朝4:40。
既にほんのり紅く色付く空を、静かに人々が見守る。
眼下には雲が広がっていて、前日にあった上方の雲は晴れていた。
朝5:00。
真っすぐと広がる雲海の真ん中に、ポツリともっこりした雲が浮かんでいる。
丁度そこの雲のある場所が、明るく光りだす。
え…!
雲の淵が黄金に輝きだす。
…と思っていたら、ちょっと外れて横から覗きだす火の玉。
静かに見守っていた人々からも、歓声の声が漏れる。
おぉ~!!
陽の光に照らされて、雲の形が鮮明に見えてくる。
ただただ真っすぐな雲海だと思っていたけれど、ちゃんと表情があったんだ。
紅い世界から、完全に朝になった頃、人々は山小屋へと帰って行った。
だけど何人かは、明るくなった世界に見とれ続けている。
きっと車やロープウェイで簡単にこの景色をみる事ができたら、
また感想は違うんだと思う。
辛い思いをしながらここまで来て、
高山の辛い夜を過ごしてようやくきた朝だからこそ、
昨年の無念を抱えて、1年越しに見る事ができた景色だからこそ、
感じる気持ちがあるんだろうな。
そして、これから何度同じルートで富士山に登ったとしても、
この景色は二度とみれないんだ。
当たり前だけど。
自然は、一度見たら二度と同じ顔を見せない。
だからこそ、辛い思いをしながらも、何度も来てしまう人がいるのかもしれない。
景色に見とれていたら、いつの間にか朝食が最後になってしまった。
もう早々と出発してしまった人が沢山いる。
よしっ!
朝食を食べたら、出発だっ!
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