ー世界はきっと、美しいー
瀬戸内海の島々

瀬戸内海に浮かぶ900羽ものウサギの島(大久野島)|毒ガスと楽園と

【せとうち旅行記】2021/12/27

しまなみ海道サイクリングを中間地点で潔く断念し、リタイアした島・大三島からフェリーでやってきたのは、うさぎ島との異名を持つ大久野島(おおくのしま)。

瀬戸内海に浮かぶ大久野島には、約900羽もの野生のウサギが生息しており、まさにうさぎの楽園なのだ。…♡

▼前回のおはなし▼
しまなみ海道サイクリング③瀬戸内海の夜明け|多々羅展望台から望む朝日

大久野島へのアクセス&休暇村への行き方

大久野島へは、本土の広島県側にある忠海港(ただのうみこう)からフェリーが出ている。

予約は不要なので、都合のよい時間にフェリー乗り場へ向かい、乗船券を入手!

私は瀬戸内海側の大三島にある盛港(さかりこう)から乗船。少数派だと思うけど。。

フェリーのタイムスケジュール・運賃は下記をご参照ください。
http://rabbit-island.info/

フェリーが到着すると、丁度よく休暇村のバスが待ってくれている。

うさぎがデザインされた真っ白いバス。

上陸早々にテンションが上がる♡

ウサギちゃんバスに乗って、島に唯一ある宿、休暇村へ。

第二桟橋からは、バスで5分弱。

徒歩だと、うさぎに目もくれずに真っすぐ目指せば10分程度。

帰りもバスは出ているけれど、時間が固定されているし、ギリギリまで島を満喫したければ歩く方がオススメ。

第一桟橋は、もっと休暇村に近くて、半分弱の距離。

先述したURLに、どこの桟橋かも記載されています。要チェック!
(もう一回貼っておこう↓)
http://rabbit-island.info/

景色抜群!休暇村の和室で大人な女子旅気分♡

宿に到着したのが14時半前くらい。

チェックインは15時からだけど、もう入室していいとの事。

ありがたい!

予約したのは、和室8畳のお部屋。

税込み、いちまんよんせんえん。。

バックパッカーにあるまじきお値段。

しかし、それしか選択肢がないのだから仕方がない。

私にスキルと道具さえ備わっていれば、キャンプという選択肢もあるんだけどね。(それでも1人なら3600円)

詳細は休暇村のHPをご参照ください。
https://www.qkamura.or.jp/ohkuno/camp/

しかしながら、大奮発した甲斐もあり、お部屋は素敵な和室。

しかも、お部屋からは海が一望できる。

オーシャンビュー&ラビットビュー♡

(うさぎ写ってないけど)

水やお菓子の他に、電動アシスト付自転車1回無料券ももらえる。

散策に向けて、大三島の道の駅で買った野菜をカットする。

ここ大久野島ではウサギの餌は販売しておらず、島外で入手する必要がある。

本土の忠海港の乗り場で、加工された「ウサギの餌」は買えるみたい。

野菜を与えたければ、事前準備が必須。

カットした野菜を袋に詰めて、出発!

イノシシが出るらしい。

イノシシって危険なのかな??

北海道にはいない生き物。

毒ガス資料館|地図から消された、負の遺産

外に出ると、さっそく可愛らしいウサギちゃんたちがお出迎えをしてくれる。

「人間=食べ物をくれる存在」と認識しているらしく、私を見つけた瞬間、猛ダッシュで駆け寄ってくる。

食べ終わるのを見届けて、まずは行くところがある。

(食べ残しを狙って他の動物がウサギを襲うなどの問題が起きているので、食べ終わるのを見届ける)

大久野島毒ガス資料館

この島は、戦時中は毒ガスを製造している島だったという、負の歴史を持っている。

重大な国家機密の島だった為、地図からも消されていたという。

島のあちこちに当時の面影が残されている。

例えば、毒ガス資料館の傍には「陶磁器製毒ガス製造器具」

毒ガスの薬品や熱に強い為、陶磁器が使用されていた。

戦後、毒ガスに使われた機械はほとんどが処分されたけれど、一部は悲惨な歴史を後世に伝える為に永久保存されている。

そんな大久野島と毒ガスの歴史を伝えるのが、この毒ガス資料館。

「うさちゃん可愛い~♡」

…の前に、きちんと島の歴史も知っておきたいと思い、駆け寄るウサギとの戯れもそこそこに、一番にこの資料館へ。

中は撮影禁止。

毒ガスの製造過程で使われた道具や防具、当時の資料(給与明細なんかもある)だとか、目を覆いたくなる用な写真も展示されている。

毒ガス製造に人を募集した際に、非常に多くの応募があったというのだから驚き。

半強制的に徴集されたのではなく、みんな望んで積極的に参加していたんだ。

こんな仕事でも、「仕事が欲しい」が優先されるほどの社会だったのかと思うと、一概に現在の価値観で批判もできない、もどかしさ。

完全ではない防具の隙間から身体が毒に犯されて、後遺症に悩まされる人も多かったとか。

日本の戦争に関わらず、海外で毒ガスが使われ皮膚病を患った事例の写真も展示されている。

こんな危険な兵器を人間に使うというのがむご過ぎる。

戦後、毒ガスや機材はアメリカ兵の協力の下で焼却されたり、密封して海に捨てたりして処分された。

現在はうさぎの楽園と化して、多くの人を癒す大久野島。

悲惨な過去も、忘れてはいけない。

うさぎと戯れながら散策

島の歴史を触りだけでも学んだら、夕食の時間まではウサギとの戯れタイム。

私を求めて、私が持っている餌を求めて、ウサギたちが駆け寄ってくる。

足に登ってくるほど。

野生なのに警戒心ゼロ。

ウサギ=人参だと思っていたけど、ウサギと触れ合う為にはブロッコリーの方が正解。

スティック状に切った人参は、すぐに奪い取って走り去って行ってしまう率が高いけど、ブロッコリーは奪いにくいのか、その場でハムハムしてくれる。

人参よりブロッコリーを大量に買えば良かったー。

次回訪問の機会があったら、10:0でブロッコリーでもいいくらい。

近くには、大久野島神社

鬱蒼としていて、敷地内に入ると荒れ果てた神社がひっそりと建っていた。

もう誰も管理していないのかな。

毒ガス製造の犠牲者の慰霊碑もある。

この負の遺産と、のどかなウサギの楽園とのミスマッチさ。

でも、それでいいと思う。

負の歴史はしっかりと教訓として後世に残しつつ、だけど負の雰囲気まで残す必要はないというか。

現在が穏やかで平和なのは、喜ぶべきこと。

ちょっと脱線だけど、「日本人は平和ボケしている」と悪い意味で言われる事が多いけど、私は「平和ボケできるくらい平和」だなんて素晴らしいと思う。

もちろん、危機意識の欠如は問題を起こすし、自分の身を守るための危機管理能力は必要だと思うけど。

そこを上手くバランスが取れるのが一番いい。

大久野島の夕日スポット

ビーチから丘への道を登っていくと、灯台がある。

そこから更に先に進むと、見事な展望スポット。

もうすぐ夕暮れ。

夕日はここで見ようかな。

一旦宿に戻ろうと、更に先へ進む。(ビーチから丘を越えた先が宿)

夕日の丘!?

夕日の丘というからには、こちらの方が夕日スポットなのか?

わー!凄い!

こんな美しい場所を、私と黒いうさちゃんで独占。

うさちゃんは夕日よりも人参の方が大事。

一旦先に進む。

東屋があった。

こんな場所で日がな一日、のんびりと読書でもしながら過ごすのもいい。

絶対に滞在時間少なすぎる…サイクリングを早々にリタイアしていなければ、もっと少ない時間しかなかったはず。

宿に戻って、再び丘に戻る。

(なぜ宿に戻りたかったのかは、どうしても思い出せない)

途中、南部照明所跡に立ち寄る。

ここにはサーチライトが設置されていて、夜間の敵探知をしていたらしい。

こういった昔の跡が、島内のあちこちに残っている。

夕日の丘に着いた時には、既にほぼ日が暮れた後だった。

さっきの夕暮れ前の黄金色の空の方が綺麗だったなー。。

それにしても、年末でお客さんはたくさんいるのに、ここまで来る人はいないみたい。

私とうさちゃんで独占。(再)

休暇村の前まで戻り、夕食の時間までしばしの黄昏タイム。

ここにも誰もいない。

家族連れが多いからかな、みんなご飯やお風呂の時間なのかな。

家族連れやカップルがほとんどを占める島内で、一人さみしく海を眺める女。

さみし…くないよ!君がいるから!

大久野島、休暇村の夕食ビュッフェ

夕食は、ビュッフェ形式。

色々あって選びきれないほど。

残さない様に、適量だけ取って席に着く。

頂きます♡

夕食時、ひとり旅らしき女性を2人ほど見かける。

「年末に女ひとり旅(しかもリゾート)」なんて言葉尻だけ聞くと、世間的には「寂しそう」なんて思われるんだろうか。

もちろん彼女たちに(もちろん私にも)悲壮感なんて全くなくて、自分の大切な時間を楽しんでいる、私よりも年上のお姉さまたち。

ところで、男ひとり旅は見かけないな。(ウサギなんて興味ない??)

広島県の牡蠣や、地産のお肉が焼き立てコーナーで焼かれている。

もうお腹いっぱいだけど、食べねば!

ごちそうさまでした♡

大久野島の夜のイベント|夜光虫見学

夜のイベントとして、夜光虫見学ができるとチェックイン時に教えてもらったので、参加してみる。

昔なら、一人でそういうイベント事には参加しなかっただろうな。

1人気ままにプラプラ歩くのは好きだけど、大勢で賑わっている場所には行かない。

成長したのかな。

夜光虫が入っているグラス。

中を棒でかき混ぜて刺激を与えると、ブルーに光るのだ。

子供が興奮して見ている、教育要素高めのイベントだけど、大人な私でも旅の余興として中々楽しめた。

1日の締めくくりとイノシシと。

温泉に入って、お風呂上りにビールを1杯♡

すっかり暗くなった大久野島の夜の海を眺めながら、一人で晩酌。

ネパール帰国難民生活がきっかけで、1年数ヶ月前からビールが飲める様になったばかりなので、「旅館でお風呂上がりに一杯」なんていうのも、実は初体験。

なんて事ない時間だけど、「大人なわたし♪」を感じながら、一人で悦に入るひと時。

すると、庭を何かが横切るのが見えた。

豚の様な丸々とした体形で、色黒の生物。

これは…イノシシでは!??

え~、普通に玄関前の庭に出るんだ!

子供が多いけど、大丈夫なのか??

「明日の散策が不安だ~」と思う気持ちを「いやいや、羆よりは小者だよね」と思う気持ちで打ち消して、あれは見なかった事にしよう。

おやすみなさい。

POSTED COMMENT

  1. NK より:

    お久しぶりの投稿楽しみに待ってました!

    バックパッカーから大人の女にジョブチェンジされて、熟練度を上げられてますね!

    毒ガスに関する展示に関しては、オシフィエンチム(アウシュビッツ)を思い出しました。非常に空気の重い場所で、そこで会った日本人が、二度と来たくないけど来てよかった場所と言っていたことが、今でも印象に残ってます。

    最後にイノシシと羆を比較されるところが流石北海道民と思ってしまいました。でもそういう日常との対比もまた旅行の大きな意義ですよね。

    • tabi-kurage より:

      NKさま

      久々なのに早速ご覧頂きありがとうございます!

      熟練度が上がっているかはさておき…笑
      今回は大人な気分を味わってみました。

      アウシュビッツは実際に毒ガスが使われて、「悲惨な目に遭った人々がそこにいた」というのを感じざるを得ない場所かと想像しますので、今や平和な大久野島とは全く違う雰囲気なんでしょうね。
      「二度と来たくないけど来てよかった」という言葉、行った事がない私にも重さが伝わってきます。

      本文で「負の雰囲気まで残す必要はない」と表現しましたが、そういう雰囲気を持つ場所が残っている事も、大切な事なのかもしれないと思い直しました。

  2. 土日 より:

    毒ガス資料館に行かれたのはさすが!
    こういう感性を大切にされ、さらに「大人な女性」に成長されんことを!
    次回も首を長くして。

    • tabi-kurage より:

      土日さま

      首を長くしてお待ち頂きありがとうございます。笑

      「若い娘が背伸びして大人感をアピールしている」みたいになってしまっていないか心配になりました。笑
      既に「大人な女性」として成熟していなければいけない年齢でございますので、更に精進できる様努めてまいります。

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