ー世界はきっと、美しいー
インド -India-

辿り着いたブージは汚い街並み、私この町好きだ

【インド周遊記】2018/01/02

ジャイサルメールブージ
-Jaisalmer to Bhuj-

突然、激しく扉をノックされて飛び起きる。

何やら叫んでいる。
どうやら着いたらしいという事がわかる。

時計を見ると、早朝4時。
ちょっと…予定より1時間も早いんですけど。
こんな時間に降ろされたって、路頭に迷ってしまうよ。

急いで荷物をまとめてバスを降りる。

バスの下のスペースにバックパックがあるから出してほしいと訴える。
だけど何故か聞き入れてくれない。
現地語で何かを言い返される。

英語のわかる人が、通訳をしてくれた。

「ブージに行きたいんでしょ?まだ50kmも先だよ」

えーーーー!

「じゃあ何で彼はノックしてきたの!?」

はははと笑って、場を収められる。

いや、別にいいのだけどね。
むしろこんな時間に到着じゃなくてよかったよ。

いや、だけど何で起こされたんだろうか。不思議すぎる。

早朝に到着した「ブージ」という町で

それから約2時間後、朝6時過ぎにブージに到着。

それでもこの町は、まだ暗闇の中。

リクシャーワーラーが、「リクシャー?」と聞いてくる。
こんな時間に急いで宿に向かっても仕方がないので、お断りをする。
リクシャーワーラーは、あっさりと身を引く。

あぁ、リクシャーの勧誘じゃなくて、ただの意思確認だったのだとわかる。
何この町、着いた瞬間のいつもの激しい感じがまるでないんですけど。

とりあえず、目星を付けていた宿の方向を目指して歩く。

こんな見知らぬ町の暗闇の中なのに、私はちっとも恐怖を感じなかった。

たぶんこの町、治安悪くない。
そんな事が直感でわかるくらいには、私の旅人スキルは上がっている様だ。

カトマンズで初めて夜に外出をした時は、恐怖心を抱えながら恐る恐るだったのに。

そんな事を考えながら歩いていると、突然目の前に現れた大きな溝に気づかず、盛大に転んでしまう。

痛い…。

そして重たい荷物を背負った状態で転ぶと、起き上がるのが大変だ。
あぁ、ここがヒマラヤならば、優しい誰かが私を引っ張り上げてくれるのに。

治安は良くても、夜のインドにはこんな危険性もあるのだ。
夜は歩道よりも、車道の方が安全かもしれない。

足を引きずりながら歩いていると、賑やかな場所に出た。

多くの屋台が、こんな時間なのに営業をしていた。
私は一つのベンチに座り、チャイを注文する。

あぁ、こんな時はチャイに癒されるに限る。
そして夜明けまで、ここで過ごす事にしよう。

トイレに行きたくなる。
夜明けまでは、まだ時間がありそうだというのに。

ここで私は、一つの賭けに出る事にした。

「バックパックをここに置き去りにして、トイレに行こう」

多分、この町なら大丈夫なんじゃないかと思って。

チャイ屋さんに「トイレに行きたいから、ベンチにバックパックを置かせて欲しい」と声を掛ける。
彼に責任感があれば、誰かが持ち去ろうとしても止めてくれるだろう。

そしてこんなに大きくて重いバックパック、欲しい人がいるとも思えないしね。

暗闇でトイレを探すのは、少し難儀した。
何人もの人に尋ねながら探す。

どうやらここはバスパークのすぐ近くだったようで、早朝発のバスを待つ人たちで賑わっていた。
私はバスパークのトイレを発見して、そしてそそくさとチャイ屋さんに戻る。

私のバックパックは…きちんとそのまま置いてあった。
チャイ屋さんへのお礼の気持ちも兼ねて、チャイをもう一杯注文。

そこで、男性に声をかけられる。

「僕には日本人の友だちがいるよ」と言いながら写真を見せられる。
私的には怪しいワードベストファイブのセリフなのに、特に怪しいと感じなかった。

「V.R.Pゲストハウス」がお勧めだよと教えてくれる。
400ルピー(720円)で、部屋にはバストイレ付き。
ホットシャワーもOKとの事。

だけどWiFiはないという。
「WiFiは私にとっては重要だ」と伝えると、1階にある彼の旅行会社オフィスで使えると言われる。
いや~、私はできれば部屋で使いたい。

もう一軒、お勧めの宿があると言って電話をしてくれる。

そして電話を手渡される。
いやいやいや!まだ電話はハードル高いってば!無理無理無理。

渋々電話に出る。
思った通り、顔が見えない相手とのコミュニケーションは難しい。
何とか頑張って会話をして、だけど1000ルピー(1800円)もするというのでお断りをした。

はぁぁ。。。

「シティ・ゲストハウス」を目指して歩く

8時頃、そろそろゲストハウスも開いているだろうと思い立ち上がる。

目星を付けていた宿「シティ・ゲストハウス」は遠いから、その途中でいくつか他の宿も見ながら向かおう。

途中で犬に吠えられる。
通りすがりの人が、犬を追い払ってくれる。

途中で「〇〇ゲストハウスはこっちだよ」と教えられる。
入ってみたら、予算オーバーで諦める。

途中で「〇〇ゲストハウスはこっちだよ」と再び教えられる。
入ってみたら、WiFiがないという事なので諦める。

なんか、街の人たちが親切にサポートしてくれる。
それも、彼らの利益の為とかではなくて、ただの親切心なのがわかる。

色々な人が「ハロー」と挨拶をしてくれる。
私も「ハロー」と挨拶を返す。

「何か買っていってよ」などとは言われない。
ただの、朝の挨拶。ヒマラヤの時と一緒だ。

何だこの町は。
街並みは北インドのデリーやバラナシを彷彿させる汚さで、同じ西インドのラジャスターンとはまるで違うのだけど。

だけど人々が温かくて穏やかで…なんと心地が良いのだろうか。
まだたった数時間の滞在なのに、わたし既にこの町好きだ。

結局、目星を付けていた「シティ・ゲストハウス」まで辿り着いてしまった。

シングルルーム1泊300ルピー、WiFiも使うなら追加で100ルピー。
合計400ルピー(720円)。

シャワーは共同だけど、24時間使用可能。

うん、ここにしよう。

朝食なのか昼食なのかわからない食事を取ろうと、外に出る。

あぁ、この町やはり見た目は汚いな。
そして、お金をねだられる機会が増えた。

ジャイサルメールは、観光客で賑わう町だった。
バラナシやブッダガヤーなんかよりも、もっと多くの観光客が町を歩いていた。
だから、きっと経済的にも潤っているんだと思う。

だけどこの辺境の町ブージは、おそらく観光客なんてほぼ来ない町。
住民の人柄の良さも感じる一方、「貧困」の一面もある様だ。

ブージのお勧めレストラン「アンナプルナ」でグジャラートタリを食す

「アンナプルナ」というレストランに着く。

どっちが入り口かわからないから、左の入り口に入って「ここはレストランか」と尋ねる。

するとメニューを見せながら「インド料理が食べたいなら隣だ」と教えてくれる。
インド料理と外国料理で、入り口が違うみたいだ。

「グジャラートタリ」というものを注文。
グジャラートは、この地域の州の名前。

たくさんのおかずが運ばれてくる。
この中から、好きなおかずを選んで自分のお皿に乗せるというシステム。

何それ!楽しい!

そしてこれだけ選んで、更にラッシーも頼んで151ルピー(271円)。

ヨーグルト系のおかず2種にラッシーまで頼んでしまったのが失敗だったけど。
流石にヨーグルト系3種はくど過ぎる。

だけど、量も丁度良くて味も美味しいし満足だ。

観光客の来ない町ブージ

レストランを出て、近くの売店でトイレットペーパーを買おうとする。
だけど、そこでは売っていなかった。

少し大きめの売店でも売っていない。
もっと先にある、インディアンマーケットで買えると言われた。

今までは、小さな売店でも買えたのに。

つまりここは観光客が極端に少ない町だという事の表れなんじゃないかな。
ローカル相手の商売で、トイレットペーパーは必要ないものね。

10分ほど歩くと、賑やかなマーケットに着いた。
そこでトイレットペーパーを50ルピー(90円)で購入。
いつもより高い。需要がないからかな。

そして私は、今日は観光をせずに宿でのんびりと休む事にした。

せっかく朝に着いたのだから、今日は市内観光をして、明日は郊外へ出かけて、あさってに次の町へ行くのが効率的。

だけど、私は今とても疲れている。
この3日間、まともな環境で休めていない。

2日間は砂漠で野宿をして、昨夜はバスの中だった。
寒かったし、シャワーを浴びられずに不潔だったし。

という事で、今日この後は休養のための時間。

夜に夕食に出かけるまでの間、部屋でたっぷりと休んだ。

「パンジャーブタリ」と食後の作法

夕食を食べにバスロードまで来た。
ここは、今朝チャイを飲んだ通り。

今日は満月なのかな。
美しい満月が、雑多な街並みを照らす。

夕食は、この通り沿いにある「グリーン・ロック」というお店で取る。

お勧めを聞いたら、「パンジャーブタリ」を勧められたのでそれにする。

「パンジャーブ」って何だろうと思い後で調べたら、デリーより更に北の地方の州の名前だった。
ここからは大分離れている州の料理…何故これがお勧めなのだろう。

美味しかったけど。

食べ終わって会計を依頼したら、口直しとお湯が出てきた。

このお湯は何に使うのだろうかと戸惑っていたら、隣のお客さんが「手を洗うものだよ」と教えてくれた。

そっか、手で食事をする文化の国だもんね。
でも、お湯が出てきたのは初めての経験だよ。

この右奥の口直しのものは、何度か遭遇した事がある。
私は口に合わないから食べれない。

語学学校の日本人生徒が、「色によっては食べられる」と言っていたけど。
私は、どの色でも無理だな…。

だから手前の砂糖だけを少しつまんで食べる。

・・・

宿に戻ろうとする。
路地が入り組んでいて、度々道を間違える。

「シティ・ゲストハウスならこっちの道だよ」と、親切な人が教えてくれる。
私から道を尋ねたわけでもないのに。
何故シティ・ゲストハウスに滞在しているとわかったのかは不思議なのだけど。

とにかく「ただただ親切なだけ」の人が多すぎる。
「人の良さ部門」では、現時点ではこのブージが一番だ。

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