好きかい?」と聞かれる。
「好きです!」と答えて、注文。
スプライトも買って、合計20ポンド(約26円)。
え、安すぎっ!
出てきた料理は、ふわっふわのパンに挟まれていた。
美味しい!
肉も美味しいけれど、パンも美味しい!
スーダン最終日、美味しいディナーが食べられてよかった。
焼き場のお兄さんに、「ありがとう、美味しかったです」と伝えて店を出る。
こういう事が、自然に言えるようになったんだな、私。
…と、しみじみ考えながら歩く。
美味しい料理を食べた時に、作ってくれた人にお礼を言う。
それをする様になったのは、このアフリカ旅からだ。
今までは、そんな事を言う私ではなかった。
これも多分、フィリピン留学で成長した事のひとつなんだろうな。
留学の成果は、もちろん「英語力の向上」だけではないのだ。
スーダン旅行記・完
▼次回は、スーダン旅行まとめ記事▼
【まとめ】7日間のスーダン旅|費用・ルート・ダイジェスト
【スーダン旅行の注意点&コツ】アメリカ入国制限・両替事情・外国人登録と宿泊登録
▼次のお話し▼
【陸路国境越え】スーダンからエチオピアへ|キリスト教徒の国に来た