瀬戸内海での旅を終え、新幹線で広島から大阪までやって来た。
新大阪の宿に荷物を放り込み、大阪時代の友人に会いに兵庫県の尼崎市へ。
友人と積もる話をして、懐かしい人たちに会いに行く。
そんな予定だったのが、なんとも大阪らしい、刺激的な夜となった。
観光情報は一切ありません。
ただの、大阪飲んだくれ道中と人間模様のお話です。
▼前回のおはなし▼
瀬戸内海|ウサギ島(大久野島)でウサギまみれの年の瀬
大阪は都会だった
4年前、東京から大阪へと越して来た私は、「大阪意外と小さいな!」と思った。
なんていうか…東京は都会の範囲がめちゃくちゃ広い。
どこが中心か?と聞かれたら…まぁ新宿がダントツで栄えているんだろうけど、渋谷や池袋、東京駅と、栄えている場所は各所に散らばっていて、用事に合わせて大移動しなければいけない。
ところが大阪は、もちろん各所に見どころはあるんだろうけれど、だいたい御堂筋線の「梅田~難波」あたりまで出られれば一通りの用は済む。
新幹線は新大阪に行けば乗れて、ここもまた近い。
なんか、栄えているんだけど、キュッとしている感じ。
御堂筋線沿線に住んでいたので、とても過ごしやすかった。
札幌はもっとキュッとしていて、札幌駅~すすきの辺り(両者は徒歩圏内)に出られば一通りの用が済む。(超便利!)
ところが、札幌の規模感に慣れた私の目に映る大阪は、めちゃくちゃ大都会だった。
尼崎への道中、車内から見える景色は高層ビル群の連続。
栄えている、栄えていないの基準なんて、極めて相対的なものなのだと知る。
銀だこ発祥の地について
尼崎で待っていたのは、私が大阪に住んでいた頃に、近所のうどん屋さんで出会った1つ年下の女性。
うどん屋さんと言えども、うどんを食べている客などほぼおらず、言わば赤ちょうちん系の常連さんで賑わうお店で、居酒屋として利用している客が大半のお店。
(ランチタイムはサラリーマンがうどん食べてるけど)
そんな、おじさま世代が多い中で、貴重な同世代の女客同士、直ぐに意気投合。
そんな彼女と、尼崎のバーで昼間から酒を飲みかわし、積もる話に花を咲かせる。
そして、話は何故か銀だこについて。
店長 「銀だこの発祥は関西やねん」
彼女 「ええー!!!あんな外はパリッと、中はふわふわだなんていう気取った食べ物、絶対東京のもんだと思ってましたー!!!」
関西人らしい発想で面白い。
確かに、気取った食べ物ね…笑
大阪人は、東京のものを「気取っている」と表現する。
ちなみに、銀だこの発祥は群馬県。
桐生市のスーパーのテナントに入っていたのが1号店。
バーのマスターと彼女は、2人とも「駄菓子屋のおばちゃんが作るべちゃべちゃのたこ焼き」が一番旨いと言う。
なにそれー。笑
大阪の人間関係を見て浦島太郎になる
私たちが出会った、大阪のうどん屋さんのオープン時間に合わせて、尼崎の店を出る。
尼崎に引っ越してしまったので、彼女も行くのは半年ぶりなのだとか。
以前は二人とも徒歩圏内に住んでいたのにね。
大阪の北摂地域というエリアにあるうどん屋さんで、北摂地域は転勤で住んでいる非・大阪人も多く、比較的「生粋の大阪感」は薄い地域。
(南に行くほどディープな大阪になっていくらしい…。笑)
暖簾をくぐると、マスターも常連客も、みんな歓迎してくれた。
このお店は、常連全員知り合いみたいな雰囲気で、皆私の事も覚えてくれていた。
私の来店を知っていた、干支一回り分年上の男性客が合流。
同時に、私が東京へ戻るのと入れ違いくらいで通い始めた、私と同じ年の女性も合流。
初めましてだけど、人見知りの私でも全く臆する事無く会話ができるくらい、フレンドリーで楽しい女性。
大阪滞在中に出会いたかったーーー。
そして、自営業で明日から9連勤という私の友人は、21時過ぎに帰宅。
残った2人と話していたら、突然、男性の方が機嫌を損ねて帰って行った。
え???何で???
すると、私とは初対面の女性客(推定40台後半)に話しかけれられる。
どうやら、私がその男性と昔仲が良かった女性の名前を出したことに腹を立てたのだと。
なんと、一緒にいた私と同年齢の女性とは、恋人関係にあるので、他の女の話をしないで欲しかったらしい。
知らんがなーーーー!
その男性は既婚者で、女性も新婚さんだと言っていた。
こんな年の差ダブル不倫なんて、見抜けるか~い!!!
いやはや、私がいない3年の間に、人間模様も随分と変わってしまったらしい。
他にも、女性トラブルで店に来なくなった常連客の話もいくつか聞いたり。
恐ろしい。
すると、この初対面の女性(美容室経営)が、私を夜の街へと連れ出そうとする。
「社長2人が近くで飲んでて、呼び出されてるねん。一緒にいかん?」
海外だったら絶対に付いて行かないシチュエーションだなと、既に酔っ払った頭でぼんやり考えながら、成るがままに大阪の夜の街へと誘われてゆく。
人見知り&初対面でも盛り上がるのが大阪流
連れていかれたのは、近所の雑居ビルに入っているスナック。
そこにいたのは、穏やかそうな社長と、体格のいい社長。
この体格のいい方がねー、非常に失礼なんですわ。
私のお腹を見て、「ええ腹やな~!笑」とポンポン触ってくる。
社長!それはセクハラですぜ!
えぇ、太りましたとも、アフリカを出て1年で10キロほど。
「どこぞの不動産王だか何だか知りませんけどね!失礼ですよ!!!怒」
…と、不動産やら何やらで億の資産だか収入だか(←忘れた)があるという社長の腹を、「そっちはどうなんですか!」と叩き返す。
そんな、いくら酔っ払っていても東京や北海道では絶対にやらない振る舞いが、何故かここ大阪では許される気がして、私も思うがままに雑に応対をする。
嫌われても、今日限りの関係だと言うことも、私の気を大きくさせていたのかもしれない。
結局この後はラーメン屋さんに行って、そして不動産王と一緒にタクシーに乗りホテルへ。
タクシーの中で、「実はパン屋さんもやっているねん」と不動産王。
パン屋さん?可愛いじゃない。
「だけど、他の事業の中でパン屋さんだけが赤字やねん」
「えーー??美味しくないんじゃないですか??笑(ぷぷぷ♪)」(←失礼)
聞くと、パン屋さんは赤字だけど、従業員が続けたいと泣いて頼むもんだから、閉めるに閉めれないのだという。
何だ、意外と風通しのいい、良い職場じゃない。
昔住んでいたとは言え、しばらくぶりの土地で、知らない女に連れられて行ったスナックで、知らない男2人を紹介され、その内の1人とタクシーでホテルに向かう。
しかもベロベロに酔っ払っているから、何かあっても対応できない。
そんな、元バックパッカーとは思えない危機意識の低さで、何かあったら「自己責任」と批判される二次被害付きの可能性を秘めた夜。
不動産王は、きちんと私をホテルまで送り届けた後は、そのままタクシーで自宅へ帰って行った。
面白ければ何でもいいのか大阪よ
何とか部屋まで入った後は、シャワーも浴びず、歯も磨かず、服も着替えないままに、ベッドにダイブ。
キモチワルイ…。
最近お酒が飲める様になって毎日晩酌をしているとはいえ、ここまで酔っ払ったのは何年ぶりだろうか。
スマートフォンの着信音が何度か鳴っているのを遠くに聞きながら、眠りに着く。
そして翌朝、酷い二日酔い。
今日は夕方に出る東京行きのフライト時間まで、どこか1ヵ所くらい観光に出ようかとも思っていたけど、無理みたい。
昨夜のうどん屋さんで、うどんを食べよう。
酔っ払っていて適当に過ごしてしまったから、冷静に訪問したい気持ちもある。
開店時間までカフェにでも行こうかと歩いていると、昨夜私を連れ出した女性に出会う。
うどん屋さんの開店を待っている旨を伝えると、彼女の経営する美容室に連れていってくれた。
そこでトリートメントをしてもらえる事になった。
「このあと社長が来るから、払ってもらったらいいわ!」
昨日の失礼じゃない方の、穏やかな方の社長が来るらしい。
しかし、昨夜会ったばかりの酔っ払いのトリートメント代を払ってくれる善人が、この世にいるのかね??
「ええねん。むしろお金が余って仕方がないから、使いたいねん」
ほんまですかね??
会計時、社長に「この子のトリートメント代も入れて〇〇円です♪」と女性。
「なんでやねん!笑」と言いながら、社長は快く払ってくださった。
しかも、お店へのチップを1万円ほど置いて行くという太っ腹っぷり。
世の中には、こんなお金持ちもいるのか。
女性も後からうどん屋さんに来てくれるみたいで、私は先に美容室を出る。
うどん屋さんに行くと、マスターが穏やかに受け入れてくれた。
癒される~。
そして二日酔いの身体には、うどんが沁みる。
ここで改めて昨日の怒って出ていった男性の話をしてみる。
すると、最近はある一定量の酒量を越えると、いきなり怒って出て行くのが定番パターンなのだと言う。
だから気にしなくていいよと。
美容師さんが部下を連れて来て、ビールをご馳走してくれた。
あれ??仕事中では??笑
仕事中にも関わらずランチ休憩でビール。
そして、うどんもご馳走してくれた。
「昨日、楽しませてもらったからええねん!」
「それに、昨日の社長らも楽しかったと思うで。もうホステスさん見ずにチセちゃんの方ばかり見てたもんな。ホステスさんと話しているよりチセちゃんと話している方がずっとおもろいわ」
いやいや、そりゃあそうでしょう。(…と言うのも変だけど)
私だって、仕事中ならあんなに酔っ払わないし、もっと無難な対応しますよ。
利害関係がないから、ざっくばらんに対応できて、それがたまたまハマったというだけだ。
ホステスさんは悪くないし、逆に「出しゃばらずに見守る」にシフトしていてプロだったと思う。
まぁ何にせよ、楽しかったらいいらしい。
さすが大阪の発想。
昨日から、尼崎のバー代(友人が払った)、うどん屋さんの飲み代(いつの間にか常連の誰かが払った)、スナック代・ラーメン代・トリートメント代(社長たちが払った)、うどん代(美容師さんが払った)…って、私は一銭も払っていない。
大阪人の財布の紐は、むしろキツ目だと感じていたけど。
東京の人の方が、ご馳走してくれる場合が多い。
なんか町全体で…と言ったら大袈裟だけど、みんなに歓迎されている様に感じられて嬉しい。
あぁ、やっぱり大阪は楽しいな~。
北海道にリトル大阪みたいなエリア(外国人街的なノリで)あれば通うのに。
大阪弁の表記に間違いがあるかもしれませんが、ご了承ください。
「エセ大阪弁使うなや!」というクレームはお受けしておりません。笑
普段は下調べ等、理性的な記事が多めの印象がありましたが、ちせ様の人間味あふれる魅力やノリの良さも感じられる記事で、また新たな一面を開拓されつつあるのかなとも思いました。
少し違う視点かもしれませんが、自分の旅行では、もう二度と会わないであろう、名前も知らない人から受けた親切が、今でも強く印象に残ってるケースが少なからずあるので、コミュニケーションの難しさとか奥深さというのはなかなか一口には語れないのかなと思っています。
NKさま
酔っ払い視点での大阪は、まるで海外の様に異文化情緒あふれる面白い土地だったので、観光情報はゼロですが記事にしてみました。笑
名前も知らない人から受けた親切は印象深いですよね!
バスで隣に座っていた少年とか、道を教えてくれたおばちゃんとか…私も、小さな事でも覚えています。
特に貧しく観光客があまり来ない地域のほうが、親切な人に会うことが多いような印象もありますね。観光客が多いところだと、親切な人もいるとは思いますが、騙そうとしてくる人も多いためかき消されてしまう印象も・・・
あと実は大阪もまともに観光したことがほとんどないので、機会があればしっかり見てみたいと思っています。前回は伊丹と関空の乗り継ぎが6時間ぐらいあったのですが、その日の夜が空港泊予定だったので、体力温存のため直行してしまいました・・・
NKさま
そうですね!観光客擦れしていない地域の方が、ほっこり体験が多いです。
インドの某観光地で嫌な体験ばかりが続いた時は、「普通の住民」に会いたくてチャイ屋さんを探しましたが、、無理やり探さない限り「嫌な人」の印象の方が強くなってしまいますよね。。
大阪、ぜひ機会があれば行かれてください!
私も観光スポットは「大阪城」「万博公園」などのド定番な場所しか行っていないですが…文化や雰囲気を感じるだけでも面白いかと思います★
自分はちせ様のような魅力もないため、知らない方からそれほどの金額のゴチ経験はないのですが(笑)、特に発展途上国で言葉も通じない上に、あまり裕福には見えない方からおごってもらった経験というのは、金額以上の印象度があった気がします。
だから自分も外国の方が来た時には、親切にしようと思ってはいるのですが、コロナの影響はもちろんあるのですが、外国人が極めて少ないド田舎なのが悩みどころです(笑)
NKさま
私も、知らない人からのこれほどのおもてなし(?)経験は日本では初めてですよ!笑
海外では知らない人からご馳走になる機会って多々ありますよね。
毎回「なんで??」とはてなマークが頭上に浮かびますが、、気持ちがとても嬉しいです。
「これがスーダンのお金だよ♪」と入国時に頂いた10スーダンポンド(水が1本買える値段)は、今でも大切に持っています。
私は恩返しがしたくとも、人見知りで中々声をかけられなのですが、NKさまは心の準備が万端で素晴らしいです!
そういう方のところにこそ、旅人が立ち寄って「日本で素敵な経験をしたな♪」という思いを持ち帰って欲しいですね★
大阪で飲んだくれ! 大変羨ましい。
とは言え、かって後悔するほど飲んだくれた身、
羨むなんてとんでもないよなあ!
土日さま
後悔するほど飲んだくれた経験がおありとは…!
ぜひ大阪でも飲んだくれてみて欲しいです☆(後悔しない程度に…笑)