-Gorakhpur to Varanasi-
夜は強力なファンが回っていて、全く寝付けなかった。
寒すぎる…。
寝袋出そうか迷ったけど、朝早いから荷解きは最低限にしたいしな。
私だったら夜中にファンは付けない。
ルームシェアをするとは、こういう事か…。
それに、ゴーラクプルは夜も賑やかな音が絶えない。
さすが、夜行列車もたくさん出ているもんね。
新宿なんかよりも、よっぽど「眠らない町」だ。
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インド鉄道に乗って、バラナシへ
朝4:00起床。4:30に宿を出る。
駅に行くと、たくさんの人がそこで寝泊まりをしていた。

ダニエルとシェアナが、列車のホームから乗車する号車までスムーズに探してくれる。
私は、、、こんな調子でこの先大丈夫かな。
出発1時間前だというのに、既に列車は来ていた。

私たちが予約したのは、スリーパークラスの座席。
2段になっていて、日中は上の段の人も下に座る。
(上にいてもいいけど)
だから、下の段の人は日中は横になれない。
私は運よく上の段。

あぁ、しかし写真では見た事があったこの列車。
まさか私も乗る日が来るなんて。。。
もう少しよい席になると、ファンじゃなくてクーラーになったり、コンパートメントの席もある。
もう少し安い席だと、フルフラットにはならない固い座席の自由席などがある。
(というレベルでしかまだ把握していない)
しかしこのスリーパークラス、2段目が取れれば結構快適。
今後もスリーパークラスのエアコンなしで十分そうだ。
ダニエルに「次の駅だよ」と教えてもらい1段目で座って待機しようと思ったら、いつの間にか他の人が座っていた。
席盗られたよ…。
まぁ、使ってなかったしいいけどさ。
逆よりマシだよね、夜になって寝ようと思ったら誰かが先に寝てたよりは。
バラナシ駅から、ガンガー沿いの宿へ

4時間半後の11:00頃、列車は順調にバラナシに着いた。
ダニエルとシェアナは、ここからタクシーで予約済の宿に行くという。
私はサイクルリクシャーで目星を付けていた宿に向かう事にしていたので、彼等とはここでお別れ。
短い間だったけど、ありがとう!
ここまで順調に来れたのは、彼らのおかげ!
リクシャーワーラーたちとの攻防
駅の前には、2台のサイクルリクシャー。
あら、意外に少ないのね。
いつの間にか大勢の人々にに囲まれているのだけど、私の対戦相手は2人だけ。
1台目のリクシャーワーラーAに値段を聞いてみる。
(昨日まではリクシャーマンと言っていたけど、彼らの事はリクシャーワーラーと呼ぶらしい)
A「200ルピーだ」
そうか。
2台目のリクシャーワーラーBにも聞いてみる。
B「200ルピーだ」
あ、同じだ。
もう一度、Aに聞いてみる。
A「200ルピーだ」
う~ん、変わらない。
B「150ルピーだ」
お、下がった!
A「150ルピー!150ルピー!」
いや、もう遅いよA君。
私はB君に心を決めたよ。
Bは人混みの少し後ろにいて、彼の所に行こうとするもAが立ちはだかって妨害をする。
A「150ルピー!150ルピー!」
私は強引な男は嫌いなの!
Aを押しのけて、Bの傍による。
私「150ルピーでいいんだよね?」
B 「150ルピーだ」
これ以上Aに妨害をされないよう、そそくさとBのリクシャーに乗り込む。
すると、「勝者B!」みたいな雰囲気になり群衆がどよめく。
激励をするように、肩をボンボンと叩かれていたりする。
なんだか面白いぞ。リクシャーの交渉。
150ルピー(270円)が相場より高いのか安いのかはわからないけど、面白かったから別にいい。
そもそも、別に200ルピー(360円)でも構わなかったのだけど、こういう「交渉」をしてみたかったのだ。
乗る気がないときは正直鬱陶しいとしか思わないけど、乗る気があるときは積極的に来てくれたほうが交渉しやすいね。
Bはときどき振り返って、私の様子を気にしながら自転車を漕いでくれる。
うん、Bに決めてよかったよ。

そして漕ぎにくい坂道では、降りて手押しで進んでくれる。

それにしても、バラナシという町はまさに「喧噪のインド世界」そのものだ。
歩行者としては非常に歩きにくそうだけど、リクシャーの座席からの高見の見物状態ならば、こんな喧噪も楽しくて仕方がない。
およそ1時間後、宿の近くの目印スポットに着いた。
ここから宿まで歩いて行こうとすると、宿の目の前まで行ってくれるという。
既に支払いは済んでいるのに…なんていい人なんだリクシャーワーラーB。
追加で気持ちばかりのチップを渡した。
(10ルピー。ほんとに気持ちばかり)

目的の宿探し、少し難航
そして着いた宿は、今までに見たどんな宿よりも衝撃的だった。
日本のガイドブックに載っているくらいだから、、、いくらインドの安宿だからってこんなはずはない。
もう一件目星を付けていた宿が近くにあるはずだけど、見当たらない。
たぶん…エリアを間違えたな。
実はガイドブックの地図と、私の持っている地図アプリとの付き合わせがうまくできていなくて、勘で来てしまったのだ。
目指していた宿も、ガイドブックでは「ゲストハウス」だけど地図アプリでは「レストハウス」になっているし。
どちらかが間違えているだけかなと思ったんだけど…私が間違っていただけだった。
たぶん、徒歩30分ほど戻ったところにある。
だけど細かい場所が全くわからないので、再びサイクルリクシャーを拾って、今度はガイドブックの地図を頼りに向かってみる事にした。
通りすがりのサイクルリクシャーを止める。
近くの目印スポットを指定して、知っているか訪ねる。
すると、謎の男が「知ってる知ってる!」と割り込んでくる。
誰だよと思いつつも無視。
「そこまで歩いたら3時間だよ」などと大ウソまでつく。
無視してサイクルリクシャーに乗り込むと、謎の男はすぐ近くのオートリクシャーに戻っていった。
あぁ、オートリクシャーの客引きだったのか。
私は先にサイクルリクシャーワーラーと話していたのに、客を横取りしようなんて横暴な奴だ。
この辺りだと降ろされたところは、路地だった。
強引な人は無視をして、温厚そうな人に尋ねながら宿を探す。
ようやく、第二希望の宿を発見する。
ここがわかれば、自分が今どこにいるのかがようやくわかる。
第一希望の宿はもうすぐだ。
すると、通りすがりの日本人に「この宿めっちゃいいっすよ!」とお勧めされる。
彼はそう言い残して、忙しそうに私の第二希望の宿に戻っていった。
おぉ、じゃあここを見てみるか。(←単純)
モダン・ビジョン・ゲストハウス(Modern Vision Guest House)
(写真は上の階の中庭)
上の階と下の階どちらがよいかと尋ねられ迷っていると、
「絶対に上がお勧めっす」
と先ほどの彼が吹き抜けの上からアドバイスをしてくれる。
急いでいる中で、、、ありがとう。
という事で、上の階のこの部屋に決めた。

カトマンズやポカラと比べちゃうとね…正直かなりクオリティは下がるんだけど。
だけど、きっとこれがインドの安宿のスタンダードなんだな。
日本人の彼もお勧めって言っているし。
バルコニーもあるから、洗濯物の外干しができる!
インドはお湯が貴重で水シャワーが多いとの事だけど、ホットシャワーも出るという。
部屋は暑くはないけど、ファンもある。
そして、眺望は「パーシャルガンガービュー」。

こんな個室が300ルピー(540円)というのだから、いいんじゃないかな。
バラナシの旧市街を歩く
とりあえず、お腹がすいたのと宿にデポジットを払ったら金欠になったので外に出る。
ATM探し
まずはATMを探して彷徨う。
あぁ、路地ばかりでATMの気配なんて全くないよ。
この町は、路地しかないのかな。

迷路のように入り組んでいる。これは土地勘を得るのが難しそうだ。
と思っていたら、広い通りに出た。
なんだ、あるじゃない。

ここにあるATMは壊れていて、もう少し先まで行く必要があるようだ。
ローカルの路面店に、「チャイ飲んでいきなよ」と誘われる。
う~ん、飲みたいなチャイ!
そしてこんな風に誘われるの、なんだか楽しい。
だけどお金を得るのが先だ。我慢我慢。

進んでいくと、どんどんローカルな人々が増えてくる。

そして大通りは、車とリクシャーと排気ガスのオンパレード。
クラクションも、耳が痛いほど鳴り響く。
あぁ、ここまでの喧噪は求めていないな。
さっきのチャイ屋さんがあった場所くらいの感じが丁度いい。
2件目のATMも壊れていて、3件目でようやく現地通貨を入手。
到着早々に出会ったよ、怪しい男
まずはトイレットペーパーを買おうと店を探していると、日本語を扱う男に出会う。
男「何さがしてるの~?」
私「トイレットペーパーだよ」
男「この店で売ってるよ、40ルピー(72円)だよ」
彼にマージンが入るのか判断がつかなかったけど、ネパールよりは安いのでここで買う。
男「僕の店見に来てよ、日本語の本の貸し出しもあるよ」
知らない男について行ってはいけない…けど日本語の本借りたいな。
私「う~ん、じゃあちょっと見ようかな」
店に入ってみると、確かに日本語の文庫本などが少し置いてあった。
私「日本語上手だね。どこで勉強したの?」
男「独学だよ!兄に教えてもらった。兄は20年ほど前に大沢たかおと日本の映画に出た事もあるんだよ」
写真を見せられたのだけど、20年前の大沢たかおさん若すぎて本人かどうかわからない。
『神様のパズル』という映画だそうだ。
男「チャイ飲む?」
私「いくら?」
男「日本人、すぐお金の事言うよね。信頼が大事だからね。お金は取らないよ」
私「そっか、ごめんね」
男「ほらこのLine見て、日本人の友だちたくさんいるよ。」
ふ~ん。
「日本人の友だちたくさんいる」は、怪しいワードベストファイブくらいには入っているよね。
私「日本語の本の貸し出しっていくら?」
男「500ルピー(900円)だよ。本を返してくれたら、500ルピー返すよ。」
つまり、無料で借りられるか500ルピー騙し取られるかの2択なわけだ。
私「じゃあ、借りたくなったらまたくるね。ありがとう」
男「この後は何するの?一緒にご飯食べて、戻ってきてチャイ飲む?」
私「宿に戻って洗濯物しなきゃ」
男「宿どこ?」
私「名前忘れちゃった」
男「困った事あったらいつでも来てね。今夜は友だちと夕食だから、よかったら一緒にビールを飲もう。割り勘で安くなるよ。」
私「時間あったらね。バイバイ、ありがとう」
彼は、悪い人には全く見えない。
むしろスムーズに心の中に入ってくるのが上手いと感じた。
ここがインドでなければ、うっかり信用してしまいそうになる。
だけどね、こうやって長い時間をかけて信頼関係を勝ち取って、最後の最後で裏切る手口がある事を私は知っている。
だから最初の絡みは無害だけど、これ以上に関わってはいけない。
いや~、でもこれは騙される人続出するのも無理ないよな。
本当に「ただの親切なローカルとのふれあい」みたいな感じだったもん。
(いや、本当にただの親切なローカルだったらゴメンナサイ…)
ローカルな路面店をはしごする

食堂を探して歩いていると、またチャイ屋さんに声をかけれらるので飲んでみる事にした。
手のひらサイズの小さな器に入ったアツアツのチャイ、5ルピー(9円)。

ローカルの人と一緒に簡素なベンチに座ってチャイをすする。
美味しいっ!
そして楽しいな。
ローカルの中でチャイ飲むなんて。
そしてこの器、なんと使い捨ての様だ。
戻そうとしたら、ゴミ箱に捨てるよう指示された。

結構立派なのにもったいない。
ローカルな体験に味を占めた私は、隣の謎のスナック屋さんに近づいてみる。

全く何かわからないのだけど、ポテト(写真右)とチャンナバラ(写真左)を20ルピー(36円)で購入。

かかっているタレが辛すぎて、食べ物の味はよくわからなかったけど。
あぁ、口の中がスパイシーになってしまった。
もう一杯、チャイでも飲もう。
チャイ屋さんかと思って近づいたら、ラッシー屋さんだった。
ここでラッシーを20ルピー(36円)で購入。

そしてその隣のチャイ屋さんで、再びチャイを5ルピー(9円)で飲む。

チャイは、こうやって念入りに作られている。

なんかローカルなお店をハシゴしてしまったよ。
楽しすぎるよインド。
ネパールでは、ここまでローカルなお店は勇気がなくて入れなかったのに。
私は、インドに来て早々に性格が変わってしまったみたいだ。
変わったと言えば、街の歩き方も変わった。
ネパールでは、話しかけてくる人はとにかくひたすらに「無視」を決め込んでいた。
ここでは10回に6回くらいは反応をしている。
それでホッコリ体験ができる場合もあるし、しつこく付きまとわられる場合もある。
後者の場合は、得意の早歩きをしながら無視をすればよい。
100%シャットアウトするよりね、こっちの方が心に余裕も持てるし楽しい。
レストランで感じるインドの階級

夕食は、時間が遅くなってしまい良さげなローカル食堂を発見できなかった。
今日は諦めて、外国人向けの様なレストランに入る。
メニューを見ても相変わらず意味不明なので、相談をしながら決める。
最初は「ターリー」を勧められた。
それは私も一番最初に目についたし、一番無難な選択肢。
ネパール料理でいうところの「ダルバート・タルカリ」の様なもので、1つのプレートに複数のカレーとおかずが乗ったアラカルト。
だけど、それじゃあ一向にインド料理を覚える事ができない。
下記2品に決めた。
Paneer Buttter Masara(パニール・バター・マサラ)
- パニール→チーズ
- マサラ→カレー
Lachha Paratha(ラッチャ・パラタって読むのかな…?)
- カレーと一緒に食べるパンの一種
- 昨日食べたロティよりはサクサクでボリュームがある。サクサク感とボリューム感で言うと、ロティとナンの中間くらいの感じ。
これにコーラを頼んで合計265ルピー(477円)。
これは、チャイが1杯5ルピー(9円)で飲めるインドの物価からしたら、高い部類だと思う。
インドより物価が高いと思うネパールでの食事だって、これより安かった。
そして、外国人向けかと思っていたこのレストランの客のほとんどはインド人だった。
彼等は、インドではお金持ちの部類になるんだと思う。
例えば日本では、ちょっと奮発して少し高めのレストランに行ってみたり、安価な定食屋さんに行ってみたりと、その時の経済状況や気分によって行くお店のグレードも変わる。
だから少し高めのレストランには、その場に相応しいお金持ちもいれば、ちょっと背伸びした庶民もいる。
逆もまたしかり。
だけど貧富の差がはっきりしているインドでは、決してそんな現象は起らないのだとか。
「貧」と「富」は互いに無縁の世界。
それは食事にしても、列車の座席にしても、映画館の座席にしても、全てにおいて。
この多次元世界の住民たちは、間違っても他の世界に迷い込むことはない。
それって、なんだか寂しい事のような気がするんだけどな。
私の「インド周遊旅」は、この様に始まった。