しまなみ海道サイクリングのスタート地点、愛媛県の今治市(いまばりし)へ向かうため、大阪からオレンジフェリーに乗船。
初めての船旅。
窓のカーテンを開けっぱなしで、深夜0時頃に眠りに着く。
▼前回のお話▼
オレンジフェリーで大阪から愛媛へ!せとうち旅の始まり、旅情感満載の船旅を満喫
もくじ
大阪南港から、愛媛県の東予港への船旅|オレンジフェリー
ベッドに入ってウトウトし始めた頃。
突然部屋が眩しくなって目が覚めた。
どうやら、大きく輝く橋の下を通ったみたい。
(写真は暗いけど…)
本州と四国を結ぶ、立派な橋。
何橋かな?…地図を見れば分かりそうだけれど、そのまままた眠りに着く。
東予港から今治市内へ|連絡バス
朝5時過ぎに起床。
到着前には全てを終えて、デッキから徐々に近づいてくる陸地を眺めながら旅情感に浸るという理想は、あっけなく崩れる。
のんびりと準備をしているうちに、いつの間にか港に着いていた。
予定通りの午前6時。
船は愛媛県の東予港に到着。
なんだか、あっけなかったなー。
22時発で朝6時着だと、そのほとんどの時間が就寝中。
もう何泊かしていきたい気分。
だけど、初めての船旅はなかなか楽しかった!
ありがとう、オレンジフェリー!
ちなみに、到着から2時間はフェリーに滞在できるので、朝食を食べたりお風呂に入ったりと、のんびり過ごす事も可能。
私はフェリー到着に合わせて迎えに来ている、今治市内行きの連絡バスに乗る予定なので、すぐに下船。
連絡バスに乗りたい場合は、乗船の受付時か船内にて整理券をもらう必要がある。
人数に達し次第配布終了なので、お早めに!
フェリーを降りると、目の前に連絡バスが待っていた。
時間もフェリーに合わせてくれるし無料で利用できるのでとても便利。
だけど自転車を乗せる事ができないので、自転車持参のチャリダー達は別の手段で今治へ向かう。
他に、新居浜方面、松山方面へ向かう連絡バスもある。
詳細は、オレンジフェリーのHPにて
https://www.orange-ferry.co.jp/toyo_osaka/bus_toyo2.html
およそ40分で、今治駅前に到着。
今治駅前ターミナルでレンタサイクル
ここからしまなみ海道サイクリングのスタート地点まで行くバスは丁度いい時間のものがなくて、電車で行っても最寄り駅から徒歩20分はかかる。
今治駅前から最初の橋の麓までは自転車で30分ほどらしいので、ここで借りてしまおう。
お店が開くのが8時からなので、駅の構内で待機。
今回利用するのは、公営のレンタサイクル。
今治や広島県の尾道、そしてしまなみ海道の島々にターミナルがあって、どこでも乗り捨てる事ができる。
いつリタイヤするかわからない私の様な初心者には、嬉しいサービス!
質のいい自転車を望む場合は、値段は上がるけれどもジャイアントストアさんがいいみたい。
どちらも駅前にある。
8時になったので、今治駅前ターミナルを訪ねる。
世界で唯一の「漆塗り自転車」なるものが飾られていた。
受付で申し込み。
2日後に広島県の尾道で返す予定で借りる。
2日間で4,000円。
詳細はしまなみジャパンのHPにて
http://shimanami-cycle.or.jp/rental/
本日宿泊予定の3つ目の島「大三島」の宿へ、佐川急便の「手ぶらサイクリング」というサービスも利用。
160㎝、30㎏以内、1個2,200円で、しまなみ海道内にある提携の施設へ荷物を送る事ができる。
当日の朝の指定時間内に預けて、夕方到着した時に受け取れるという大変ありがたいサービス。
詳細は佐川急便のHPにて
https://www.sagawa-exp.co.jp/stc/
今治駅前ターミナルで預ける事ができるので、自転車の受付と一緒に不要な荷物も預ける。
そして、自転車を受け取って出発!
しまなみ海道サイクリング
しまなみ海道は、全長約70㎞。
メインの6つの島が、7つの橋で繋がっている。
自転車は、慣れている人で1時間あたり20㎞、初心者や観光しながらゆっくり走る場合は1時間あたり10㎞が目安らしい。
そして、多くの人は1日で今治~尾道間を走り抜ける。
私は自信がないので、途中の大三島(おおみしま)で宿泊して2日に分けて完走するゆとりプラン。
2日目に尾道に到着したら、大久野島(通称:うさぎ島)に行く計画。
本日は、大島、伯方島、大三島の3島を走る。
今治駅前から来島海峡大橋へ
ここからゴールの尾道までは、なんと76㎞もあるらしい。
サンライズ糸山は、しまなみ海道のスタート地点のすぐ近くにあるゲストハウスで、レンタサイクルターミナルも兼ねているので、サンライズ糸山からスタートするのもあり。
私も丁度いい交通機関があれば、ここからスタートしたかった。
とりあえず、スタート地点までは約6㎞という事なのね!
私の相棒。
2日間よろしくね!
手続きに思いのほか時間がかかってしまい、8:50頃にようやくスタート。
しまなみ海道の自転車道路は、ブルーラインとも呼ばれていて、道路に描かれたブルーのラインを辿って行く。
これなら道に迷う心配もなし!
しかし、まだ四国本土にいるので、隣を車がびゅんびゅんと走っていくのが怖い。
歩道を走っちゃダメかしら…??涙
シティサイクル(所謂ママチャリ)しか乗ったことがない私にとって、クロスバイクは初めての乗り物。
ひと漕ぎで、す~っと楽に前へ進めるので、最初は凄く感動した。
これなら、どこまででも行けちゃうのでは!?
心配していた自転車旅、こんなに楽々なのか~。
…なんて思っていたのは、ほんの最初のうちだけ。
真っすぐな道は楽なのだけれど、ちょっと登り坂になるだけで辛い。
最初の橋にすら辿り着いていないのに、もうヘトヘトだ。
そして、凄く寒い。
瀬戸内海は冬でも温暖!との情報を信じてしまったのが間違いだった。
いま、実は日本列島中に寒気が訪れているまさに渦中で、この土地としては数年に一度の寒さなのだとか。
何故そんな日にバッティングしたのかっ!
実は、昨日まで私服の上に来ていた、冬の北海道でも着ているモコモコの上着。
佐川急便に預ける荷物に入れる予定だったのだけれど、あまりの寒さにそのまま着る事にした。
走ったら絶対暑いし、蒸れるよなー、いらないよなーと思ったのは完全に杞憂で、これは大切な防寒着となった。
そしてヘルメットをかぶる為に脱いだ毛糸の帽子。
これも、寒さで耳が千切れそうなくらい痛いので、毛糸の帽子の上にヘルメットをかぶる(…というか乗せる?)という非常に恰好の悪い対策を取る。
ヘルメットが頭にハマっていなくて、帽子の上に乗っているだけという笑える恰好。(事故の際に頭を守る役割としては問題ありかと思うけど)
年頃の乙女だった頃の私だったら絶対にしないけれど、年を重ねるとこういう事ができる様になるのね。。
見た目より快適さ重視!
来島海峡大橋
9:30頃。
スタートして40分後に、ようやくスタート地点、来島海峡大橋の麓に到着。
しまなみ海道のブルーラインは、自動車用の高速道路の脇を走るという全国でも珍しいスタイル。
原付が真っすぐ、歩行者と自転車は左の道らしい。
ここに辿り着くだけで随分と大変だった。
この先大丈夫かな…。
スタート地点、やっぱりバスを待ってでもサンライズ糸山さんからにしておけば良かったかな。
自動車で高速道路に乗るときと同じで、クルクルと螺旋する道路を通って橋を目指す。
結構高いところまで登るのだ。
予想外…橋の始点に着くまでがかなり大変。
途中で何度も止まる。
10分後、ようやく登り切る。
尾道まで69㎞!
ここ来島海峡は今治と次の島大島との間にある海峡で、潮流が激しい海の難所。
それを繋ぐ来島海峡大橋は、全長約4㎞。
世界初の3連吊橋だって。
3連吊橋は、1つの基礎を2つの橋で共有する経済的な構造とかなんとか。
先ほどまで登りが辛くて内心では文句タラタラだったのだけれど、そんな気持ちは一瞬で吹っ飛ぶ。
美しい瀬戸内海の島陰を横に眺めながら、しかも真っすぐで走りやすくなった道を颯爽と走る。
なんて気分がいいんだろう!
まるで海の上を走っている様だ!
…とまでは流石に思わないけれど、先程までの辛さは全て忘れて、「来てよかった」とばかり思う。
車道と自転車専用道路との間には柵があるから、先程の様な一般道より安心。
そして、こんな寒空の中を走っているサイクリストなど全く見かけない孤独なサイクリングの中で、唯一みかけた女性がいた。
彼女は私よりもスピードは遅く、私が停まって写真を撮っている間に追い越していく。
そして出発した私が間もなく彼女を追い越し、そしてまた追い越される。
そんな繰り返しの中で、私は彼女に親近感などを感じていた。
海外で日本人を見かけても全く何も思わない非情な人間なのに、なぜ日本で日本人を見かけて気になるのかは、全くもって自分でも理解不能なのだけれど。
大島(おおしま)
橋を渡り初めて20分後の10:00頃。
1つ目の島、大島(おおしま)に上陸!
振り返ると、来島海峡大橋の立派な姿が目に入る。
あんな橋を渡っていたのかー!
一般道に下りる途中で、島ののどかな雰囲気を垣間見る。
ブルーラインを辿るよりも、あぁいう地元の道を通る方が楽しそう。
さすが愛媛県。
あちらこちらにミカンの木。
尾道へ真っすぐ向かうコースと、島をぐるっと巡っていく「外周コース」があるみたい。
絶対外周コースの方が楽しいんだろうなと思いつつ、体力のない私は迷わず最短コースへ。
その前に、道の駅いきいき館へ立ち寄る。
しまなみ海道沿いにはいくつかの道の駅があって、サイクリストたちのオアシスとなっている。
何人かのサイクリストやバイクのライダーが休憩している。
先程の彼女もいた。
私も、特に用もなく立ち寄る。
だって寒さが限界。
海風が強い分、北海道よりも寒い。
いや、大袈裟じゃなくて本当に。
そして、何も買わずに、トイレだけ借りて再出発。
う~、、行きたくないよ~。
風も強くて、自転車も置いて手を離せばすぐに倒れるレベル。
そして雪。
雪…!??
瀬戸内海で雪とは!
異常気象では!??
こんな南国の土地まできて雪なんか見たくない、北国在住者のホンネなり。。
大島の有名観光スポットのひとつ、「亀老山展望公園」。
寒いけど、仕方なく向かいますか。
亀老山展望公園へは、山道を登っていく。
この登りがしんどいというのは、事前に知っていた。
知っていたけど…しんどい。
へんろ道!?
…かわいい♡笑
そして、しばらく登って、諦めて自転車を降りて歩いて登る。
だけどGoogleマップでみたら、徒歩だとあと1時間くらいかかる。
まだまだ1つ目の島の、それも1つ目のスポットでもたついたら、今後の行程に影響を及ぼしかねない。
絶景ポイントらしいんだけどなー。
でも宿に夕方には辿り着く事を優先するならば、ここは諦めるべきか。
…という事で、頑張って30分くらいは登ったかと思う道のりを、無情にも引き返す事にした。
そんなに登っていない様に感じていたけれど、どんどんと下っていく様子を眺めながら、思ったより頑張って登った道のりが無駄になったのだなと悲しくなる。
仕方ない。
これが私の実力だ。
そういえば、先程の彼女はこの展望公園へ行ったのだろうか。
それとも先へ進んだのかな?
また、真っすぐな道を走る。
まだ小学生なのに、素敵な人権標語だ。
石の工房のベンチで一休み。
真っすぐな様でいて辛い道のりを走る。
ここは「峠」だったらしい…どうりで辛いはずだよ。
そしてここは、能島水軍発祥の地らしい。
いわゆる「村上海賊」の事だ。
瀬戸内海を支配していた、有名な海賊の一族。
ここ大島には「村上海賊ミュージアム」があるので、そこに行ってみる事に。
海に突き当たってT字路を左に行けば次の橋「伯方・大島大橋」で、右に行けば村上海賊ミュージアムだ。
こんなところに観光スポットなんてあるのかな?と思う様な、地元民ののどかな道を走る場違いな私。
ネコもこっちを凝視。
あと200m!
村上海賊ミュージアムの対面には、潮流体験ができる受付があって、そこには「お食事処」もある。
本当は、次の伯方島で伯方の塩を使った塩ラーメンを食べる予定だったのだけれど、目当てのお店が休業日だとさっき知ったのだ。
もう疲れたし、何より寒いし…まだ1つ目の島なのに折れかけてしまったメンタルを癒すべく、さっそく食事休憩を取る事にする。
時間があって、寒くなければ「潮流体験」も非常に魅力的だけど。
瀬戸内海の海の地を堪能すべく海鮮丼♡
…となるのが普段の私だけれど、寒くてそれどころではない。
ここは、ラーメン一択!
鯛だしラーメンだって。
これは…。
ダシがしっかりと効いていて、濃いんだけどくどくなくて…美味しい!
突然決めたお店だけど、正解だったかも!
そういえば、昨日フェリーで食べたのも「鯛めし」だった。
ここでは鯛が名産なのかな。
だけど、食べ終わったらすぐに身体が冷えた。
あったかいラーメンでも抗えないほどの寒さらしい。
村上海賊ミュージアムで、更に身体を休めよう。
村上海賊は、瀬戸内海のこの辺一体を支配していた一族。
村上水軍とも言われるけれど、それは彼等の活躍の後の時代に使う様になった表現で、彼等の時代に合わせるならば「村上海賊」が正しい。
海賊と言っても、狼藉を働く荒くれものの集団…ではなく、この瀬戸内の海を支配して秩序をもたらしていたので、一概に悪者とは言えない。
しまなみ海道の予習として、事前に『村上海賊の娘』を一巻だけ読んでみた。
(全4巻あるのだけれど、間に合わず…)
物語自体はフィクションではあるものの、史実に基づいたフィクションであり、時代背景だったり村上海賊がどんな立場の人たちだったのかなどが分かったので、予習として読んで良かったと思う。
時代小説だけれど固くなく、サクサク読める読みやすさもある。
という事で、事前に少しだけ予習した村上海賊への理解を深めるべく、村上海賊ミュージアムへ入場。
中は撮影禁止だった。
村上海賊の歴史について触れられたり、使っていた道具などの複製が展示されていた。
何の予備知識もない状態で見学するよりは、楽しむ事ができたかな。
..といいつつ、ここで語れるほどに身についたわけではないという悲しさ…。
3~4巻も早く読もう。
屋上が展望台になっているらしいので、登ってみる。
最上階は、教室になっていた。
昭和52年に廃校になった中学校の備品らしい。
この黒板は、なんと30年近くも消されずに残っていたのだとか!
なんて歴史深いんだろう。
当時の小学生たちは、もれなく全員おじさん・おばさん、もしかしてお爺さん・お婆さんだったりする。
遠い昭和52年より前に生きていた備品たち。
タイムスリップしてきたみたいで、凄く深みを感じる。
ベランダに出てみる。
あちら側は、私がこれから向かう方角だろうか。
多分そうだ。
きっと「伯方・大島大橋」だ。
身体も休まったところで、次へ進む。
久々に乗った自転車は快適…かと思いきや、お尻がめちゃくちゃ痛い事に気づく。
乗り続けると気づかないのに、一旦リセットすると気づくものらしい。
サドルが、普通のシティサイクルよりスマートだから、お尻への負担は非常に大きい。
座る場所をずらしたり、お尻を浮かせたりしながら、騙し騙しこぐ。
途中、能島村上の能島城らしき島の横を通りかかる。
2つの島が、橋で繋がっている。
うん、きっとそうだ!
村上海賊は、「来島村上」「因島村上」「能島村上」の三家に分かれていて、「能島村上」が最も力を持っていた。
村上海賊の娘に出てくる主人公の女の子も、この「能島村上」の城主の娘。
あぁ、もっと物語を読み込んでおけば、より楽しめたのに。
付け焼刃じゃあ、ダメだね。
そして間もなく、「伯方・大島大橋」の麓に到着。
14:00。
サイクリングを始めて、約5時間経過。
ようやく、1つ目の島から脱出。
先が思いやられる。。。
長くなってしまったので、次回に続く。
冬の海は、瀬戸内海と言えど大変ですね。
しかしこういう体験は、後々まで心に沁み込んで懐かしく思い出すでしょうね。
頑張ってください。陰ながら応援してますよ。
土日さま
そうですね!
辛かったですが、印象強い思い出となったし「行ってよかった」と思っています。
しかし、海は風があるぶん寒さも一層増しますね。まさか北海道より寒く感じるとは…笑
応援して頂けるなんて嬉しいです!ありがとうございます★
肩肘の張らない旅行スタイルで、途中引き返されてる部分も含めて綴られているのは、大変参考になりました。
引き返す判断というのは特に時間が限られてる旅行だと難しいですよね。
小笠原諸島の父島も自転車で回ったのですが、中心部以外は結構起伏があって、体力的に厳しい(当時は若かったのですが)という理由で一部予定をカットしたことを思い出しました。
今回も大変な力作で読み応えがありました。残りの記事にも期待してます。
NKさま
まさか引き返す部分の記述をお褒め頂けるとは思いませんでした!笑
そうですね、時間に余裕があるバックパッカー旅とは判断が変わってきますよね。
小笠原諸島も起伏があって厳しい部分もあるんですね!
体力的に諦めるのは、少し残念ですよね。
だけど、完璧に予定通り進んだときより再訪の動機になるので、それもいいのかも??
いつもご覧いただきありがとうございます★