ー世界はきっと、美しいー
海外旅行

エピローグ(前編)コロナ禍で帰国したバックパッカー、住む場所について考える

3ヵ月間の「アフリカ大陸縦断の旅」と、メインの旅の2倍の期間となった「ネパールでの帰国難民生活」、そしておまけの「14日間の自主隔離生活」

それらを終えて、私は再び成田空港のロビーに立っていた。

そこは、かつて旅行者が見せていた賑わいが嘘の様に、ガランと閑散とした空間に変貌していた。

旅行者どころか、空港職員すらいない。

不思議な光景だった。

ほんの少し離れている間に、祖国はここまで変わってしまったのだ。

成田空港へ来たのは、北海道行きのフライトに乗るためだった。

日本には戻る場所がないと思っていたけれど、何人かの人の協力により、母の暮らすマンションに居候させてもらえる事になった。

「実家に帰る」という気楽な立場ではなくて、あくまでも「宿泊客」なので、長居はできないけれど。

とりあえず住民票の住所としてその部屋を使わせてもらい、期限が迫っていた免許証の更新をした。

この日わたしは、札幌市民(仮)になった。

さて、(仮)ではない住まいを決めなければならない。

東京に戻るつもりでいたけれど、コロナ的にどうだろう。

コロナ前から東京で暮らしている場合は、世間の変化に対応しながら上手に生きていければいいと思う。

だけど、日本中のどこを選んでもよい立場の私が、この時期に「あえて」東京を選ぶリスク以上のメリットは??

  1. 給料が高い。
  2. コミュ障のわりには、人間関係が割と安定している。(なにせ10年も暮らしたのだし)
  3. 何だかんだ、東京が一番住み慣れている。

メリットが大きすぎるね…。

やはり東京か。

特に、③が大きい。

生まれ育った北海道には、学生の時までしかいなかった。

北海道では「自分の力で生きていた」わけではなくて、「親の力で生かされていた」だけに過ぎない。

いま戻ったって、あの文化が意外に違う北の果ての島国で、どう生きていけばいいのかわからない。

それに対して東京での10年間は、自分の力で生きたと言える。

不満要素は多々あれど、不安要素は全くない。

そして貯金もあとわずか…新生活の初期費用と仕事開始までの生活費を考えると、やはり給料が桁違いによい東京は魅力的だ。

大阪でも働いたことがあるけれど、「給料」だけで比較するとやはり東京は別格だった。

日本の第二の都市でさえそんな状況なのだから、その他の地方都市は一体。。

そんな大阪も、候補の1つだ。

大阪は、わずか1年の滞在で大好きになった場所。

大阪を去ると決まった時は、心の底から嫌だった。

引っ越しの多い人生だったけれど、引っ越しが嫌すぎて泣いたのは、人生で初めて。

だけど大阪はね…あの時は半ば強制的に移住して、そして運よく馴染む事ができたけれど。

私にとって日本の中の大阪は、世界の中で例えるとインドみたいな位置づけで。

行ってしまえばめちゃくちゃ楽しいし、毎日が刺激の連続。

だけど、「よし、行こう!」と決断するには、心理的なハードルが何故か高い。

そんな、不思議なところ。

インドと同じで「呼ばれないと入れない」場所なんだろう。(←ただの個人的なオカルト論)

たぶん、私はいま呼ばれていない。

なにそれ?…と思った方は、「インド 呼ばれる」で検索してネ。

一足先にネパールからチャーター便で帰国した帰国難民仲間のヨガの先生を訪ねて、「高知県」に行く計画がある。

彼の「自宅兼ヨガリゾート」に、贅沢にも滞在させて頂ける事になっていた。

高知が気に入れば、四国で田舎暮らしもいいかもしれない。

私の6代前のお爺さんは、四国(徳島)の人だから、それは世代を越えて「国に帰る」という事になろう。(え?ならないって??笑)

なんて考えながら、わたしは滞在中の北海道に居心地の良さを感じていた。

北海道の中枢を担う札幌。

札幌駅の周辺に行けば、十分なほど色々な物が手に入る。

大都会にしかない特殊な仕事をしたいとか、「東京」という土地の名前にブランド力を感じるとかではない限り、ここに不足はない。

にも関わらず、ビルが乱立している東京のコンクリートジャングルとは違い、街並みがとても整然としていてキレイ。

北海道は歴史が浅い(150年くらいの)新しい土地だから、きちんと都市計画ができたんだろう。

北海道で1番の人口を誇っているのに、街も電車も混雑していない。(コロナの影響もあるだろうけれど)

ちなみに人口は、北海道全体で500万人くらいなのに対して、札幌は200万人くらい。

街の発展レベル(都会レベル)が、私には丁度いい。

人口と、人口密度のバランスが丁度いい。

そして、民間の企業はもちろん、お役所などの事務的な対応をされがちな機関でも、親切に対応してもらえる。

そんな「丁度いい都会」の札幌を少し離れるだけで、広大な大地に広がるたくさんの遊び場に出掛ける事ができる。

いいな~北海道。

旅人として感じる1番のデメリットは、どこへ行くにもアクセスが悪いという事だ。

他県は全て海の向こうだから、気軽に行ける旅行は「道内旅行」に限られる。

海外へ行くにも、(行先にもよるけれど)わざわざ国内線で成田空港まで行かなければならない。

だけど、どのみちしばらくは旅行に行けない世の中になってしまったのだから、北海道に引きこもって満喫するのも悪くないか。

…という事で、「とりあえず」ではあるものの、北海道で暮らしてみる事にした。

私の直感が、「今はここに居たい」と言っている。

ここに根を下ろす事になるのか、またふらりとどこかへ行く事になるのか…それは未知数だけれど。

あろう事か、これから厳しい冬が訪れようとしている秋の季節、私は北海道への移住を決めた。

舞台は、住んだ事はあるけれど住み慣れているわけではない、北の都・札幌

まさか北海道でのコロナ感染者がある時期を境に急増するだなんて、この時の私は知る由もなく。

しかしながら「あのときの私は知る由もなかった」なんて台詞は、このブログだけでも何度も呟いてきた様に、実は今更もう慣れっこだったりする。

さてさて、私はこの北海道という土地に「呼ばれて」いるのだろうか。

それとも「異端」として弾かれるのだろうか。

その答え合わせは、またいつか。

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