ー世界はきっと、美しいー
インド -India-

西の果ての砂漠の国|ジャイサルメール(ジョードプル→ジャイサルメール)

【インド周遊記】2017/12/26

ジョードプルジャイサルメール
-Jodhpur to Jaisalmer-

今日は、西の果ての砂漠の国「ジャイサルメール」へ向かう。

朝10時のローカルバスを予約してあったのだけど、1時間前にバスパークに着く。

ローカルバスでジャイサルメールへ

ベンチで昨夜買ったお菓子を食べていたら、親切な人に声を掛けられる。

「どこへ行くの?」
「ジャイサルメール行きのバスはあっちだよ!」

えー?でもまだ出発まで40分もあるんですけど…?
半信半疑で向かってみると、既にバスが来ていた。

うーむ。
物凄くローカル感が強い。

バックパックを預けて、近くのチャイ屋さんで朝一のチャイを飲む。

すると、物乞いの女性が近寄ってきて手を差し出してくる。
無視をしてみると、これが欲しいとスナック菓子を指さす。

う~ん、仕方ないか。お腹空いてるのかな。

そうしたら、今度は「チャイが飲みたい」とせがんでくる。
チャイ代くらい払ってもよいのだけど、この調子であれこれ要求がエスカレートしそうな雰囲気だったのでお断りをした。

バスに戻って、私の席はどこかと尋ねてみる。
すると、どこでも好きなところに座っていいよと言われる。

そうなのかー。わざざ2日も前に予約する必要なかったかな??

一番前の窓側に席を取る。
インド人だらけのオンボロバスだけど…こんな風景を横目に旅ができるなんて楽しすぎる。

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あぁ、私はローカルバスが好きみたい。

ネパールのカトマンズからジリへのローカルバスも、めちゃくちゃ悪路だったけど楽しかった。

カトマンズからポカラ行きの「ツーリストバス」は、めちゃくちゃ退屈でつまらなかった。

インド鉄道も…悪くはないけど楽しくはない。
(既にトラウマが何個かあるし…)

これからも、出来る限りバス旅を続けようかな。
この広大なインド大陸を。

ジャイサルメールは、西の果ての国。

パキスタンとの国境まで、わずか150kmという辺境の土地。
キャメルサファリが売りの町。

先週末まではニューデリーの近くのグルガオンに滞在していたのだけど…遥々こんな果てまで来たのか。

①バラナシ → ②ブッダ・ガヤー → ③デリー/グルガオン → ④ジョードプル → ⑤ ジャイサルメール

所要時間5時間30分と言われていた道のりは、わずか1時間遅れの6時間30分で終わった。

いやーでもさ、絶対遅れるんだから、所要時間長めに見積もって伝えようとか思わないのかな。笑

ジャイサルメールの宿探し

バスを降りると、リクシャーワーラーが待機をしていた。

歩いて行ける距離だけれど、入り組んだ路地の中の宿だし面倒なのでリクシャーに乗る事にした。

私が伝えた宿まで、120ルピー(216円)だったのが70ルピー(126円)になった。

だけどジョードプルの時と同じく、ここから先へは行けないから歩けと途中で降ろされる。

いやー、だからさ。それは事前に言うべきだ。
「この宿まで」って伝えた上で交渉が成立しているんだから。

その事を訴えて、50ルピー(90円)に値下げしてもらった

ジャイサルメール城
なんとこの町では、この城壁の向こう側に泊まることができるのだ。

しかも、ここから先はリクシャーや車が入れないから、とても静かで空気が綺麗。
素晴らしい環境だ。

歩き出して間もなく、「〇〇ホテルでしょ?」と怪しい男に声を掛けられる。

さっきのリクシャーワーラーが、「そこのホテルのオーナーは友達なんだ!」とか言って電話してたからな…それでかな。

本物か疑わしかったし、リクシャーワーラーにマージンが入っても癪なので無視をしてみる。

すると間もなく、めげずにもう一度声を掛けてくる。

私、別にその宿に決めていたわけではない。
3件ほど目星を付けていた中の1つの名前を言っただけ。

ジャイサルメールには少し長く滞在したいと思っているから、いつもの様に即決はせずに複数件見て回る予定でいたのだ。

だけど、入り組んだ路地を彷徨うのも面倒だ。
この男に1件目まで連れていってもらって、それからあと2件見に行けばいいか。

歩きしな、名前を聞かれる。
少し警戒している私は、「泊まることになったら教えるよ」と失礼な態度を取る。

辿り着いたところは、とても快適そうな吹き抜けのオープンスペースがある宿だった。
そしてスタッフに女性がいて、欧米人客もくつろいでいた。

見せてもらった部屋は500ルピー(900円)で、部屋にトイレはあるけどシャワーはバケツ。

バケツかー。
同じ値段でバケツじゃない宿があればそっちにしたいな。

という事で、「他の宿も見てきます」と正直に伝える。
男は嫌な顔一つせず、「もちろんだよ!」と送り出してくれた。

あぁこれはね…ポイント高いよね。

もう1件は、満室だった。

2件目も満室で、ドミトリーならあるよと言われる。
だけど感じの悪い男だったので、私は「〇〇ホテル」に戻る事にした。

戻って来た私を、オーナーのBさんは歓迎してくれた。

多分この人は…悪い人ではない。
距離間がいきなり近すぎるから、警戒されやすいだけだ。

ウェルカムチャイをもらう。

いくらか聞いてみたら、「あなたは私のトモダチだからいらないよ!」と言われる。
私は、そんなに簡単に人を「トモダチ」だなんて思わない人間なんだけどな。

あぁ、ある人に「チセはトモダチのハードルが高すぎる」と言われたのを思い出す。
「チセが言うトモダチの条件はね…それはトモダチじゃなくて親友だよ」と。

だけど私にとって「トモダチ」は、凄く尊くて大切な存在だ。
そんなに簡単な事じゃないよ。

キャメルサファリの勧誘

チャイを飲みながら、早速キャメルサファリの勧誘を受ける。

この町に来たなら、キャメルサファリだよね。

ここでキャメルサファリをしないなんて…スキー場に行ったのにスキーしないのと一緒だよね。
いや…それは言い過ぎだけど。

語学学校の人たちも、週末を利用してジャイサルメールを訪れる人が結構いるみたいだった。

町には1泊もせずに、キャメルサファリ目当てで訪れているほどだ。
そして町の魅力を聞いても…あまり印象を持っていない感じだった。

そんなジャイサルメールだったけど、私はサファリには参加しない予定だった。

「スキー場の雰囲気だけ味わって、雪遊びだけして帰る人」の様になるつもりだった。

だってガイドブックには、女性の一人参加は絶対にやめましょうと警告文が乗っている。

砂漠でガイドと2人きり…事件の報告が多いみたいだ。

「他のツーリストもいるから大丈夫だよ」と言われていたのに、当日になったら自分一人だったというパターンまであるらしい。

だから、自分で確実に仲間を募って参加しなければいけないとの事だ。

そんなねー、現地で速攻で仲間を作るスキルは私にはないよー。

だからキャメルサファリは諦めていたのだけど、なんとなくBさんからは悪人の匂いがしない。

彼の所有しているラクダに乗って、彼の村から出発する。
付き添いは、彼のファミリー。

「他のツアーだと、人々がたくさんいてツーリスティックだよ」と言われる。
彼のプライベートラクダに乗れば、とても静かなサファリを楽しめると。

「元旦の初日の出を砂漠で見たい」と言ってみた。

そんな気、全くなかったんだけど。

キャメルサファリに参加する気もなければ、元旦をどの町で過ごすかさえ決めていなかった。

まだ1週間も先だもん…次の町「ブージ」で過ごす可能性が高いかなと思っていた。

だけど何となく…「そんな気」になってしまった。

「砂漠」という響きだけでも、旅人のロマンを掻き立てる素敵な言葉なのに。
1年の始まりをその場所で迎えられたなら…最高じゃないですか。

それに、火傷した足を少し休めたい私は、どこか気に入った町で少し長く滞在したいと思っていた。

この町は…まだ少ししか知らないけれど、気に入りそうな気配がするのだ。

半日ツアーか1泊2日ツアーの2択が主流なのだけど、Bさんは1泊2日か2泊3日かの選択を迫る。

「2泊だったら、よりディープな砂漠に行けるよ」
「砂漠の村々を巡る事もできるよ」

せっかくなら…2泊3日か。

価格は、ニューイヤープライスで4800ルピー(8640円)だと言われる。
交渉して、3800ルピー(6840円)まで下がった。

ニューイヤープライスじゃなければもう少し安いんだけど。
あぁ、だけどネパールで体験した30分のパラグライディングと同じくらいだ。

だけど「即決」はしたくないので、明日返答すると言って話を終える。

宿のフレンドリーなオーナー

Bさんはとてもフレンドリーで、私とたくさんコミュニケーションを取りたがる。

英語のよい訓練になりそうだ。

彼の隣でガイドブックを読んでいたら、「なんて書いてあるか教えて」と言われる。

まさかの翻訳ですか!
ハードル高すぎます!
私、まだ幼稚園児レベルです!

言えそうなところだけピックアップして伝えてみる。

私「ここはパキスタンとの国境までわずか100kmです」

B 「違うよ!150kmだよ」

(え!そうなの…?)

私「ラージプート族の王が築いた都市国家です」

B 「僕もラージプート族だよ!」

私「本当に!?」

B 「この町の多くの人がそうだよ」

(そうなのかー!)

私「パキスタンとの分離独立の前までは、ヨーロッパやエジプトまで続く中継地でした。だけど、今はその道は断たれています」

B 「うん、そうだね」

私「ここは、とても静かで美しい場所です。なぜなら、城内へは車は入ってこれないからです。ジャイサルメールはオアシスです」

B 「もちろんだよー!」

(ふぅ…)

Bさんが、夜景が綺麗に見えるところに連れていってくれると言う。

え?夜道を出会ったばかりの男と2人で歩くの?
私、まだそこまで信用しているわけではないんだけど??

あぁ、しかし多分大丈夫なんだろうな。

辿り着いたところは…それはそれは美しいところだった。

朝日も綺麗に見える所らしいので、明日の朝にでも行ってみよう。

一旦宿に戻る。
Bさんが夕食を無料でふるまってくれた。
作ったのはボランティアで来ているマレーシア人女性。

ビールも出てきた。
私は飲まないと言っているのが何故か伝わらず。
(歴史の説明は通じたのになぜ…?)

いや、だからさ。
私まだそこまで心開いてないんだってば!

しかし振舞われてしまったら、飲むしかないよね。
慎重に…ゆっくりと半分だけ飲んだ。

あぁ、「お酒は一滴も飲まない!」と決意して出国したのにな。
実はこれで6度目の飲酒だ。(いつの間にっ!)

食後、再びBさんと一緒に外出をする。
寺院が見える所に連れていってくれた。

ジャイナ教の寺院だそうだ。

この町はヒンドゥ教徒の町なのかと、うかつにも聞いてしまった。

そうしたら、「そうだ」と頷いた後に「ヒンドゥとイスラムどっちが好きか」と問い詰められる。

どっちが好きとか…考えた事ないよ。

「どっちも」という答えは受け付けてもらえなかった。

仕方なく、(私の平和の為に)「ヒンドゥだ」と答えた。

あぁ、イスラム教徒のみなさんごめんなさい。

イスラム教については紙の上でしか知らないけれど…きっと温かくて優しい宗教なんだろうと思っている。

一部の過激な人たちが目立っちゃっているのが残念なだけで。

うかつに宗教の話なんてするんじゃないね…。

宿に戻る。

屋上で、星空を眺めながらグリーンティーを飲む。
少し肌寒いから、2人で1枚の同じ毛布を掛けて。

静かな西の果ての夜、出会ったばかりの男女が語り合う…。

彼は、私の手を握りしめてこう呟く。

“出会ってくれてありがとう”

“今日あなたに会えて、僕はとても幸せな気持ちになったよ”

……。

いや!なにこれ!なにこのシチュエーション!

だからっ!私まだ心開いてないのっ!
距離詰めてくるの早すぎっ!!!

下心のあるなしは関係なくね。
出会ったばかりでグイグイこないで、お願いだから。

話を聞いていると、彼はどうやら「日本人」の来訪がとても嬉しいようだ。

日本人が大好きなのに、ここ2年間は一度も日本人が来ないから、とても寂しいのだという。

あぁ、それはね。
多分日本人は、ほぼ全員もれなく城外の日本人宿に行っているんだと思う。

そこはゴージャスで清潔な素晴らしい宿なのに、とても安価に泊まれるんだとか。

そしてオーナーは毎年数か月間、東京のインド料理屋で働いている。

奥さんは日本人で、日本人向けのホスピタリティ溢れた素晴らしい宿なのだとか。

Webでジャイサルメールの宿について調べたら、もうほぼ100%と言っていいほどこの宿の情報しか出てこない。

私はそんなに日本人ばかりいる宿は気おくれしてしまうのと、城内の静かな環境を求めていたので候補にしなかったのだけど。

だけどBさんに聞いたら、街で日本人を見かける機会もほとんどないという。
日本人の旅人自体が、減っているのかな…?

いやでもね、嬉しいのは凄くよく伝わっているよ。

だけど、どうか私に警戒させないで欲しい。
どうか、私のペースも理解して欲しい。

そんなに日本人が好きならば、尚更に。

「もう部屋で休むね」と言って場を終わらせる。

部屋の前まで付いてきてくれて、お休みのハグをする。
最初は拒否してみたんだけどね…強引というか、しつこいというか。

ハグくらい…今まで何度もしてきたけど。
だけど出会って間もない人とは、私的にはナシだ。

ハグは挨拶のスキンシップだけどさ…それって「親しい」が前提だよね?

インドでは、男性同士が手を繋いで歩くほど人々の距離間が近い。
この人口と密度だもんね…。

悪い人ではないと思うのだけど。
この調子でこられたら…一向に心は開けない。

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