標高2000mから始まる、リベンジ富士山【須走ルート5合目→本6合目】
本6合目を出発し、運命の分かれ道7合目を目指す。
昨年は、この7合目で高山病が発症。
そこからは今までの元気が嘘の様に体が重くなって、意識を朦朧とさせながら登ることになった。
だからここからはより慎重に。
貴重な酸素をたっぷりと体に染み渡らせる様に呼吸して、一歩一歩ゆっくりと登る。
自分が考えるよりも、ずっとゆっくり歩くくらいで丁度いい。
あぁ、まだ頂上はあんなに遠くにあるんだな。
だんだんと、雲と同じ目線になってきているのにね。
雲と雲の間から除く青が貴重で、
真っ青な快晴の日よりも、なんだか美しい色に見える。
鈴の塊。
これは、富士山で遭難した登山者への慰霊の意味があるんだとか。
7合目に近づくと、緑は減って茶色が主役になってくる。
酸素の薄さといい、標高が確実に上がっているのを実感する。
そして、ついに!!
7合目(2,950m)|太陽館 17:15
ぱちぱちぱち…♪
いえ、まだゴールではないんだけども。
前回はこの場所で限界がきて、死にそうになりながらもう一つ上の山小屋を目指したから。
順調にここまでこれただけで、一つハードルをクリアした気持ちになる。
時間も順調。
前回はここですでに夕暮れの薄暗さ。
なんなら、このあと遭難したときには既に太陽に見捨てられて、
真っ暗の中山小屋の光だけを頼りに這いつくばりながら登ったので。
ルンルン気分で、だけど慎重な呼吸は忘れずに、
この日の最終目的地本7合目を目指す。
もう緑は丸い塊でしか生えない。
7合目出発後まもなく、下山道と登山道の分かれ道があるから注意!
去年はここで同行者夫婦が下山道に行ってしまった。
下山道はふかふかの砂なので、登りに使うのはかなり辛い。
山に向かって右が登山道。
まぁ、とにかく分かれ道ではちゃんと案内板を見ていれば問題ない。
今回は正しく右の道を進む。
ここは前回通ってないから初体験。
いったいどれくらいの距離間なんだろうか。
…と思ってたら、あと5分みたい。
嘘っ!早っ!
なんだかあっけなく到着。
本7合目(3,200m)|見晴館 18:13
前回は死に物狂いでここにたどり着いた。
到着した瞬間、同行者の女性は号泣。
私もうるっと涙ぐんだ。
まるでドキュメンタリー映画みたいだったね、って今でも笑い合う。
今回は、そんな体験が嘘だったかの様にあっけなく到着した。
とりあえず、前夜の夢は正夢になりましたとさ。
なんだぁ~!去年あれだけ苦労してたどり着いた本7合目だったのに、あっという間に着いちゃったよ♪
標高3,200mの見晴館で朝を待つ
本7合目、見晴館。
ここは、標高3,200mの世界。
到着後すぐに、受付で会計を済ませる。
食事の前に本日の寝床に案内して頂く。
山小屋には部屋なんてない。
ベッドにずら~っと敷き詰められた布団で、みんなで雑魚寝。
布団は2人で1つ。
昔は、頭と足を互い違いにさせて、無理やりギュウギュウに詰められていたみたいだけど、今はどこの山小屋もそこまでの人数は受け付けていないみたい。
せいぜい2人で1つの布団をシェアするくらい。
隣が知らない人になるんだけど、女性の隣は女性、男性の隣は男性となる様に気を使った配置にして頂けるので安心。
もちろん、同行者同士は男女関係ない。
グループの端と端同士が同性になるということ。
私の隣は、優しそうな初老の女性。
「よろしくお願いしますね..♪」と、笑顔で挨拶してくれた。
いい人そうで良かった。
この歳になっても夫婦で仲良く富士登山。
それも山小屋で若者に混ざって雑魚寝できるなんて。
とても素敵で憧れる。
私も未来の夫と、そんな老後を迎えたいな。
そして相棒P氏の隣は男性グループだから、なんだか騒がしそう。
どんまい..!笑
見晴館での夕食はカレー。
去年は1口しか食べなかった。
それも朦朧とした意識の中、無理やり口に詰め込まれた状態。
今回は、きちんと自分の力で食べることができた。
しかも完食。
それだけの事なのに、なんだかとても嬉しい。
夕食の後は、少し外を散策。
陽が落ちようとしている。
雲の間に少しだけ覗く空。
明日は晴れるだろうか。
上の段の雲さえ晴れてくれれば、綺麗なご来光が見えそうなんだけど。
ちなみに、富士山に登ったからといって必ずご来光が見れるとは限らない。
去年は曇っていて何も見えなかった。
こればっかりは、自然に任せ。
20:00。
翌日のご来光に備えて早めに就寝。
疲れているとはいえ、こんな時間に眠くならないんだけどね。
さて、ここから1時間に1回のペースで目が覚める事になる。
何故って、やっぱり高度に身体が慣れていないから。
そして眠ると呼吸が浅くなる為、起きているより酸素の取り込み量が少なくなる。
辛くて起きる。
外に出て深呼吸。
これを1時間ごとに繰り返す。
外では、夜間登山で頂上を目指す人たちが休憩をしている。
上を見上げると、ヘッドライトの光が列をなして点々としている。
眠ると辛くなるし、いっその事このまま登ってしまおうかと本気で思ったけど、
計画外の事をする方がリスクが高いかもしれないと思い、やめる。
あぁ、早く朝にならないかな。