バラナシ -Varanasi-
朝4時台、爆音と共に目が覚める。
どうやらガンガーでは、朝も儀式が行われているようだ。
夜に聞いたのと同じような音楽が鳴り響いている。
日の出は6時過ぎだから、5時頃に起きようと思っていたのにな。
聖なるガンガーの夜明け
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6時前にガートに行くと、早朝にも関わらず人々で賑わっていた。
舞台上では、一人のバラモンが儀式を行っている。
夜は5人だったのにね。なんだか寂しい。
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夜明けを待つガンガーのほとりは、夜とはまた違った雰囲気。
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沐浴をしながら、祈りを捧げている人もいる。
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いくつかの街頭が一気に消灯した。
これから「朝」が始まる合図かのように。
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夜明け前のガンガーも、神秘的で美しい。
それを人々が、静かに見守っている。
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そして、雲の上から太陽が顔を覗かせる。
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しかしその姿も永遠には続かないようで、しばらくしたら霞の中に隠れてしまった。
ぼんやりとした形の太陽も、これはこれで美しいのだけど。
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2日前はガンガーの上流を歩いたので、今日は下流へ向かって歩いてみる。
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メインのダシャーシュワメード・ガートを出発して間もなく、「マニカルニカ・ガート」に着く。
ここは「火葬場」として有名で、旅行者にも人気のスポットだ。
ガンガーにその遺灰が流されれば、輪廻からの解脱が得られる。
だからここで果てる事は、ヒンドゥー教徒の憧れだったりする。
私はネパールの火葬場「パシュパティナート」を訪れている。
そこで咽び泣く女性の姿を見て、あぁこれは葬式なんだと実感した。
観光気分で「見物」をする事に抵抗を感じるので、私はこの場所を素通りすることにした。
私のすぐ足元には、知らない誰かの亡骸が横たわっていた。
私はそれを踏まないように気を付けながら通り過ぎる。
めちゃくちゃ可愛い小型犬に出会う。
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あ、いっぱいいる。
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う~ん?なんか近づいてきたぞ?
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わぁー!
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か、、、可愛すぎる。
そして懐っこすぎる。
犬とじゃれ合っていたら、おじいさんが近づいてくる。
「写真代を寄越せ」などと言ってくる。
なんでだ。絶対あなた飼い主じゃないでしょ。
だって他の人にも、さっき同じこと言われたからね。
犬とは犬猿の仲な猿にも出会う。
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猿も朝靄のガンガーを眺める。
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ここが終点かな?
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よし、引き返そう。
今日も、ローカルなスナック屋さんに行ってみる。
初めて食べる謎の食べ物を、3つ注文。
一つ10ルピー(18円)で、3つで30ルピー(54円)の朝食。
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一番奥がジュレビ、左がサモサ、右がプーリー。
ジュレビは甘くてサクサク。これはお菓子だな。
私には少し甘すぎるのだけど、甘党な人には美味しいと思う。
サモサは、中にポテトが入っている。
私、サモサ好きだ。
プーリーは、いつか食べなかったっけかな?
忘れちゃった。美味しいのに。
恐怖の怒鳴り声
宿に戻って、しばし仮眠を取る。
今日は早朝から爆音に起こされたから、3~4時間ほどしか寝ていない。
すると、ドアをドンドンとノックされる。
でも今寝ているし…スルーしちゃえ。
…と思っていたら、ノックの音が激しくなる。
まるで闇金の取り立ての様に、ドンドンと激しく鳴らされる。
ドアをガチャガチャと引っ張られる。
そして、大声で怒鳴られる。
「ジャパニガール!!!!!」
「おい!!!!!!」
こ、、、、怖すぎるんですけど。
もう今更出ていけない私は、彼がいなくなるのをひたすら待つ。
待つのだけど、彼は一向に立ち去ってはくれない。
それどころか、時間が経てば経つほど激しくなる。
外鍵は南京錠だから、それが掛かっていないという事は内鍵をかけているという事。
だから、私が部屋にいるのは確実なのだ。
いい加減我慢ができなくなったので、私はドアを開けずに中から応答する。
「なにっ!?」
すると、私に来客が来ているからパスポートを持って出てこいと言う。
ごそごそと寝起きの状態を整え、貴重品を身に着けたりと準備をする。
その間にも、彼の催促は止まらない。
ドアを開けると、上半身裸の男が立っていた。
なんで早く出てこないのかと言われたから、私も怒り口調で言い返す。
「ドアをノックする音が大きすぎる!」
「声も大きすぎる!」
「もっとソフトにしてほしい!」
「私はあなたが怖くて出られなかった!」
「私は女性だよ!???」
すると、「今は夜じゃなくて昼だから大丈夫だよ~」とヘラヘラしている。
…そういう問題じゃない。
私への来客は、昨日行った通信会社「Airtel」の人だった。
昨日取ったビザのコピーがネパールビザだったから、インドビザを見せて欲しいと。
私も確認しなかったのは悪いけどさ…インド人なんだから、インドビザ見間違えないでよ。笑
だけどわざわざ来てくれるなんて、親切だ。
怒鳴られて気分が悪くなったので、お気に入りのラッシー屋さん「ブルーラッシーショップ」に行く。
今日のラッシーはパイナップルラッシー。80ルピー(144円)。
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チャイ屋さんは優しい
そして今日は、行き付けではないチャイ屋さんに行く。
いつも人だかりができているから、気になっていたのだ。
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正面は群衆が多すぎるから、横の隙間から顔を覗かせてみる。
チャイはグラスに入っていて、ものによって量がバラバラ。
適当過ぎる…だけど誰も文句を言わない。
私には、一番たくさん入っているグラスが渡される。
しかも、正面の群衆のほうが先に待っていたのに、優先してくれた。
そしてそれについても、誰も文句を言わない。
淹れたてでアツアツの美味しいチャイが、10ルピー(18円)。
ガートに行くと、今日も多くの人がプジャーの儀式に集まっていた。
毎日行われるものなのに、皆とても熱心だ。
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バラナシの夜の過ごし方
私はガート沿いにある台に腰かけて、1時間程ぼぉーっとガンガーを眺めるのがお気に入りの時間。
昼はボートの客引きが鬱陶しすぎるし、夜も歩いていれば同じこと。
闇に紛れてガンガーに同化しているのが、一番静かに過ごす方法。
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目論見通りボートの客引きはここまでは来ないのだけど、犬がやって来た。
私の近くで、まるまって寝始める。
可愛いなぁと思っていたら、徐々に距離を詰めてくる。
最終的には、私の腰にぴったりと体を押し付けてくつろぎ始める。
今朝もそうだったけど、ガートの犬は懐っこい犬民性なのかな?
一度いなくなったと思ったら、友達を連れて来た。
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あぁ、そこに足だけ見えるおじさんがね、パンを千切って与えだしたから。
だから友達を連れてきたんだね、優しいんだね。
おじさんは、犬ではなく魚に餌をやるのが目的。
少しづつ千切って、ガンガーに投げ入れる。
私にも少しわけてくれたから、同じようにガンガーに放る。
(後からお金を請求されることもなかった)
夕食は、今朝も行ったスナック屋さん。
今朝も食べたサモサ(左)と、クヮッツワリ(右)。
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「クヮッツワリ」と言っている様に聞こえるし、「クヮッツワリ?」と反復すれば「そうだ」と言う。
だから合っているとは思うけど、カタカナ表記がこれで正しいのかはわからない。
あぁ、カタカナ英語はこうして作られてきたのかと、開国後の武士たちの気持ちになってみたり。
「クヮッツワリ」は、中は空洞になっている。
内側の表面に、茶色い少しスパイシーな物体がへばり付いている。
2つで30ルピー(54円)。
あぁ、しかし脂っこいものばかり食べている。
美味しいローカルインド料理なんかが食べたいのだけど、まだお気に入りのお店は軽食屋さんしかない。