-Afriski to Sani Pass-
標高3322mの高地にある、レソト唯一のスキー場アフリスキ-。
昨夜は寒すぎて…私は寝袋を引っ張り出して潜り込む。
ワタルさんは、空いているベッドのシーツを引っぺがして、タオルケット代わりに。
こんなに寒いのに、毛布の1枚も用意されていないのだよ。
「ドミトリーに泊る安い客なんて、こんな待遇で十分だ」って事かいな。
▼前回のお話し▼
マレアレアからサニパスへの移動①|まずはレソトのリゾート地アフリスキーへ
マレアレアからサニパスへの移動2日目|モコトロンを経由してサニパスへ
昨日まで滞在していたマレアレア(Malealea)からサニパス(Sani Pass)へは、1日では行けない距離。
どこかで1泊する必要があるので、昨夜はここアフリスキ-(Afriski)まで11時間かけて移動してきた。
マレアレアからサニパスへの移動①|まずはレソトのリゾート地アフリスキーへ
ほとんどの旅人は、ここより先にあるモコトロン(Mokhotlong)で1泊してからサニパスへと向かうのだけど。
私たちは、昨日は手前のアフリスキーまで。
本日は、まずモコトロンまで行き、そこでサニパス行きのミニバスに乗る予定。
アフリスキ-からモコトロンへ|ヒッチハイク
アフリスキーには、特にバス乗り場などというものはない。
通りがかりのバンを、ヒッチハイクで止めて乗るのだとか。
幹線道路まで続く登り道を、15分ほどかけて登る。
昨日レセプションの人に、バンは10:30-11:00くらいの間に来ると言われていたので、10:15分頃から待ってみる。
私、ヒッチハイクって初めてだ。
ボツワナやナミビアで、「停まっている車のドライバーと交渉して乗る」というタイプのヒッチハイクは経験済みだけど。
こういう、走っている車を「親指を立てて止める」という、本格的な(?)ヒッチハイクは初めて。
というか、1人旅の時だったら、そんな大胆な事は絶対にできなかっただろうな。
…ってワタルさんに言ったら、「そんな事ないんじゃない?」と言われる。
ヒッチハイクしか手段がない状況に置かれたら、なんだかんだ1人でも出来るでしょう…って。
なるほど、そういうものなのかな。
それにしても、一向に乗合バンが通りかからない。
時折通りかかる一般車を止めようとするものの、なかなか成功しない。
本日は日曜日。
そもそも、公共の乗り物なんて、運行しているのだろうか。
寒い。
ダウンを羽織って、毛糸の帽子まで引っ張り出してかぶる。
エジプトからここまでの旅で、初めてかぶったよ、毛糸の帽子なんて。
薄着のワタルさんには、エジプトからここまでの旅で1度も使わなかったジャケットを貸してあげる。
…そんな使わない物を持っているから、荷物が重いのだけど。
だけど、ようやく出番に恵まれた。
無駄にならなくてよかったよ。
11:30頃。
ようやく、一般の乗用車が止まってくれた。
ありがたいっ!
1時間15分の待ち時間か…まずまずだ。
モコトロンまで、1人50ランド(約375円)で連れていってくれる事になった。
ワタルさんが助手席、私が後部座席に乗る。
すると、後部座席に乗っていた男性の1人が言った。
「なぜ助手席に乗らないの?レディーファーストだよ!」
後部座席には、私含め3人の人間と荷物が乗ってる。
「もし彼が後ろに乗ったら、狭くなるよ。私は小さいから大丈夫」と説明。
納得してもらえた様だ。
それにしても、レソトにはそういう文化があるんだね。
日本だと、「運転手以外のメンバーの中で一番大きい人」が乗るというのが、なんとなくのルールだったりするけれど。(上下関係がない場合ね)
でもどちらも、優しさゆえの文化だよね。
時折、羊が横切る。
牛が横切るのは慣れているけれど、羊は珍しい。
やはり羊は、高地の生き物なのかな。
12:50頃、モコトロンに到着。
1時間ちょっとのドライブ。
公共のミニバスで行けば、もう少しかかるはずなのだけど。
一般車だったので、順調なスピードで走ってくれたのだ。
モコトロンからサニパスへ|ミニバス
モコトロンには、大きなスーパーなんかもある。
ここで、昼食用に総菜を買ったり、自炊用に食材を買ったりする。
サニパスには小さい売店しかないので、日用品や食材などはここで調達。
卵や玉ねぎ、乾麺やスパイスなどのちょっとした食材であれば、サニパスでも手に入る。
買い出しとランチを済ませ、ミニバスに乗り込む。
ミニバスは、14:00にモコトロンを出発。
(金額は失念…)
途中で、レソト最高峰の地点(3482m)を通る。
ここは、南部アフリカの最高峰でもあるのだ。
15:15頃、南アフリカ共和国との国境に到着。
え!
いつの間に!?
思ったより早いペースで走っていたせいで、目星を付けていた宿を通り過ぎてしまっていたようだ。
私たちは、この付近で1番安そうな宿「サニ・ストーン・ロッジ(Sani Stone Lodge)」に宿泊予定だった。
だけど、戻るための手段などはなく…歩いて戻るには、遠すぎる。
とりあえず、ミニバスを降りる。
サニパスの絶景宿|サニ・マウンテン・ロッジ
ミニバスを降りたところは、霧の中だった。
霧の中に、うっすらと伝統家屋の姿が見えてくる。
なにこれ!
まるでRPGの世界みたいだ。。
霧の中にいた村人に、「あちらの方向に行きなさい」と指示される。
あちらの方向で…イベントが発生するのか。
よくわからないままに、指示された方向へ向かって歩く。
すると、霧の中から、ぼぅっと2人の男性が姿を現す。
その男性たちの姿は、近づいてくるにつれて、だんだんと濃くなってくる。
ん??
なんか見た事あるな…。
すると、男性たちの方も、親しげに話しかけてくるではないか。
1人は、ケープタウンの宿で会った事があるⅯくんだった。
私とワタルさんとは、面識がある。
私の、アフリカ大陸縦断旅で余った各国の通貨は、これから大陸を北上するという彼に、全て寄付したのだ。
まさか、こんなところで再会するとは!
もう1人の男性Tくんとは、私はケニアで、ワタルさんはタンザニアで会った事がある。
そしてMくんとTくんは、ここサニパスで出会ったんだって。
つまり、4人が4人とも、別々のタイミングで出会って顔見知り同士だったのだ。
凄い偶然…旅人の世界って、意外と狭いんだね。
まぁ、アフリカ大陸では特に、ルートもみんな似通ってくるし、宿の選択肢も少ない。
だから、再会の確率って、他の大陸より大きいのかもしれない。
そんなこんなで、レセプションに辿り着く。
運よくドミトリーが空いていて、本日の寝床を確保する事ができた。
ドミトリーは、1泊あたり305ランド(約2,287円)。
結構高い。
私は知らなかったのだけど、このサニ・マウンテン・ロッジ(Sani Mountain Lodge)は、日本人の間では有名な宿らしい。
ほとんどの旅人は、サニパスではここに泊る。
先ほど再会したTくんは、実は昨日までの2泊、ドミトリーが空いていなくて個室に泊まっていたんだって。
ドミトリーでさえ305ランド(約2,287円)もするのに…それでも、憧れのロッジだから、絶対に泊まりたかったのだと言う。
そんなに人気の宿だったとは…。
ミニバスを降り過ごして、偶然に辿り着いたのは、かなりの幸運だったみたいだ。
なぜこの宿がそんなにも素晴らしいのかというと…ここはドランケンスバーグ山脈の際に建っているロッジで、ロッジのすぐ目の前が絶景なのだとか。
ドランケンスバーグ山脈は、レソトと南アフリカ共和国にまたがる山脈。
このロッジも、両国の国境のすぐ近くに建っている。
いや…よく見ると、南アフリカ側に不法入国しているような…??
まあ、広大な渓谷の上なので、細かい事は気にしないのかな?
さて、そんな立地のサニ・マウンテン・ロッジからの絶景は、こちら。
何も見えない…。
これは室内から撮った写真なのだけど、室内からでも、バルコニー越しに絶景が見られるらしい。
絶景が、宿の目と鼻の先にあるのだ。
明日に期待しよう。
ここは、標高2,873m。
外は寒いので、ダイニングエリアの暖炉で暖を取る
ここは暖かいし、このロッジで唯一Wi-Fiが使えるエリア。
ドミトリー棟では、Wi-Fiは使えないのだ。
だけど夜になってもっと寒くなる前に、シャワーと食事を済ませなければ。
レセプションがあるメインの建物からドミトリー棟までの間に、小さな売店がある。
そこで野菜などを買って、ドミトリー棟へ。
この宿も、例のごとく就寝時間が22:00。
それまでにシャワーと食事を済ませて、ベッドに潜り込む。
レソトはどの村でも、夜22:00になると強制的に電気を消される場合が多い。
ドミトリー棟にも「暖炉がある部屋」が共有スペースとしてあるものの、宿泊する部屋の室内はかなり寒い。
毛布に包まっても、しばらくは凍える。
(毛布があるだけ、昨日のアフリスキーの宿よりマシか…。)
ヒートテックを重ね着し、ダウンを羽織って毛糸の帽子をかぶっても、まだ寒い。
まるで、ヒマラヤトレッキングやキリマンジャロ登山など、高山にいたときの様だ。
いや、標高2,873mのこの地は、れっきとした高山なのだけれど。
こんなに寒いのに、Mくんは昨夜、テント泊をした様だ。
強すぎる…。
そういえば、ケープタウンで出会ったミホさんも、旅のパートナーの大学生と一緒にテント泊をしたと言っていたっけ。
そして、耐えがたいほどに寒かったと。
いくらテント泊の方が安くてもさー、こんなに寒いのだから、奮発して室内に泊ろうよ。。
恐るべし、バックパッカー魂。
へっぽこパッカーな私には、到底真似できないよ。
ちなみにMくんは昨日死ぬ思いをしたので、本日はドミトリー部屋に避難。
遠慮がちに床に寝袋を敷いて、安全な寝床を確保。
「もしよろしければ…」と、ドミトリー部屋で眠る事をお願いされたのだ。
どうぞどうぞ。
さすがにこの寒さは、命に係わるからね。
▼次回のお話し▼
天空の王国レソト!絶景・サニパスの崖の上から見る朝日