寒い寒い冬の北海道にいながら、季節外れな話だけれど。。
先日、映画「サバイバルファミリー」を観ていて思い出したので、昔体験した水難事故のお話。
もくじ
秩父でラフティング初体験!
ラフティングは、数人が乗れるゴムボートに乗って行う川下り。
皆でパドルを漕いで、力を合わせて進むアクティビティ。
関東在住の人に人気なのは、埼玉県の「秩父」や「長瀞(ながとろ)」。
私たちは、秩父へ!
まずは、引率のガイドから簡単な講習を受ける。
そして水着の上にラッシュガードを羽織り、ライフジャケットを着こんで出発!
突然、ボートから弾き飛ばされて川に流される
途中までは、流れの穏やかな場所を一生懸命漕いで進んだり、流れの強い場所ではスリルを味わったりしながら、楽しく遂行されていたラフティング。
すると、突然…!
何が起こったのか、自分でもわからないのだけれど、ポーンとボートから弾き飛ばされる。
それは、まるでトランポリンを使った競技かの様な、華麗なる跳び姿。
出発前の講習で言われていた通り、引率のガイドが私めがけてロープを投げてくれた。
私はそれを掴もうと手を伸ばしたのだけれど、流れが速すぎて、ロープを掴む間もなくどんどんと流されてしまった。
みるみる内に遠ざかっていくボート。。
私はボートに戻るのは諦めて、自分の身を守る行動へと意識チェンジ。
流れが速すぎて流された!!!
…と聞くと、さぞかし広くて深い河なんだろうと思ってしまうけど。
イメージとはまるで異なり、私の流されている川は、立ち上がれば大人の腰程度の深さしかなく、水も澄んでいて川底がはっきりと見える状態だった。
じゃあ立ち上がればいいじゃない!
…と思いきや、流れが速すぎると立ち上がれないのだ。
無理に立ち上がろうとすれば、大怪我をするだろう。
それは、走っている車から無理やり飛び降りるようなものだ。
車のシートから地面だって大した距離じゃないけれど、、当然ケガするよね。
浅い川で流された場合の問題は、川底のゴツゴツとした岩に脚が触れただけで、擦り切れてケガをするであろうという事。
こんな流れの速い中で少しでも岩に触れたら…どれだけザックリと切れてしまうのか。。
いえ、川底ではなくても、水面から出ている大きな岩に激突するリスクもある。
「岩でケガをしない事」「呼吸を確保する事」を優先にして、私は水面に対して体が平行になる様に体勢をキープ。
特に脚!
油断すると脚がだらんと下がってしまうので、そうならない様に脚をなるべく上げる。
脚を川下に、頭を川上にした状態で、仰向けの姿勢で流れに身を任せる。
もしも途中で岩にぶつかりそうになったら、脚で蹴るか手で押すかしよう。
そんな感じで、周りを観察しつつも、なすすべもなく流されていく。
まぁ、死ぬことはないでしょう。
このまま天候が悪くなれば別だけど。
海なし県の埼玉から、まさか海まで流されることも無いだろうし、ラフティングを行う様な川で、近くに滝なんかも無いだろうし。
そんな事をぼんやりと考えながら、状況が好転するのをただただ待つ。
どれくらい流されたかわからない。
私の中では長い時間だったけれど、案外10分程度だったりして。
そんな瞑想の様な時間を過ごしていたら、流れが穏やかになった場所で、他のチームのボートに救出された。
この時には、川底に足が付かない程度には、深くなっていた。(いつの間に!)
私のチームのボートが追いつくまでそのボートで待たせてもらい、そして無事に仲間の元へ合流。
めでたし、めでたし。
弾き飛ばされたとき、ボートでは何が起こっていたのか
合流した後でチームに聞いた話。
私を救出しようと咄嗟にロープを投げる事はできたものの、その直後に渦の様なものに巻き込まれてグルグルとボートが回転してしまったのだとか。
だから、私を助けるために直ぐに追いかける事もできず。
こちらはこちらで、大変なパニック状態だったらしい。笑
次は長瀞だね、という話になった時に「チセはもう誘わない」と言われてしまった。(え~ん。。涙)
それくらい、怖かったんだって。
そりゃそうか。
仲間がボートから弾き飛ばされて、みるみる内に小さくなっていき、そして姿が見えなくなってしまった。
怖いよね、私の身になにが起きているのかが全くわからない分、なおさら。
当の私はその時、流れに身を任せながらのんびりと空を眺めていたというのにね。
ライフジャケットの重要性を実感
弾き飛ばされた瞬間は、何が起こったのかわからずビックリしたものの、その後は案外パニックにもならずに冷静だった。
冷静に、いま一番安全かと思う体勢を取り、後は静かに流れて行った。
もしもパニックになっていたら、同じ状況でも無事では済まなかったかもしれない。
なぜ、アウトドア素人で知識も経験も乏しい私が、意外と冷静だったのかというと。
それは、ライフジャケットを着ていたからだと思う。
ライフジャケットを着ていたから、「とりあえず、沈むことはない」という安心感が得られた。
これは大きい。
沈むリスクがないのであれば、あとは呼吸の確保さえすればいいわけで。
呼吸が確保できていれば、岩で負傷するリスクまで冷静に想像して、しかるべき体勢を取る事ができる。
ライフジャケットがなければ、パニックでそれどころではない。
速攻で溺れていたと思う。
いつもは、「付けてと言われたから付けているけど、どうせ活用する事はないでしょう」と高を括って、惰性で付けているだけの存在なのに。
いざ!という時が、まさか自分の人生で訪れようとは。。
笑い話と全国ニュースは紙一重
今回の話は、まったく無傷で生還したために、ただの笑い話でしかない。
「私、川に流されたことあるよ!笑」みたいな。
だけど、これは一歩間違えれば重大事故にもなりえた状況で、そうなれば全国ニュースにもなったかもしれない事案。
そこまで大怪我じゃなかったとしても、「秩父でラフティング中だった女性が川に流され、病院に搬送されましたが、命に別状はありません」みたいな報道されそう。(←なんか、よく聞くフレーズ!)
ニュースになるかならないかって、紙一重なんだと思う。
こんな、笑い話で済んでラッキー♪みたいな事案はたくさんあって、だけど一握りの不運な人が、ニュースになる程の事故にまで発展しているんだろうな。。
ちなみに、今回の事故はラフティングの会社には一切責任はないと思っている。
無傷だったからそう思うのではなく、仮に命の危険があったとしても。
例えばライフジャケットの状態が悪くて沈んでしまったとか、ボートに欠陥があったから投げ出されたとかなら会社が悪いけど。
今回のは、完全に自己責任。
自然の中で遊ぶ以上、こういうリスクは承知で遊んでいる。(…はず)
子供が水難事故から生還するための2箇条
只今、育児中につき、我が子の事も考えてしまう。
可愛い息子が水難事故に遭っても無事でいられるために、この経験を活かす2箇条。
- ライフジャケット必須!
- 母の武勇伝(?)を事あるごとに話し続ける
この事故では、ライフジャケットに文字通りライフを救われたと強く思っている。
大げさではなく、ライフジャケットが無ければ死んでいたんじゃないかなと。
それくらい、ライフジャケットの素晴らしさを実感する事ができたので、子供が水場で遊ぶ際には、必ずライフジャケットを着せようと思う。(ダイビングとか素潜りとかになると無理だけど…)
そして、この話を定期的に雑談として話し続ける事で、万が一の際に「そういえば、母ちゃんがこんなこと言っていたな」と少しでも頭に浮かんでくれれば、パニックにならずに冷静に状況判断をする手助けになるのではないかなと。
そんな、冬の北海道の風に驚いて子供が泣いてしまった日に思う、関東の暑い夏の日のお話でした。
おわり。
何度か海外でラフティングを経験しましたが
いつも適当なライフジャケットを渡されていました。
でも、ないとあるのでは大違いなんでしょうね。
しかしCiseさんの水難事故はかなりすごい
めちゃくちゃ冷静いだし、
近頃水難事故の訓練に浮き方の練習をするというのを聞きますが
なるほどね。
秩父のラフティングはライン下りから眺めたことはありますが
見た目より危ないてことなんですね。
Ciseさんの息子さん、なんかすごくたくましい大人になりそう!
sakaeさま
海外の適当なライフジャケットなんて恐ろし過ぎます。よくぞ、ご無事で…!
浮き方の練習、大切ですね。とりあえず、浮いていれば何とかなるかと。(あとは天候次第!)
ラフティング中はボートから降りて泳いだりもしたので、穏やかなところは穏やかです。
それでも、河岸に近づいたら激流で体が攫われそうになり、同行者が慌てて引っ張ってくれたりもしたので、見た目では分からない危険もありました。
息子、エチオピアで私のように泣きべそかいたりしない程度には逞しく育てたいです。笑
ちせ様の旅のスタイルは自分よりかなりアグレッシブが故に、修羅場に対する対応力も鍛えられてるなと改めて思いました。
やばいと思った瞬間に、まずそれが本当にどの程度のヤバさなのかを冷静に考えられるというのは素晴らしいと思います。
ちなみに旅行で一番身の危険を感じた瞬間というのは、この件なのでしょうか?
NKさま
この体験は、バックパッカーを始めるより前の話なので、旅スキルもアウトドアスキルもない素人でした。
助かったのは、本当にライフジャケットのおかげでございます。
一番の身の危険…難しいですね。笑
実際に事故の渦中に身を置いた経験であれば、この話です。
一番身の危険を感じたのは…ヒマラヤトレッキング中に人ひとり通るのがやっとの箇所を数時間歩いたときでしょうか。
▶ヒマラヤトレッキング16日目|私のゆく道と最も身の危険を感じた日(ロブチェ→ゾンラ)
「瞬間」的な身の危険であれば、エチオピアで奇声を上げながら近づいてくる変な人に道を塞がれたときの方が上です。
▶アディスアベバのETTでダナキルツアーの予約&やっぱり少し変だよ、この国は
「これは詰んだ!」と思ったのは、ケニアのナイロビに深夜に到着したにも関らず、宿までの移動手段も現地通貨もないというミスを犯したときです。
▶【陸路国境越え】エチオピアからケニアへ|モヤレ国境を越えて、深夜のナイロビへ
どれも派手なストーリーではございませんが。笑